ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

自分の表現をしよう!

2016年04月07日 | レッスンメモ
ピアノレッスンのやり方には先生が一方的に教えるという部分と、先生と生徒で一緒に作り上げていく部分の、二つの側面があると思います。

1)先生が教える「先生→生徒」の場合。
これはもう基本的な指導法で、これはもちろん必要です。相手が初心者ならレッスンのほとんどがこういった教え方になると思います。この場合の生徒の立場は要するに受け身です。先生に言われたことをきちんとうまくやれるかどうか、そこがポイントになります。でもそのやり方だけで育ってくるとどうも指示待ち族になりやすいのですね。私は、誰でも「自分がこう弾きたい!」というのがだんだんに出てくるものだと思っています。もちろん、最初からそんな考えが湧いてくるわけではないし、しどろもどろの譜読みの時にはあまり感じられない時があるかもしれません。

ドレミの読譜もわかるようになり、自分で曲を読んで弾くことになるとどんなに小さな曲でも、少しずつ指示待ちだけではうまくいかなくなります。「先生→生徒」は、とりあえず課題が明確なので練習しやすいし、生徒にとっては自分で考えなくてよい分(受け身な分)、楽ちんです。でもこの段階からなるべく早く脱皮しないと、とりあえずきちんと弾けるんだけど、なんとなく退屈な演奏から卒業できません。「言われたとおりに弾く」ことがどんなに上手になっても、それは自分の表現ではなくて、あくまで借り物に過ぎないので、聴く者の心を打つ演奏にはなりにくいのです。

2)共に作り上げていく「先生⇔生徒」の場合
ある程度レベルが上がって曲作りを深めて行く段階になると、大切なことは、生徒一人ひとりがその曲を「どんな風に聴かせたいか」つまり「どういう風に表現したいか」ということを真剣に考える(考えさせる)ということです。私の役割は生徒と一緒にアイデアを練り、それを実現するためのテクニックや練習法をチェックし、アドバイスすること。すぐに指示待ちから脱却できない生徒さんには、「こうした方がうまく行くんじゃない? もっとここんとこを○○してみたらどうかしら」と少しずつ生徒さんの心の奥に感じていることを引き出しながらアドバイスする。。。先生から生徒へという一方通行の関係ではなくて、むしろコーチと選手のような双方向の関係ですね。

「先生⇔生徒」型レッスンの大切なところは生徒の自覚です。生徒が受け身ではこの関係は成り立ちません。「もっとうまくなりたい」という気持ちはもちろん、大好きなこの曲を「こんな風に弾いてみたい」とか、ここのパッセージを「超カッコよく弾きとおしてみたい」など、なんでもいいから自分自身で具体的に挑戦する目標をもっていることが大切です。

1)の段階から2)の段階へ、なるべくスムーズにつなげていくために、こちらから「ここはどんな音にする?」「ここはどんな風なことを表現したいのかな?」などとあれこれ投げかけて、考えてもらって(考えさせて)、その反応を引き出すようにいつも心がけています。ここで大切なことは先生(コーチ)と生徒の間のコミュニケーションです。自分の思っていることを言葉にして、声に出して、はっきりと先生に伝えてくれると有り難いのですが、なかなか口数の少ない生徒が多いのが悩みのタネです。私流の解釈や表現の仕方は、あくまで一つのアイディアとして紹介しますが、もちろんほかにも色んな解釈や表現があるので、押し付けはしたくありません。

そして本人が「こんな風に表現したいよ!」というのがだんだん分かってきたら、そこからは「それならこんな風にすればいいわね」とか、「そこはこういうタッチにすればこんな音が出るよ」と、こちらの持っているノウハウのすべてを一生懸命放出すればいいのです。とにかく本人の考えやイメージをよく聞いて、じっくり取り組むことが、だんだん指示待ちから脱却して行く方法かなと思っています。私自身が注意しなければいけないのはせっかちで先に言い過ぎがちになることかな? 子供たちの内側にある自分の魂を外に導き出して、それを生き生きと表現できるように、そのためのテクニックを身につける、そんなレッスンをしていきたいと思っています。

庭の桜が満開です

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