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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

2006年夏のヨーロッパ旅行 ~ミラノ~

2006年09月11日 | 2006 夏のヨーロッパ旅行
ミラノ MILANO
まず最初の訪問地は9年ぶり、4度目のミラノ。ここには2泊したが、2日目は近郊にある中世の町、ベルガモを訪ねたりしたので、実際にミラノにいた時間はそう長くはなかった。ミラノで訪ねたのは、観光客が必ず行くDuomo広場周辺、ミラノの下町と言われているナヴィリオ地区、それにダ・ヴィンチの「最後の晩餐」があるサンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ教会の3箇所。ホテルはメトロの1番線と2番線が交差するLoreto駅から歩いて数分という便利なところにあった。

8月15日は祭日。レストランまで殆どのお店が閉まっています!
旅行の初日は晩ごはん時にホテルについたので、さっそくピザでも食べようと思ってホテルのフロントで「近くでおいしいピッツェリーアはありますか?」と訊ねたら、
「今日は祭日でレストランも殆ど閉まってますよ。この道を左に行ったあたりでもしかしたらやっているところもあるかも知れないけれど、どこも閉まってたらそこにあるマクドナルドに行くしかないですね。」
「なに?!イタリアに来てマック?アメリカ人じゃああるまいし、それは何としてもご勘弁願いたい。」
教えてもらった界隈までは歩いて数分だが、なるほどレストランらしきお店はみんな暗い。「あそこはやってるぞ!」と思ったらチャイニーズレストラン。イタリアの宗教関係の祭日は中華系の人には関係ないということか。
すこし歩くと"Pizzeria"の看板のお店が明るくてやっている様子。「よっしゃ!ピザだ!」と喜んで入った。すると、ウェイトレスもコックさんもみんな東洋風の顔立ち。中華系の人が経営しているピッツェリーアだった。お店は結構賑わっている。誕生日を祝っているようなグループもいた。殆どのお店が閉まっているこの日、こうしたレストランの価値は高いのだろう。

ピザ用の釜戸には赤々と薪が炊かれ、おいしそうなピザが焼かれている。さっそくマルゲリータ、ルーコラ(rucola: 日本ではよく「ルッコラ」と呼んでいるが、現地発音は「ルーコラ」と伸ばす)、カプリチョーザと3種類のピザを注文。ビールも欠かせない。パリッとした香ばしい生地とモッツァレラの味は本物のピザの味!ここが開いていてくれて本当に助かった。
子供は中国系のお店の人に、「ハオツー」「ツァイチェン!」など、この前台湾で覚えた中国語を使ってお店の人に愛嬌を振りまいていた。とても感じの良いおいしい店だった。
ちなみに8月15日は「聖母被昇天祭」という祭日だった。レストランなら日曜日でもやっているが、祭日は殆ど全ての店が閉まるのでご注意あれ!

《旅の教訓1》
現地の祭日はプランの段階で調べておく


【ミラノの下町、ナヴィリオ地区】
下町好きのおれとしてはミラノの下町も是非見てみたいし、そこで庶民的なものでも食べてみたい。ということで、前もって調べておいたミラノのナヴィリオ(Naviglio)地区へ夕刻に出かけた。
ここはミラノの町の中で最も古い景観が残っているとのこと。運河沿いに古めかしい橋が架かり、運河の両脇には風情のある建物が建ち並んでいた。ローマや、ましてやナポリの下町と比べたら規模も小さいし、生活の臭いももう一歩という感じはするが、日本で言えば小樽の運河のあたりの景観と似ていて風情がある。しばらく散歩しているうちに辺りの街灯も灯り始め、ますます良い雰囲気になった。

