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新国立劇場シーズンオープニング「アラベラ」初日批評(No.1785)

2010-10-02 21:07:37 | 批評

「尾高忠明芸術監督路線の行く末を暗示する就任記念オープニング「アラベラ」初日


 新国立劇場オペラ部門芸術監督が本年2010年秋から尾高忠明になった。そのシーズンが本日オープニングした。期待を持って新国立劇場に足を運んだ。


 まず『公演の出来』について。

  1. 演出 : アルロー

  2. 指揮 : シルマー

  3. アラベラ役 : カウネ

  4. マンドリカ役 : マイヤー

  5. ズデンカ役 : ラスムッセン

  6. フィアッカッミッリ役 : 天羽明恵


が全てよく、R.シュトラウス「アラベラ」の最良の公演の1つになったと感じる。不満が残ったのは「マッテオ役 : リンゲルハーン」が高い声が詰まっていた上に声量が(望月哲也よりも)無かったことである。望月哲也にマッテオを歌って欲しかった。


 アルローの演出は「青色」を基調とした統一感がはっきり伝わるモノ。シルマーの指揮は「R.シュトラウスのオーケストレーションの妙」を前面に打ち出した棒で、「楽しさ」よりも「重厚さ」が押し出された。東フィルは「16型3管編成」を増やしも減らしもしない編成で好演。
 ソリスト陣は上記の通り大半が好演で、ソリスト上記5名と演出家&指揮者と「ヴィルトナー伯爵役 : 妻屋秀和」にはカーテンコールで「ブラヴォー」だけが掛けられていたことが印象的。(リンゲルハーンはブラヴォーもブーイングも何も無し)


 ・・・で、「楽しめたか?」と言われると「楽しめなかった」が偽らざる感想。オペラ自体の出来が「バラの騎士の2番煎じ」なのが鼻につくのだ。おそらく、

  1. R.シュトラウスの作曲自体に内在する問題が90%

  2. シルマーの指揮が10%


であろう。「バラの騎士」の軽妙さが消え失せたオペラ公演なのだ。

 小泉元首相が貴賓席中央に座り、少々堅苦しい警備体制だった公演だが、小泉元首相に罪はない。空き席も多く、残り5日も「ガラガラ」とは言わないまでも売れていない。


 尾高忠明は、若杉路線とは別の道を歩みたいようだ。公演プログラムのP39にご意見が掲載されている。「補助金もっと下さい」が主旨。ご自分もきちんとスポンサーを引っ張って来てくださっているので、説得力はかなりあるのだろうが、

私高本は「演目の見極め」について、もっと本腰をいれてほしい!


と感じる。この「アラベラ」でオープニングはあまりに安易だ。来期に期待する。

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