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「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。
出版社:文藝春秋(文春文庫)
キャラって重要だよね、ということを、こういう小説を読むと思ってしまう。
とにかく伊良部という医者が非常におもしろいのだ。
色白で太っていて、注射フェチで、マザコンで、どうやらナルシストで、結婚した相手にメイド服を着せる。だれがどう見たって変人だ。そしてそれゆえに非常におもしろい。
「ぐふふ」という笑いや、いくつかのセリフは本当に笑えて困ってしまう。「えへへ、来ちゃった」とか「さあ注射、いってみようかー」とかのセリフは特に好きだ。
現実にいるなら、絶対に関わりたくはないけれど、ちょっと離れたところからなら、ながめていたい。そんな楽しい人物なんである。
その伊良部だが、一応精神科医なので、ちゃんと治療を行なっている。
そこに登場する人物は、精神的なバランスの強弱はあれど、どれも近くにいそうなメンツばかりだ。『勃ちっ放し』と『いてもたっても』の人物の性格には、自分と似たような部分があるので、必要以上にシンパシーを抱いてしまう。
というよりも、程度の強弱はあれど、読み手はこの五篇の作品のうち、一つくらい自分と当てはまるキャラクターはいるんじゃないのか、って思ってしまう。他人の言葉を借りるなら、一億総うつの時代であるらしいし。
そういうときに、伊良部みたいなキャラクターは重要なのかもしれないな、と思えてくる。
伊良部の治療はねらってやっているのか、天然なのか、まったくわからないのだが、こういう何も考えていなさそうな人が相手の方が、向き合う方も楽なんだろうな、と思えてくる。動物ヒーリングに近い、って言葉が出てくるが、納得だ。
伊良部みたいな人といたら、くよくよ悩んでいることがちっぽけなことに思えてくる。
もっとも現実、それが簡単にできないから、病んでいる時代とか言われるわけだけど、一つの考え方としてはそういうことも重要だ。
基本的には(僕の場合だと)、自分自身を、型や、枠組みや、決まった行動形態や、定められた立ち位置に当てはめておいた方が、いくらか気楽な部分もある。逆説的かもしれないが、そうした方が何も考える必要がないからだ。
けれど、それで自縄自縛になったら元も子もないという風に、この作品を読むと思えてくる。
肩の力を抜くことも重要だよな、と笑いながら再確認できる。そんな楽しい小説だ。
評価:★★★★(満点は★★★★★)
あ、そうだ、無事にベトナム&カンボジアから帰ってきましたよん。超楽しかったっすー。が、ベトナム料理がおいしくて、ウマイ!ウマイ!とか言いながらガツガツ食べたせいか、最終日にお腹をこわしてしまいました(汗)。現地でがっついて+2キロ、お腹をこわして-3キロぐらいで、結果的に-1キロって感じです(めでたし、めでたし?)
ベトナムは社会主義国なんですが、外資系企業がバンバン進出していて、貧富の差も拡大しているらしく、かなり資本主義化が進んでるようです。結構興味深い国ではあったんですが、カンボジアの魅力の前にかすんでしまった感じです。
カンボジアはすごかったですよー。アンコールワットやアンコールトムなどの遺跡群は必見です。とても貧しい国なんですが、昔は王朝だっただけあって、伝統舞踊はすごく品があって衣装もきれいでした。工芸品などのデザインもセンスが良いです。食事もおいしかったですよ~。ポルポト政権による圧政と大虐殺を生き延びただけあって、人々もパワフルでした。
ただ本当に貧しくて、あちこちで子どもたちが物を売って歩いてました。かわいそうなので、貧しそうな子から積極的に物を買ってたんですが、いかんせん血が騒ぐというか何というか…、相手が子どもでも「これ1個1ドル。買って買って」と言われると、条件反射的に「なぬぅ? それは高いでしょ。2個で1ドル!」とか言ってしまう。いろいろ買ったんですが、どれも半値ぐらいに値切ったものばっかで(汗)、帰国してから大いに反省しました。1ドル<100円なんだから、寄付するつもりで言い値で買ってあげるんだったなぁ。。
ぐみご@猛省中
伊良部おもしろかったですよ、本当。
僕は映画→原作なんで、松尾スズキの伊良部でも有りだけど、ほかの人はどうなんでしょうね。一応松尾スズキは充分変人キャラって感じでした。原作とちがって、やせてるけど。
ベトナム料理のところ、不謹慎だけど笑っちゃいました。すごい美味そうだけど、災難ですね。旅先だと食っちゃいますもんね。
カンボジアは本当に楽しそうなのが伝わってきて、心底うらやましい。アンコールワットとかいつか行きたいとは思っているんですけど、よけい行きたくなります。まとまった時間があればなあ。
買い物はディスカウントさせるのも旅の楽しみちゃあ、楽しみですからね。貧しい子だろうけど有りかと。それもひとつの思い出ですね。
もしや、有給休暇を取りにくい職場なんですかー?
私はフリーになる前に、英会話講師だの社内翻訳者だのをやってたんですが、海外旅行だけは毎年行ってましたヨ(えへへ)。同僚から「また旅行~!?」とあきれられるたびに、「もうチケット取っちゃったしー」と言って強行突破してました(笑)。
ただ職場によっては、こういう強硬手段って取りにくいみたいですね。あと、責任感の強い人も休暇を取ろうとしない傾向がありますね。後者だったら、たまには休暇を取ってもいいと思いますよー。普段マジメに働いてる人が「旅行に行く」って言うと、みんな喜んでサポートしてくれるもんですヨ。
有給は、まとめてとるのは何となく微妙。とれて単発ですね。
基本周りはいい人なんで、多分誰もとやかく言わないんだろうけど、変に僕が気を使うってところもあるし。実際、いま見たら、年度末なのに有給が29日分余ってました。海外旅行云々以前に休んだ方がいいですね。
なんかさー、会社のためにマジメに働いた挙句にウツになったりパニック障害おこして、結局会社からお払い箱(←ちょっと言い方キツイ?)になった人がまわりに何人もいてさー。それって冷たくねー?って思うとともに、自分の体は自分で守らなきゃいけないんだなぁ、とつくづく思うんですよね。。。ホント、お体大切にー!
うつになったりって話、こわいですね。うちの会社も似たような話は聞きます。どこも同じなのかなぁ。
ぐみごさんも、翻訳の方大変でしょうけど、お体を大切に!