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国内人権機構:人権の促進と擁護のための国内機構の設立と強化に関するハンドブック1

2005-05-20 00:00:00 | 人権擁護法案
※「国内人権機構:人権の促進と擁護のための国内機構の設立と強化に関するハンドブック」について《外務省HP》

※「諸外国の国内人権機構等一覧」《外務省HP》

外務省のHPに概略が掲載されていたので、これを使って考えて見ます。
パリ原則は条約なので、批准した国を法的に拘束します。それに対して、ハンドブックには法的拘束力はありません。ただし、同種の国連文書の解釈指針となるものです。したがって、このハンドブックはパリ原則に対する国連の考える解釈の指針となるものということになります。
なぜこのようなハンドブックが必要となるか。条約はそれに批准し法的拘束を受ける国それぞれの事情から、概括的なことを定めるにとどめざるを得ません。そうでなければ、せっかく条約を作っても批准する国が少なくなり、条約の目的達成にとって却って障害となるからです。したがって、法的拘束力を生じる条約では概括的な内容を定めるにとどめ、拘束力のないハンドブックで詳細な内容を呈示し、条約に加盟した国々は条約に定められた内容を基本として、各国の事情に応じてハンドブックの内容を付け加えていくというということとなっています。

このハンドブックは、第5部で「人権侵害の申立てに対する調査の任務」と題して、「人権委員会」の行う調査権限に関して言及しています。抜粋しつつ考えます。
2  申立てに対する調査
  (1)  申立制度の重要性
  ・  市民の権利が十分に擁護されるための補充的なメカニズム
  ・  「補充性」とは,国内機構の申立事件処理機能が,司法手続や他の制度化された手続では提供できないものを提供できるべきだという意味を含む
※ここにおける「補充的」意味の定義から、個別的人権侵害事案につき、他の手段による適切な救済が得られない場合に、「人権委員会」が介入するよう国内法を定めることができることになります。

 (2)  申立制度の確立
  (a)  どのような申立てが調査の対象とされるべきか
  ・  申立ての許容要件(申立ての相手方と申立事項の範囲)は,できる限り明確に定められるべき。
  ・  例えば,「人権侵害」を調査する権限という場合には,他の機構によって適切に扱うべき問題をも包含すると解されかねず,有用なことではない。
※当然、「人権委員会」の所掌事項は明確に定められなければなりません。これには二つの意味合いがあります。ひとつは、他の国家機関による干渉を排除するためには専権(もしくは優位)事項を明確化する必要があること。もうひとつは、「人権委員会」の暴走による人権侵害を防ぐ必要があることです。この点は、各国の事情に応じて、そのいずれに重きを置くかが決まってきます。インドなどの途上国の場合は前者に、欧米などでは後者に重きが置かれる場合も多いものと考えます。そのあたりは「諸外国の国内人権機構等一覧」からもうかがうことが出来ます。「人権委員会」に立ち入り権限を与えているのは、この一覧の中ではインドやスリランカだけののようですから。一方、フランスの「国家人権諮問委員会」は個別の人権救済事案自体を取り扱っていないようです。(続く)

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