pure's movie review

鑑賞した映画の感想です。

グラン・トリノ

2009-05-31 23:50:37 | アメリカ映画(か行)



2008年 アメリカ作品 117分 ワーナー・ブラザース配給
原題:GRAN TORINO
STAFF
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ニック・シェンク
CAST
クリント・イーストウッド ビー・ヴァン アーニー・ハー クリストファー・カーリー


チェンジリング」を皮切りに、今年に入ってからイーストウッド作品の鑑賞が続いてます。必ず余韻を残す彼の作品を観た後、自分なりにあれこれ考え込んでしまう時間が何となく好きだったりするんです

「カメラの前で演じる事よりも、カメラの裏の仕事の方が今の自分は興味深いんだ。」と語るイーストウッドだけど、彼の素晴らしい点は、監督業と俳優業を切り離して考え、そしてどちらの仕事でも超一級品のものを作り上げる点だと思う。よく監督と俳優を兼任してる人は、自分の自分による自分のための独りよがりな映画を作ってしまう人が多いように思えるけど、イーストウッドは自分の実年齢や容姿やオーラを充分わきまえていて、その作品に自分はふさわしくないと思えばカメラの前から潔く姿を消してしまう。それをチェンジリングでは「誘拐される子供達を演じるには、俺は若すぎるだろ?」なんてユーモアを交えて語ってたね。そして今作では逆に自分以上にふさわしい俳優はいないと的確な判断をし、また最高傑作を作り出してくれました

今回もずっしりと余韻を残していってくれました、イーストウッド監督…。またまた賛否両論分かれるラストです。実は観終わった直後は、彼の作品の中では珍しく主人公の出した結論に反対でした。自分の余命を見据えての決断だったのだろうけど、遺されたタオやスーの気持ちはどうなる?自分たちのせいで殺されてしまうのと、病気に負けて亡くなるのとでは、心に残る傷の深さが違うのではないか?カッコイイ幕引きだったけど、それって自己満足だよ、とね。でも観終わって数時間経った今はまた意見が変わってきてる。それはまだ上手く文章にまとめられないのだけれども、決して自己満足や恩の押し売りではなく、命をかけた息子・娘同然の二人への教訓だったんだね。

深読みしすぎなのかもしれないけど、彼の映画人生とリンクさせるとよりいっそう深いラストに思えてならない。70年代の彼の有名な作品の数々はまだ観てないのだけれども、銃を乱射して暴力は暴力で制すというような役どころばかりだったらしいですよね?でも、出演作品はコレが最後だと言われてる今作で、暴力は暴力しか生まないということを自身の役を殺して訴えているのです。これが彼の俳優人生の幕の引き方なのかなと思うと、妙に切なくて仕方が無い そして「やられたわ~!」と思わず叫んでしまいそうです。
でもでも、願わくばそんなカッコイイ幕引きではなく、これからも監督:クリント・イーストウッド作品は勿論、俳優:クリント・イーストウッド作品も観たいな~と思います!

【字幕翻訳:戸田奈津子】



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