『抗議より独自開発の着手こそ重要』平松茂雄【産経正論】
外交において既成事実は非常に大きな効力を持ちます。昔は既成事実を覆す有効な手段として戦争という選択肢があったのですが現在では戦争をしてもペイしないことが多くまた戦争能力を持つ国が限られることから既成事実を覆すことはますます困難になって来ています。
東シナ海ガス田開発においても日本はtだだ淡々と既成事実を積み重ねるのが重要であるということです。シナから見れば日本が既成事実を積み重ねることは不利益なことですからあらゆる手段を用いてこれを妨害することは自明です。我が国内部の政官界や済界の一部がその走狗となっていることはそのことを端的に示しています。
シナがガス田開発にやっきになる理由はよく知られているように主に二点あります。ひとつはエネルギー資源の確保でありもうひとつは彼らの考える中華世界における覇権の確保です。
覇権の拡大維持には経済成長が不可欠でありそのためにもエネルギー確保は死活問題です。アメリカが相場を握り国際市場ではドルでしか決済できない石油に依存することはシナが独自路線を維持するうえで極めて危険ですからガス田の確保に躍起になるのです。これに対してアメリカは石油の相場をコントロールすることでシナの成長を管理しようとしている側面もあるわけです。
日本やアメリカにとってというか世界にとって最悪のシナリオはここ数十年の間にシナ共産党のシナ大陸支配が終わることです。大量の核ミサイルとミサイルを保持するシナが混乱のうちに分裂し軍閥割拠の状況になれば核とミサイルの管理はほぼ不可能でしょうから。シナの安定は世界の安全保障にとって極めて重要事なのです。しかし一方でシナの野放図な拡大を許すことも好ましくないわけです。シナが台湾に武力侵攻するようなことも避けねばならない。アメリカはいかにしてシナを管理するかに日々頭を悩ませているわけです。
アメリカの基本的立場は現在の国際経済の枠組みの中にシナを徐々に取り込みシナ共産党の支配が自分たちの与り知らぬ形で勝手に崩壊しないようにすることです。シナに経済的な利益を供与しつつ台湾有事を回避する。そのために【東アジア共同体】すなわち日本・台湾・ASEAN(韓国)でシナを包囲して封じ込めるわけです。
そうなるとアメリカの綱渡り外交が続くことは避けられずシナの崩壊を回避するために場合によっては台湾やASEANに対するシナの覇権を容認することも十分予測できるわけです。韓国に対する覇権はシナに渡す方向で既に調整されている可能性も十分あります。日本もそういう事態を想定した対応策を策定する必要がありますが実際どうなんでしょうか。一国民として非常に不安を覚えるところです。