Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

ネット・マーケティング進化の果て

2011-11-04 08:53:20 | Weblog
月曜の JIMS 部会では,インターネット・マーケティング最先端の話題を取り上げた。まず,ソネット・メディア・ネットワークスの磯崎直樹さんから「アドネットワーク広告におけるオプティマイズ戦略」と題する報告。想像していた以上にネット広告業界が「進化」しているのを知り驚いた。

インターネットの世界はデータで満ちあふれている。そこに統計分析,データマイニング,最適化手法等が動員されるのは自然の成り行きだ。問題はいかに個人を識別するかだが,その技術も日進月歩で,様々なデータが紐づけされていく。広告のなかで,ネットだけが異常に「高度化」している。

興味深かったのは,広告主側とサイト側にそれぞれ支援サービスが生まれてきていること。そこから複雑な「カオスマップ」が生まれている。複雑に入り組んだサービス主体が競争の結果どのように淘汰・統合されていくのかは,産業組織や経営戦略の立場から研究しても面白いだろう。

広告主とサイト(メディア)側の利益はしばしば対立するので,ゲーム論的なアプローチが有効である。プレイヤーの多い非常にダイナミックなゲームなので,エージェントベース・シミュレーションの格好の対象となるはずだ。そこからどんな帰結が得られるだろうか・・・。

次に成蹊大学の山本晶さんによる「ソーシャルメディア・マーケティング再考」。最近の Facebook の動向を見ると,個人情報の「共有」があまりに行き過ぎではないかと山本さんは危惧する。そしてソーシャルメディア・マーケティングとは消費者負担型マーケティングではないかと喝破。

多くの企業が Facebook マーケティングに乗り出し,「いいね!」を押させることが最大の KPI になっていたりする。確かにそれによって認知の拡大を達成できるかもしれないが,購買まで導く効果はそう強くないという研究報告もある。「いいね!」の効果をきちんと見極める必要がある。

ソーシャルメディア・マーケティングを研究し続けてきた山本さんだけに,最近の「バブル」に対しては厳しい目で見ている。原点に返って,消費者のコストとベネフィットを整理すべきだと提言されている。このあたり,体系化な思考を迫られ得る研究者が貢献すべき課題といえよう。

お二人の話を踏まえ,インターネット広告やソーシャルメディアの「進化」をどう考えるのか,議論はいつものように二次会に持ち越された。そしてあまりに議論が白熱したせいか,あるいは別の理由のためか,半数近い参加者が終電を逃してしまうという顛末になった。主催者として反省・・・

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございました!! (Fumihiko IKUINE)
2011-11-04 10:11:34
Blogに書いてくださったような刺激的な部会でした(微笑)。
ありがとうございました!!
自分も妄想(謎)がたくさん浮かんできたので、これからの研究に繋げていきたいと思います(再微笑)。

とはいえ、皆さん終電を逃されたとは(汗)。
自分のことだけでなく、皆さんの終電もチェックすべきでした(反省)。
返信する
終電 (mizuno)
2011-11-04 10:16:12
終電の時刻が近づいたとき一応皆様に申し上げたのですが,席を立つ方はいませんでした。ギリギリのタイミングだったということもありますが,比較的近くの方が多いこと,そしてやはり盛り上がりが生み出した吸引力があったせいでしょう^^
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。