特定復興拠点
さらさらと風に海岸線の砂浜が洗い流されていくと
取り残されているものが見えてくる
「特定復興拠点」という言葉がいつの間にか生まれた
核となる拠点を定め除染しながら
徐々に拠点の範囲を広げていくと言うのだ
さらさらと風に海岸線の砂浜が洗い流されていく中で
帰還困難区域は困惑している
取り残されているものの一つなのだ
帰還困難区域の中に
複数の拠点を造りながら
そこから除染範囲を広げ住む環境へと整備していく
さらさらと風に海岸線の砂浜が洗い流されていく中で
沈思するものがある
そこに住民は戻るのだろうかという疑問だ
この帰還困難区域に「除染」という武器を使いながら
入りこんでいくと言う「特定復興拠点」
六年目に入って政府は新しい構想を打ち出してきた
さらさらと風に海岸線の砂浜が洗い流されていく中で
国と町村の議論が行ったり来たりしている
帰還困難区域の取り扱いは難しい
手詰まり状態から抜け出す道を模索し続けてきたが
最後に残ったものの一つが帰還困難区域だ
除染は万能ではないと県民は知っている
さらさらと風に海岸線の砂浜が洗い流されていくと
取り残されているものが見えてくる
「特定復興拠点」名前ばかりが増えていく
いつも名付け親の本気度が試されるが
名付けた後には多くの時間だけが取り残されている