私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

『灼眼のシャナ』 高橋弥七郎

2007-12-14 21:33:20 | 小説(ライトノベル)

普通の高校生悠二の前に人の存在を灯に変えて、それを吸い取るフリアグネが現れる。すんでのところで謎の少女に救われたが、彼女は悠二がすでにこの世に存在していない、と告げる。
テレビアニメ化もされた大ヒットシリーズの第一弾。
出版社:メディアワークス(電撃文庫)


本書をひと言で要約するならアクションエンタメの王道と言ったところだろう。
アクションシーンの迫真性や緊迫感はもちろんのこと、盛り上げどころを理解したストーリー運びのおかげでサクサクと読み進むことができる。その中でしっかり悠二の覚悟の移ろいを描いているのもなかなかのものだ。
痛快娯楽アクション小説と謳うだけはある。

それに設定がおもしろいのも目を引く。人間をトーチに置き換えるという独特の世界観はユニークで、うまくファンタジーとして機能しているのがさすがといったところだろう。
シャナやアラストール、悪役のキャラが立っているのもいい。

もちろん気に入らない点がないわけではない。
着替えのシーンといい、目が覚めたらとなりにシャナが寝ているシーンといい、吉田一美の扱いといい、「いやぁあ、ベタ!」と叫びたくなる部分は何度もあった。
しかしそれもツボを押さえたつくりという言い方もできる。つまるところ良い意味でも悪い意味でも王道でしかなのだ。

そのあまりの王道さゆえに、ひねくれ者の僕にはいまひとつ物語りにのめりこむことはできなかったのだが、しっかりした構成の話のため退屈することはない。充分すぎるくらいに及第点の作品である。

評価:★★★(満点は★★★★★)

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