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旧友たちが集まる成城の高級ペンションで行なわれた密室殺人。開かない扉を前にして、犯人と一人の女性の頭脳戦がはじまる。
2006年版「このミステリーがすごい」で2位を獲得した作品。
倒叙ミステリである。
本格推理だけあって実に論理的で伏線が丹念に練られていることに感心する。会話の何気ない言葉、その端々からヒントを得て真相に近付いていく様は心地よくさえあるのが印象深い。
密室を開けずに密室殺人をどう説明するか。犯人がその内容を気付かせないよう制御する中、探偵役はどう追い詰めるのか。それらの考え込まれたストーリーの巧緻さが何よりも目を引く。
論理的とはこうあるべきなのだろう。
しかしドアストッパーを使った理由を含め、動機は正直言って納得がいかない。毒を感じさせるラストは好みなものの、やはりリアリティがないのは印象は悪い。そのため、高い点数はつけられない。
だが、そのパズル性は見事な限りだ。本格ミステリとして見るなら、上出来ではないだろうか。
評価:★★★(満点は★★★★★)
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