私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「マイ・ブルーベリー・ナイツ」

2008-03-24 20:32:37 | 映画(ま行)

2007年度作品。フランス=中国=香港映画。
失恋したエリザベスを慰めてくれたのは、ジェレミーの焼く甘酸っぱいブルーベリー・パイだった。でも、失恋から立ち直れないエリザベスは、旅に出る。過ぎ去った愛に束縛された夫婦、人間不信の美しいギャンブラーと出会い、彼らの人生を自分のと照らし合わせる。
監督は「恋する惑星」のウォン・カーウァイ。
出演はグラミー賞シンガーのノラ・ジョーンズ。「コールド・マウンテン」のジュード・ロウ ら。


出だしは個人的には好きだ。
恋人に裏切られた女が終わった恋を引きずっている。行きつけの店の男といい雰囲気になり、男も気のあるそぶりを見せるが、そこまで深い関係になるには至らない。
映像の美的センスもあってか、その雰囲気は見ていても心地よい。ノラ・ジョーンズとジュード・ロウがそんな男女の自然な空気をうまくつくり出しており、おかげでノラ・ジョーンズ演じる女の心情に寄り添うように映画の世界へと浸ることができる。

しかしノラが街を離れてから、作品のトーンが少し変わり、異なるエピソードが挿入されたことで、その雰囲気は一変する。
それまでノラにフォーカスされていた視点は、異なる人物に注がれるため、ノラに寄り添うように見ていた感情が分断されてしまったきらいがある。少なくとも僕はそう感じられ、映画のエピソードにうまく乗っていくことができなかった。

しかもそこに挿入されたエピソードがノラの心情を変化させるほどのエピソードには思えない。
おかげでキャラに対する目線だけでなく、映画の印象そのものまでどうにも散漫な印象を受けてしまった。
もちろんそのエピソードはおもしろくはあるけれど(特にナタリー・ポートマンの方)、なぜそんな方向にストーリーをもっていったのか僕としては理解に苦しむところがあった。

しかしラストでベタであるけれど、きれいなオチを迎えてくれたため、後味は決して悪くはない。
積極的に賞賛するつもりはないが、後味のよさはすばらしく、これはこれでまあ有りと言えるのかもしれない。

PS
映画とは関係ないが、この映画を見た後、ブルーベリー・パイが食べたくなって探してみたが、まったく見つからなかった。本当にブルーベリー・パイは人気がないのかもしれないな。季節柄、ストロベリーは大量にあったのだが。

評価:★★★(満点は★★★★★)


出演者の関連作品感想
・デヴィッド・ストラザーン出演作
 「グッドナイト&グッドラック」
 「ボーン・アルティメイタム」
・レイチェル・ワイズ出演作
 「ナイロビの蜂」
・ナタリー・ポートマン出演作
 「Vフォー・ヴェンデッタ」


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