ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

拍のグループ化

2012年11月12日 | レッスンメモ
拍子、つまりビートを身体で感じて演奏することはとても大事なことだと思っています。ビートというのはテンポ(1分間に何拍とか)とは違って、強弱とかアクセントといった、人間の感性に訴える部分が大きいので、聴く方にとってはかなり重要です。正確で上手な演奏なんだけど、今ひとつ伝わってこない。なんとなく感動しない、という演奏は、このビート感に問題があることが多いように思います。オルゴールはとても正確で音程もテンポも絶対間違わないけれど、何かやはり欠けていると思いませんか?

正確に時を刻むというだけではなく、曲の拍子をきちんと感じて、3拍子なら3つの拍を強迫、弱拍を感じて一つのグループとして捉え、それをひとまとめにする。これが拍感(ビート感)です。この拍感をもって、よどみなく前へ進むということが大切なのです。拍感をしっかり押さえて音楽の流れをスムーズにしていくと、聴いている方も弾いている方も心地良いものです。それは、健康な人間の心臓や呼吸が、よどみなく自然にビートを刻んでいるのと同じような感覚です。

これをどうやって身につけるか?メトロノームで一定の速さを機械的に刻むことはテンポの練習であって、それだけではビートの練習にはなりません。一番大事なのは、体自身で拍を感じること、ビートを感じることです。それはつまりその曲の「鼓動」を感じることなんですね。どんなに正確でもオルゴールのように生気がない音楽では感動を呼ぶことはできません。その曲に命を吹き込む鍵になるのがビートではないでしょうか。このビートを胸の中でいつもいつも感じて進んでいくこと。こうして初めて音楽に躍動感が備わってくるのです。

私は、時々「これは何拍子?」とレッスンをしている生徒に聞いてみることがあります。何拍子という意識のないまま、楽譜どおり弾くという傾向がある生徒にそう聞いてみます。そうすると「えっと~?」と、さっと答えられないときがあります。これでは、生き生きとした命のある演奏はしにくいものです。もちろん、その曲のビートを本能的に身体で正しく理解していて、何拍子と呼ぶのかは知らないけど、ビート感あふれるいい演奏をしてくれる子もいます。このへんは色んな子がいて面白いですね。

先日私が演奏したボレロのように、その曲自体がストレートに拍を訴えてくる曲の場合は、このことはとても分かりやすいでしょう。けれどもショパンの曲のように一見、拍感が強く表には出てきてないように見える曲でもこのことの重要性は変わりません。拍子の感覚が安定した中で、少しニュアンスの違うフレーズの呼吸や間(ま)とか揺れなどがある演奏と、それがないままに独りよがりでルバートしたかのような演奏は全く違います。まずは、安定した拍感(ビート感)を身体の中に感じるだと思っています。


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