facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

ドイツ語学院ハイデルベルク・レクチャーコンサート「冬の旅」

2017年04月11日 | pocknのコンサート感想録2017
4月8日(土)ドイツ語学院ハイデルベルク 特別講演
ドイツ語学院ハイデルベルク内レッスン室

【講演】
「冬の旅」との出会い ~シューベルトとウィルヘルム・ミュラー~

講師:南 道子 (東京音楽大学名誉教授)

【朗読と演奏】
シューベルト/歌曲集「冬の旅」~菩提樹、春の夢、道しるべ、辻音楽師
朗読&歌:吉成文乃(MS)/ピアノ:竹尾真紀子

以前通っていたことがあるドイツ語学校で行われるレクチャーコンサートで吉成さんが「冬の旅」を歌うというので聴きに行った。

「冬の旅」の著作もある南道子氏によるシューベルトとミュラーの足跡を辿った体験をベースにしたお話のあと、「冬の旅」から4曲が演奏され、それぞれの曲の演奏に先立ってドイツ語で詩が朗読された。

朗読では、主人公の感情の吐露が聴き手にストレートに伝わってきた。朗読をする吉成さんの顔の表情は舞台を見ているようにリアル。そしてそれに続く演奏は、朗読で心に留まった情景や感情を追体験するリアルなものだった。

そのアプローチは「春の夢」の夢から覚めた時の虚しさと温もりの余韻、「道しるべ」での安らぎを求める渇望などがアグレッシブに情緒に訴えてくる一方で、「菩提樹」で冷たい風に帽子が飛ばされるシーンや、「辻音楽師」で老人がひたすら空しくオルガンを回すシーンの描写などはくっきりと叙事的に刻まれ、楔のように打ち込まれる竹尾さんのピアノの音と共に、心も凍らせるような厳しさを伝えていた。ここに、これらのシーンや心情をズームバックして、遥か遠くへと視点を誘ってくれる表現が加われば、そこに更なる「空しいファンタジー」が生まれるかも知れない。吉成さんには、是非この歌曲集の全曲演奏に挑戦してもらいたい。

リアルな演奏に心が寒々とした後は、春を告げるイースター・パーティーが用意されていた。スタッフの皆さんによる手作りの料理はどれもとても美味しく、ドイツのビールやワインを片手に初対面の人達ともディープな話題に花が咲き、楽しいひと時を味わった。




片戀 ~吉成文乃 & 増田桃香 デュオリサイタル~ 2016.12.10 Hall60
CDリリースのお知らせ
さびしいみすゞ、かなしいみすゞ ~金子みすゞの詩による歌曲集~

拡散希望記事!やめよう!エスカレーターの片側空け


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 阿里山~巨木群に太古の声を... | トップ | 新国立劇場オペラ公演「オテロ」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

pocknのコンサート感想録2017」カテゴリの最新記事