1961年、ロンドン郊外で両親と暮らす16歳のジェニーは、オックスフォード大学入学を目指して勉強に励んでいた。ある雨の日、ジェニーはデイヴィッドという大人の男性と出会い、音楽会や食事に誘われる。ジェニーの両親をうまく説得し、彼女を連れ出したデイヴィッドは、友人のダニーとその恋人ヘレンらと引き合わせ、ジェニーに大人の世界を教えて行く。だんだんと彼への恋を募らせていくジェニーだが、学校で噂になり…。(17歳の肖像 - goo 映画より)
監督は「幸せになるためのイタリア語講座」のロネ・シェルフィグ。
出演はキャリー・マリガン、ピーター・サースガード ら。
「17歳の肖像」は、格別な発見も驚きもない映画である。
しかし安心して見ることができ、それなりに楽しめる映画でもある。
一言で言うならば、手堅い作品といったところかもしれない。
実際物語はオーソドックスなつくりだ。
お堅い家庭で育ち、お堅い教師から授業を受ける女子高生が、派手な世界を生きる男と出会い、恋に落ちる。だが、男はヤバめの仕事についている気配がある。
そのような内容の予告編を見たとき、僕なりに展開を予想したのだが、映画は概ね、その予想した通りに進み、予想通りの場所に着地する。そういう点、あっと驚くポイントはない。
だがそれでもそれなりに楽しめたのは、つくりが丁寧なことと、観客の興味を引く勘所を押さえた演出が利いていたからと思う。
はっきり言って、この映画の主人公ジェニーは調子に乗っている。
もちろん、これまでくそマジメな世界に生きてきたわけで、派手な世界にいきなりつれて来られたら、胸も躍るよな、と思わなくもない。羽目だってそりゃはずしたくもなる。人間、刺激がないよりも、ある方が楽しいに決まっているからだ。
けれど、そうはわかっていても、見ている間、彼女にいらっとするときもなくはない。
それは、(17歳の少女に言うことではないかもしれないが)彼女の危機意識が低くて、アホに見えかねないからだ。
だから最終的に彼女がしっぺ返しを食らったときは、性格が悪いけれど、自業自得だろ、と突き放したように考えてしまう。
だがそこから彼女は彼女なりに反省し、人生を生きていく。その展開を僕は暖かい気分で見ることができた。
もちろんそれはベタな展開ではある。
しかしそれこそが、観客が望んでいることでもあるのだろう。実際、見ていて、ああ、そうなって良かったね、とすなおに思うことができたし。
それに偏狭な考えの父親が娘に謝るシーンとか、堅物っぽい教師が、主人公を助けてくれる過程も、優しげで、そうであったらいいな、とこっちが思うような方向に物語を進めていってくれている。
ベタではあるけれど、その展開はなんだかんだで、僕は好きだ。
個人的には、ラストの主人公のセリフが気に入っている。
パリに行くとき、まるで初めて行ったかのように演技をする、という内容の言葉に少しにやりとさせられた。
彼女はそれなりに痛い目にあったけれど、その経験から多少図太くなったのかもしれない。なかなか女ってこわいって思ったりする。
ともあれ、なかなか楽しめる一品である。絶賛はしないが、僕はわりに好きだ。
評価:★★★(満点は★★★★★)
出演者の関連作品感想
・キャリー・マリガン出演作
「パブリック・エネミーズ」
「プライドと偏見」
・ピーター・サースガード出演作
「ジャーヘッド」
「フライトプラン」
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