下調べによると「運河沿いには職人のお店やレストラン、ピッツェリアが並んで賑わっている」ということだったが、思ったよりも人出も少なく静かな感じ。お腹も空いたし、ミラノ名物のオッソブーコやコトレッタ・ア・ラ・ミラネーゼなどがメニューに載っている庶民的な感じのリストランテの外席でその2品+子供用にスパゲッティ等を注文した。もちろん地元ロンバルディア地方のワインも!
暮れ行く運河の風景を眺めながらの食事は良かった。水が近いせいか蚊がいたりはしたが、のんびりとワインと食事を楽しむことができた。

【左】有名なミラノ風カツレツ(cottoletta alla milanese)。ウィンナ・シュニッツェルもこれに倣ったとか… ルーコラの葉っぱがたっぷりと添えられる。
【右】オッソ・ブーコ(osso buco)は牛肉の骨髄もいっしょに煮込んでいただくミラノの名物料理。とてもやわらかくて美味。付け合わせのリゾットもおいしかった!


ナヴィリオ地区へはメトロの2番線(Linea2)でPorta Genova下車。"Via Casale"の出口から同名の道"Via Casale"を5分少々歩くとナヴィリオ地区の運河にぶつかる。そこから左手方面が最も賑わっている界隈


【最後の晩餐】
7月に苦労してイタリア語で電話予約をしたダ・ヴィンチの「最後の晩餐」をサンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ教会に見に行った。言われていた時刻(見学の20分前)に受付で予約番号を告げ、クレジットカードを出してすんなりとチケットをもらえ、予約がうまく行っていたことを確認してホッ!

いよいよ修復後の「最後の晩餐」とご対面。25人ほどの見学者がいる。案内の人が鍵でガラスの自動ドアを開けると、そこは二重扉の間の狭い空間。外気が直接入らないように厳重に管理されている。

Santa Maria delle Grazie
「撮影は不可」とのこと。フラッシュを使わなければOKとも聞いていたが、それは修復前の話らしい。こうした名画とかは一生懸命写真を撮っても絵葉書にはかなわないし、それならじっくりとこの目で鑑賞しよう!

「最後の晩餐」が描かれた当時は食堂だったという空間に通されると、目の前にダ・ヴィンチの描いたその作品が。修復前に見たのはもう随分昔だが、これほど鮮やかな色彩は当時は感じなかった。英語の説明を最初は聞いていたが、途中から「一生懸命英語を理解しようというエネルギーは絵を見ることに集中させた方が得策」と悟り、15分という限られた時間の後半はじっと絵だけを眺めていた。

見事な透視図法、従来のこうした絵では必ずキリストや聖人達に後光が差しているのを、逆光の表現を使ってイエスの背後が明るく照らされている描写、「私を裏切ろうとしている者がいる」というイエスの言葉に使徒たちが浮かべるそれぞれの表情… 事前にホームページやブログで予習してきたことが(中でも「ウィキペディア・フリー百科事典の記述が詳しい)、この目で実際に見ることで鮮やかに実体験できる。

そして、やはりそうした予備知識よりも何よりも、天才ダ・ヴィンチの鮮やかな筆致が見る者に与える強烈な印象、というのは何物にも換えがたい。絵画でも彫刻でも、建築や音楽でも天才芸術家の作品の放つ光、魂の奥まで沁み込んで来るような何とも言えないリアルな感覚、単なる信仰心からだけでは描けないような人間的な深みを持った、謎めいたとも言えるような表情… こんな印象を受けながらしばし絵の前に立ちすくんだ。

一之瀬先生?!
教会の外のベンチで見学時刻が来るのを待っているとき、日本からのグループと一緒になった。何となく会話を聞いていて、「ん?どこかで聞き覚えのある声と話し方…」と目を上げると、見覚えのある姿が… 「そうだ、イタリア語の一之瀬俊和先生では!!?」

