「エグザイル/絆」

2006年度作品。香港映画。
返還間近のマカオ、かつて仲間だった5人はいまは立場を違えていた。ボスを狙撃して逃亡していたウー。そのボスの命令でウーを殺しにきたブレイズとファット。一方、ウーを守るためにきたタイとキャット。再会は銃撃戦となり、運命の歯車が動き出す……。
監督は「ブレイキング・ニュース」のジョニー・トー。
出演はアンソニー・ウォン、フランシス・ン ら。


ジョニー・トーの作品はほかに「ブレイキング・ニュース」しか見たことがない。なので断言はできないのだが、この監督は、スタイルにこだわった映像を撮る人だな、という印象を受けている。

特にガンアクションのシーンなどはスタイリッシュだ。
ガンアクションなので、派手で勢いがあるのは確かだ。だが、銃撃者の動きが少ないことと、硬質的な映像と雰囲気のせいもあって、どこか静的な印象を受けるのが興味深い。
病院での鉢合わせのシーンやラストの缶を蹴り上げるシーンといい、その美意識とセンスは独自の味わいがあっておもしろい。

肝心の物語は、ノワールということもあってか、男臭いことこの上ない（もちろんいい意味だ）。
友人同士で撃ち合う冒頭のシーンや、ボスの命令を無視して友人を救う展開など、いろいろな部分で、男のための映画って雰囲気がにじみ出ていて、力強さがある。
そういう面、映像といい、物語といい、スタイルが貫かれていると言えよう。そういったすべては決して悪いものではない。

だが個人的にはそのスタイルのゆえに、入り込めないきらいがあるのも事実だった。そのため物語に没入できず、いくらか退屈な印象すら受ける。一言で言えば、好みじゃない。
こういうタイプの映画は好きな人は好きなのだろう。確かにいい面はある。だが僕はいまいちである。

評価：★★（満点は★★★★★）


製作者・出演者の関連作品感想
・ジョニー・トー監督作
　「ブレイキング・ニュース」
・アンソニー・ウォン出演作
　「言えない秘密」