A Thousand Splendid Suns 価格:¥ 1,436(税込) 発売日:2008-11-25 |
ネタバレ注意です。
Babi Hakimの名セリフ集に、1つ、よりによって超重要なやつを忘れていました。
You can be anything you want, Laila. I know this about you. And I also know that when this war is over, Afghanistan is going to need you.
そう、Lailaが9才だった時、当時タリバンほどではないにしても、女性の教育はまだまだ軽視されていました。でも、BabiがあえてLailaにいろいろな事を教えた理由は、これだったのです。
しかしまだまだ時間がかかりそうです。ラストは2003年ですが、既に世界はもうアフガニスタンを忘れ、タリバンは密かに復活をもくろんでいます。Zalmaiは、おそらく将来父の真実を知ってしまうでしょう。ハッピーエンドではないかもしれません。
この本、ある意味、To Kill a Mockingbird(アラバマ物語)と似ていると思いました。正しいと思う事はすぐに実現されるわけではなく、いつも正義が勝つわけでもなく、せっかく助けに来ても遅すぎたり、人にも運命にも何にも逆らう事もできず、ただ身を任せるしかない事だってあります。
でも、Lailaの心には、Mariamが千の太陽となって、いつまでも輝いています。
さて、
One could not count the moons that shimmer on her roofs
And the thousand splendid suns that hide behind her walls
「彼女の中の千の輝く太陽」って何の事だったのか、最後にもう1度チェックしてみましょう。
元々は
彼女=17世紀のカブール
太陽=美しい家並みや各家の調度品
でした。
Mujahideenの攻撃に耐えかねて避難しようとしていたBabiにとっては
彼女=20世紀のカブール
太陽=各家庭の宝物(Babiにとっては蔵書など)
あるいは
彼女=Fariba
太陽=AhmadとNoor
あるいは当時のLailaにとっては
彼女=Laila
太陽=Tariq
だったのかな。
生きる為にRasheedの第2夫人となったLailaはやがて
彼女=Mariam
太陽=Azizaへの思いやり、甲斐甲斐しく働く姿
を見ます。
タリバン統治下、LailaがZalmaiを産もうとしている時Mariamは
彼女=女医(もしくは当時の数少ない女性)
太陽=仕事に就ける事への誇り
を見ますね。
パキスタンに避難したLailaは、
彼女=現在のカブール
太陽=そこで暮らす人々、育った思い出などなど
である事に気付きます。
Mariamの生家を訪ねたLailaは、改めて
彼女=Mariam
太陽=彼女が育った小屋、Faizullah師、Jalil
を見ます。
そして
彼女=Laila
太陽=Mariam
Final Answer
彼女=アフガンの女性達
太陽=彼女達の心
作者のHosseiniさん伏線を使うのが大変お好きですが、特にThe Kite Runnerを読んでいると、中盤で上の詩が出てきた時点で、その後の話がほぼ推測できてしまいました。もっとも、続きが気になり、ついつい読んでしまいます。とはいえ、やっぱり、3作目からは、ちょっと違う話にしましょうねHosseiniさん。(笑)
P.S.ところで、Jalilの手紙に涙する人も少なくないようですが、それをなななんじゃい!このダメオヤジ!(笑)と切って捨てた輩にも、放水ポイント(爆)がありました。最後の最後の一文です。ネタバレに弱い人は、ここは、クリップで止めて、最後まで見ないようにしましょう。(笑)