私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「虹の女神 Rainbow Song」

2006-10-31 20:09:21 | 映画(な行)


2006年度作品。日本映画。
大学時代、ふとしたきっかけで知り合った智也とあおいは自主映画をつくりながら、様々なことを打ち明ける仲になっていた。大学卒業後、智也はあおいの死をきっかけにあおいがどんな存在だったか気付くこととなる。
岩井俊二がプロデュースを担当。
監督は「ニライカナイからの手紙」の熊澤尚人。
出演は「天使の卵」の市原隼人。「スウィングガールズ」の上野樹里 ら。


ベタな映画である。
ヒロインは気の強い女性で、仲のいい男のことが好きなのだが、思いを隠している。そして男は鈍感でそんな女の気持ちに気付くことはない。物語というジャンルにおいては、実にありがちな設定だ。加えて女が死ぬと来るとあってはベタの境地である。

しかし本作はありがちな設定だけど、個人的には印象深い作品であった。
その理由の大半はまちがいなく上野樹里の存在感によるところが大きい。この映画に僕は満点をつけるが、そのうち、★4つくらいは上野樹里のおかげである。
気の強い女性が見せるぞんざいとも言えるしゃべり方、雰囲気、すべてが印象的で、彼女が出てくることで画面がいきいきとする。そしてそれでいてキスのシーンに見せる表情の変化などは絶妙ではないだろうか。
気の強さと、伝えきれないもどかしさ、そういったものが画面から実によく伝わってくる。彼女が出てくるシーンと出てこないシーンでは、主観だけど、映画のおもしろさは違っていた。
「のだめカンタービレ」の舌足らずなしゃべり方とは打って変わったこの演技。よくもまあタイプの違うキャラをここまで上手に演じられるものだ。
改めて言うのもなんだけど、上野樹里は存在感のある、本当にいい女優である。

上野樹里以外に触れよう。
物語はベタだが、オーソドックスであるため、安定したつくりである。いくつか余分な(それを入れる理由はわかるけれども)エピソードはあるものの、つまらないと思うことはなかったし、実際それなりの感動も得られる。
エピソード単品では及第点レベルという以上の印象を持たないが、見て損はない作品だと個人的には思う。

評価:★★★★★(満点は★★★★★)

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