一之瀬先生とは直接面識があるわけではない。もう10年以上前、NHKでイタリア語の番組が始まった当時、テレビやラジオで講師をしていたのが一之瀬先生。これをきっかけにぼくはイタリア語の勉強を始めた。とてもわかり易い楽しくて良いレッスンで、しばらく勉強してラジオの応用編を聞くようになったときのシリーズ「イタリア一人歩き」のテキストは6か月分を一冊にまとめて今回の旅行にも持ってきている。その後、近所のイタリア人をつかまえてレッスンしてもらったり、半年ほどイタリア文化会館のレッスンに通ったりしたが、元をただせば一之瀬先生のお陰でイタリアにいる間は殆ど全てイタリア語で強引に(相手が英語でしゃべってきても)通していけるまでになった。

「失礼ですが、一之瀬先生ですか…?」
「はい、一之瀬です。」

やっぱり! イタリア名画鑑賞ツアーの講師でもされているのだろうか… この偶然の出会いがとても嬉しくて、先生の講座をずっと見たり聞いたりしていたこと、テキストは今でも持ち歩いていることから、今回の旅行のことなどいろいろと話してしまった。何でも今度の10月からまた久しぶりにNHKの「ラジオイタリア語講座」の応用編に出演されるとのこと。「面白い番組になると思うので是非聞いて下さい」と言われた。もちろん、必ず聞きます! 

見学の時間が来たので別れの挨拶をすると"Buon viaggio!"(よい旅を!)と声をかけてくれた。ちょっとびっくりの楽しいひとときだった。


【DUOMOとその周辺】
ミラノのシンボル、ドゥオーモ(Duomo)の周りはいつでも観光客でいっぱい。Duomoはどこの町でも、その町の中心にあってそこから町が外へと広がっている。それに合わせて交通網も走っているので、まずはDuomoから観光を始めるのが便利。過去3回来ているが、ミラノに来たらやっぱりまたDuomoが見たい、ということでやって来た。



【左上】「ガレリア・ヴィットリオ・エマヌエーレ2世」(Galleria Vittorio Emanuele Ⅱ)は巨大なアーケード街。しゃれたお店やレストラン、バールなどが入っている。それにしても去年の春に行ったナポリの「ガレリア・ウンベルト1世」(Galleria UmbertoⅠ)とそっくり。下の子が「ここ来たことある!」と信じて疑わなかった。

【右上】ガレリアのほぼ中央にある牛のモザイク。この牛のキンタマにかかとを置いてそこを軸にして、勢いをつけてクルリと体を一回転する間に願い事を唱えると、それが叶うという話。
とは言うものの、かわいそうな牛さん、皆に足でグリグリとやられて、出るべきところがえぐれてしまって見る影もない。でもおれも1回転!道中の無事と、このあと行くスイスアルプスの好天をお願いしておいた。
息子は回りそこなって派手にシリモチをついて大泣き。大理石は固くて痛いらしい。

【左下】ドゥオーモの外壁は只今工事中のため、壮麗なファサードは残念ながら見ることができない。せっかく来たから屋上に上ることにして、でもエレベーターは高いから階段で行こうと入口まで行ったら、「るるぶ」に書いてある値段よりもまた高くなっていた。前回行ったし、またの機会ということにした。

【右下】ドゥオーモの入口では厳重なチェックが行われていてバックの中もチェックされた。中のステンドグラスは見事。入って右にあるこのステンドグラスは受胎告知からキリスト昇天までの聖書物語が描かれている。

ドゥオーモの周りは屋台系のお土産屋なんかも多いし、怪しげな商売をやってる輩もいる。鳩のエサをタダで渡して、鳩がたかっている姿を勝手にポラロイドで撮影し、それを売りつけようとするやつ、今回ひっかかったのは、細い編みヒモのブレスレットを勝手に手首に結ばれてお金を要求して来る、という商売。かなりしつこく追いかけられたが、「だったらこれは要らない!」とちぎろうとしたら仕方なくあきらめた。あ~、でもあんなもの最初からもっと強く断ればよかった…

《旅の教訓2》
編み紐ブレスレットを付けられそうになったら断固断る!


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