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あるマーケティング研究者の思考と行動

参議院選挙のあとが気になる

2010-07-07 11:48:20 | Weblog
今週末は参議院選挙の投票日。大方の予想では,民主党は相対的に1位にはなるものの,参議院で単独過半数を穫るのは難しい。国民新党を入れても過半数は微妙。自民党は低迷したままで,野党で延びそうなのはみんなの党だが,それも一時の勢いはない,ということらしい。週刊朝日はそれを「勝者なき闘い」と評している。

そのなかで,どれだけ増えるか注目されているのが,みんなの党だろう(他の新党は,それほど目立った勢力にはなりそうにない)。みんなの党とはどういう党なのか,渋谷陽一責任編集の SIGHT が特集を組んでいる。そのなかで興味深いのが,東京大学の菅原琢氏による「みんなの党は本当に“みんなの党”なのか」という論考だ。

SIGHT (サイト) 2010年 08月号
ロッキングオン

各種の世論調査や選挙結果のデータを分析して,菅原氏はみんなの党のコア支持層を明らかにする。それによると,意外にも年代的には50歳代,職業的には自営業者,という姿が浮かび上がってくる。これは従来であれば,自民党の支持率が高い人々である。その一部が小泉政権後離反して,みんなの党に向かったと推測される。

みんなの党は、各党にどのような影響を与えたのか。菅原氏は先の総選挙で,みんなの党が候補を立てなかった選挙区があることに注目する。そして2005年に比べた各党の得票率の変化が,みんなの党の出馬に影響を受けたかどうかを分析する。その結果では,自民党は大きな影響を受けたが,民主党はあまり受けていない。

つまり,みんなの党は自民党とは競合するが民主党とは競合しない。依拠する支持層が違うのだ。一方,候補者への調査(昨年の総選挙時)から得られた政策のポジションは,民主党とみんなの党は近いという。ただ,消費税や公務員制度を巡る政策の違いが最近目立ってきている。むしろ民主党と自民党が接近している面がある。

昨夜,TBS の党首討論会で,みんなの党の党首の渡辺氏は,選挙後に民主党と連立することは絶対にあり得ないと断言していた。民主とみんなは支持層がかぶらないから連立しやすいようにも思えるが,政策の方向性で距離が広がっているのも事実だ。また,公明党や自民党の党首も民主党との連立は絶対にないといっていた。

消費税をめぐって民主党と国民新党の溝も広がっている。この流れでは,民主党と自民党の間に,ある期間「大連立」に近い状況が生まれるかもしれない。さもなくば「ねじれ」がずっと続く。たとえば自+公+みん等が参院で過半数をとり,連立協議したうえで次の総選挙で勝てば別だが,その蓋然性は必ずしも高くない。

「消費税」「議員定数削減」「年金」等の重要課題で民主と自民が協議し,一定の進展があること自体はけっこうなことだ。ただ,小選挙区制がある限り,そうした関係は長く続かないだろう。混沌とした状況のなかで,離合集散が起きたり,新党が再び活性化したりするのかもしれない。この混沌の先に何があるのだろう?

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