私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「容疑者Xの献身」

2008-10-25 18:21:15 | 映画(や行)

2008年度作品。日本映画。
顔がつぶされ、指を焼かれた絞殺死体が見つかる。身元は判明し、刑事の内海薫は捜査に乗り出す。被害者の別れた妻のアリバイを確認していたところ、その隣人の石神が物理学者湯川学と同じ大学出身と知る。内海から話を聞いた湯川は事件の裏に、天才的な頭脳の持ち主石神がいるのではと推理する。
監督は「県庁の星」の西谷弘。
出演はドラマと同じく、福山雅治、柴咲コウ ら。


テレビ版の「ガリレオ」はツッコミどころの多いドラマだった。
主人公ガリレオが数式を書くシーンや、どこからそんな予算を取ってくるのだろうと疑問になるような実験の数々(貧乏研究室にいた僕としては驚き)、犯人が物理的なトリックを使って、犯罪を行なうパターンが多いのだが、そのトリックを使う必然性のなさなどは、非常にツッコミがいがあって、それをいちいちあげつらうだけでも十分楽しめるドラマだった。

ただ金を払って見る映画で、それをやられたら僕はドン引きするだろう。
そう思い、若干不安な気持ちで映画を見に行ったのだが、派手な実験シーンは冒頭にあるだけで、あとは基本的に原作に沿って物語が展開している。
少しばかりほっとする思いだ。

プロットは原作がしっかりした良作だったので、非常に丁寧なつくりになっている。
物語には適度な盛り上がりがあるし、ガリレオと石神の対峙の様も優れている。何よりミスディレクションの構成が見事だ。
それはすべて原作の力だが、それをきちんと映像に起こしえた点は誉めるに値するだろう。

ただやはり石神を堤真一が演じるのはどうだろう、という気もしなくはない。
「君はいつまでも若い」と堤演じる石神が福山演じる湯川に言うシーンや、湯川が「彼は外見には気を使わない。それを聞いて、僕は思った。彼は恋をしている、と」と言うセリフは、まったくもって説得力がなかった。
容姿が並以下の僕からすれば、おまえ(石神)が容姿に気を使わないのは、元がいいからだろう、と見えるのだがどうだろう。
確かにネクラな雰囲気を堤は見事に演じているが、やはり根本的なミスキャストである。

しかし欠点はその点と、ラストの号泣くらいしかない(ラストシーンは感情表現が幾分過剰だ。見ていて少し引いてしまう)。
普通に楽しめる作品だし、いくらか感動的なエピソードもあり、タイトルの「献身」の意味合いも印象的だ。ドラマ未見の人も楽しめるだろうし、ちょっと時間が余ったときにはこれほど最適な映画はないだろう。

評価:★★★★(満点は★★★★★)


原作の感想
 東野圭吾『容疑者Xの献身』

出演者の関連作品感想
・柴咲コウ出演作
 「どろろ」
 「日本沈没」
・松雪泰子出演作
 「フラガール」
・堤真一出演作
 「姑獲鳥の夏」
 「魍魎の匣」


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