2014年1月21日(火) 僕にとって本当に特別で、誰よりも敬愛する唯一無二の指揮者、そして偉大な芸術家、クラウディオ・アバド氏が亡くなってしまった。1月20日の朝、ボローニャの自宅で家族に看取られつつ、苦しむことなく穏やかに息を引き取ったというニュースを読んだのは、その日の夜遅くだった。 去年の10月にルツェルン・フェスティバルオケとの7年ぶりの来日が決まり、チケットを手に入れて楽しみにしていたが、直前になって健康上の理由で公演が中止となったときのショックは大きかった。それでもその2ヶ月前に行われたルツェルン・フェスティバルでの元気な指揮ぶりをテレビで見て、きっと快復してまた来日してくれる、それが難しければ今度のルツェルン・フェスティバルに出かけようと思っていた。しかしその望みは叶うことなく、アバドは逝ってしまった。 アバドは、音楽がどんなに素敵な歌で満ち溢れているかを教えてくれた。そして、音楽が生命力に息づき、いかに元気をくれるかを、心が打ち震えるほどの喜びを伝えてくれるかを、いかに神々しく、そしていかに癒しを与えてくれるかを教えてくれた。 決して多いとは言えない、僕がこれまでに立ち会うことができたアバドの演奏会を思い出し、もう二度とこの感動を体験することはできないと思うと、たまらなく悲しく、辛く、喪失感が押し寄せるばかりだ。 けれど、どんなに悲しんでもアバドはもう帰ってはこない。今は、これほどまでに好きな指揮者に出会えたこと、一生忘れ得ぬ感動と幸せをいくつも与えてくれたこと、そのおかげで心が豊かになり、自分の心にかけがえのない大きな大きな滋養を注いでくれ、育ててくれたことに、心からの感謝を送ることしかできない。 自分にとって最後のアバド指揮の演奏会となった2009年5月のベルリンでの演奏会のあとに出待ちして、サインしてもらったパネルに花を添え、ただ一人静かにアバドの死を悼み、アバドを偲びたい。 Grazie mille, maestro Abbado! Lei resterà in eterno nel mio cuore! 花屋さんでわけを話したら「私からも一本・・・」とバラを加えてくれた |
クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 2009.5.22 フィルハーモニー(ベルリン)
クラウディオ・アバド指揮 ルツェルン祝祭管弦楽団 2006.10.19 サントリーホール
クラウディオ・アバド指揮 ルツェルン祝祭管弦楽団 2006.10.13 サントリーホール
このブログを開設する以前にアバドの演奏会を聴いて書いている感想も、アーカイブとして少しずつアップして行きます。
クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1999.9.6 フィルハーモニー(ベルリン)
クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1998.10.22 横浜みなとみらいホール
クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1996.10.17 サントリーホール
クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1992.9.4 フィルハーモニー(ベルリン)
クラウディオ・アバド指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1987.3.23 サントリーホール
クラウディオ・アバド指揮ヨーロッパ室内管弦楽団 1986.8.21 クンストハウス(ルツェルン)