Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

アントルモン 連弾演奏会(7日)&ソロ(8日) (No.1471)

2007-05-08 23:37:51 | 批評

ピアニッシモをベースに色彩豊かな音楽の実り


 フランスの大御所ピアニスト 兼 指揮者 = アントルモン の『ピアニスト』としての来日公演の初日と2日目。初日は 同じく フランス大御所ピアニストである タッキーノ との「1台連弾だけの演奏会」であった。 2日通して聴き、「アントルモンの音楽観」について、随分と深く感じることができた。

  1. 「ピアニッシモをベース」に音作りする

  2. 「繰り返し」の時に鮮明に聴き取れるが「色彩感」が豊穣

  3. 作曲家の名作中の名作を全力で演奏し、作曲家毎の「作風」の違いが、「音」になり現れる


の3点が充実した演奏会であった。
  • モーツァルト
  • ベートーヴェン
  • シューベルト
  • ショパン
  • ブラームス
  • ビゼー
  • ドビュッシー
  • ラヴェル

が2日で演奏された作曲家だが、『作曲家の個性』が前面に表出されて来る。特に
ビゼーのピアノ曲がこれほどの名作! と初めて知った


ことを明記しておきたい。
 デュオでパートナーを務めた タッキーノ の技巧と音楽の柔軟性も卓越しており、シューベルト,ラヴェル,ビゼー の魅力を最大限に聴かせてくれた!



 アントルモン は「マイクでは、魅力の全てを収録し難いピアニスト」であった。 ん?、どんなところか? ですか???

  1. 音量の巾(ダイナミクスレンジが巾広い)

  2. 音量が「ピアニッシモ方向」に軸足を置いており、フォルティッシモでも ペトロフ や 小川典子 や ポゴレリチ の「フォルティッシモ」とは質が異なり、柔らかである


  「録音では音が大きいほど、技術的に処理し易い」ことが明確であり、この方向で録音は進められることが多い。その結果、アントルモンのピアニズムは「録音では映えることが少ない」のである。

  ppp~mp の間で アントルモンの音楽は、基盤が作られる。そして、「パッ」と ff や fff が、スビト や クレッシェンド で突然訪れ、すぐに 元の「色彩 = ppp~mp」に戻る。

  シューベルトの 幻想曲ヘ短調D940(連弾) の素晴らしさに初日の前半に目を見張ったが、続く ラヴェル & ビゼー はさらに素晴らしかった上、2日目の ラヴェル & ドビュッシー の充実ぶり は言葉では言い表せないほど。唯一残念だったのは、初日1回、2日目2回「アントルモンのド忘れ」が起こったことだけ。できることならば「譜面を見て、弾いてほしかった」次第である。

  • 5月11日(火)19:00 神戸市/神戸新聞松方ホール
  • 5月13日(日)15:00 金沢市/石川県立音楽堂コンサートホール
  • 5月18日(金)18:45 愛知県/東郷町民ホール
  • 5月19日(土)18:30 茅ヶ崎市/茅ヶ崎市民文化会館

で アントルモンの公演は行われる。是非是非、聴いて欲しい。 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ヤマハ(No.1470) | トップ | ヤマハ グランドピアノ「C」... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

批評」カテゴリの最新記事