ことほぎ日記

ことほぎ【寿・言寿・言祝】ことほぐこと。ことばによる祝福。ことぶき。ことほがい。そんな日記になればなあ、と思っています。

松浦弥太郎さんのこと

2010-03-09 | ことほぎインデックス

松浦弥太郎さんが好きだ。
今読んでいる本の著者紹介を見ると
1965年 東京生まれ。
『暮しの手帖』編集長、「COW BOOKS」代表 とある。

彼のエッセイは今たくさん出ている。
私が今読んでいるのは「あたらしい あたりまえ。」という本。

今から迎える春という季節にぴったりの印象。
まるで新入生や新入社員のような新鮮さ。
おろしたての白いスニーカーや
真っ白いコットンの洗いざらしのシャツのような印象。


白くて、ちょっとひんやりする感じがして、気持ちがいい。


まだこの本を読んでいる途中だけれど、
感銘を受けたり、その考え方にはっとさせられたりして、
参考書やビジネス書でもないのに、あちこちに付箋を貼りながら読んでいる。

滅多に本を買うことはないけれど(この本も図書館で借りた)
「買ってもいいな」と思える素晴らしい本。

是非ご一読をオススメします。


原田泳幸さんのお母さんのこと

2010-03-07 | ことほぎインデックス
原田泳幸さん(日本マクドナルドの会長兼社長兼CEO)の著書を2冊読んだ。
その中で私が胸を打たれたところは多々あったのだけれど、
一番は、マクドナルドの経営に関することではなく、
原田さんのお母様の話。

1948年に長崎で生まれた原田さんは苦学生だったそう。

高校入学時に祖父に自転車を買ってもらい、それはそれは大事にしていたのに、
わずか1週間で盗まれてしまったんだとか。
その後、犯人は見つかり、警察で犯人と対面した原田さん。
相手も原田さんのような10代の少年だった。
大事な大事な自転車を盗まれたその悔しさ、腹立たしさは
今でもありあり、と思い出すことが出来るほど鮮明なものだったらしい・・・。

その腹立たしさが分かったのか、
警察官が「悔しいだろう? 殴ってもいいよ」と言ったとか。

殴りかかろうと胸元を掴む原田さん。
それを原田さんのお母さんは制止した。

「相手はどんな気持ちで盗んだと思うの?
どうして、あなたは相手の気持ちを考えてあげられないの?」と。

今とは違い、お金にきゅうきゅうとした生活で、
日々生きていくのがやっと、という人が多かった時代。

原田さんのお母さんは息子の非礼を詫び
その少年に羊羹を差し出した、と本には書いてあった。

=====

時代が違うし、背景も違う。
今では考えられないこと、と私は思う。

でも、悔しい思い、悲しい思いは一緒だった、
いや簡単に自転車が買えない当時だったからこそ、
今私達が感じるよりも、ずっとずっと悔しかっただろうに、
胸元を掴むという息子の非礼を詫び、羊羹を差し出すお母さん・・・。

日々、損をしないように、
自分が得るものが多いように、と考えていたら
決して生まれない考えだと思う。

私にとっては、思いもよらない考え方だった。
けれど、本を通じてこうして素敵な考えを知ることが出来た。

損したっていい。
得るものが人より少なくたっていい。
そこからこんなに温かく、
人の心を動かす小さなお話が生まれるのだから・・・。

from Mac to Mc

2010-03-03 | ことほぎインデックス

現在、日本マクドナルドの会長兼社長兼CEOをしていらっしゃる
原田泳幸さんの著書を2冊読んだ。

日本マクドナルド社長が送り続けた101の言葉」と
とことんやれば、必ずできる」がそれ。

新書で刊行されている「ハンバーガーの教訓」も図書館の予約リストに入っている。

私の頭の中で社長、というと創業者一族であったり、
エリート街道まっしぐらだったり、銀行からのヘッドハンティングだったり、
とそういうイメージがあったのに、原田さんは意外にも技術職で
実際に手や体を動かして、トライ&エラーを繰り返していた方。

また、苦学生でダンプの運転手をしたり、まだ銀行引き落としなどがなかった時代、
月賦払いの集金を取りに行ったり、旅館の番頭を4年間したり、
とにかくやらないアルバイトはない、というほどいろいろなアルバイトをしたんだとか。

当時の大卒の初任給が5万円のところ、25万円ほどの月給をもらい、
大学卒業と同時に家を建てた、というのだからすごい。

テレビでお姿を拝見したこともあるのだけれど、
とにかく若々しくて、エネルギーにあふれていて、力強い。
そして、それが若い頃からのご苦労や、今までの仕事の経験で
額に汗し、手を動かし続けてきたからこそ得られた自信や
内側からあふれ出るものがそうさせるのだろう、と思う。

立派なことを話したり、書いたりするだけなら誰でも出来る。
そこに行動が伴って、初めて美しさが生まれる。
手を動かし、体を動かし、今日も1日が始まった。

2月までと比べ、ちょっとだけ忙しくなったけれど
やることがある日々は幸せ。
やれる仕事がある日々は幸せ。

ちょっと忙しくなったけど、笑顔が増えたし、いい顔してるじゃない、自分!と
矢沢口調で鏡に向かって言ってみた(苦笑)。


よりみちパン!セ

2010-02-19 | ことほぎインデックス
理論社、という出版社から出ている「よりみちパン!セ」のシリーズが好き。
図書館に行くと、児童書のコーナーに置かれていて、ちょっと行くのをためらってしまうけれど
それでも、読む。シリーズ制覇を目指して、どんどん読む。

最初の出会いは玉袋筋太郎さんの「男子のための人生のルール」。
それをきっかけに、よりみちパン!セのシリーズを制覇しよう、と
せっせ、せっせと読んでいる。

一番最近読んだのが、この徳永進さんの「死ぬのは、こわい?」という本。

自分の身近な人に死が迫っていたので、何かしら救いを求めて
この本を読んでみた。

結局、ひとつも救われないし、本を読んでたくさん泣いてしまったけれど、
いい本に出会えた気がした。

よりみちパン!セのシリーズは「中学生以上のすべての人に」とうたわれている。
私はれっきとした中学生以上だけれど、理解が難しい本もあるし、
「これ、中学生が読んで分かるかな?」という本もある。
でも、こういう本たちを中学生の頃から読んでいたら素晴らしいなあ、と思いを馳せる。

今のところ、シリーズの中のどれを読んでもはずれがない。
今まで知らなかったことや、知っているつもりでなんとなく生きてきたこと、
沖縄の基地のこと、日本が海外と交わした条約のこと、
食べ物を食べる、ということ、死ぬ、ということ、生きる、ということ、
たくさんのことをこのシリーズは教えてくれる。

もし、書店や本屋さんで出会ったら、是非手に取ってみてください。

湧く、湧く

2010-02-19 | ことほぎインデックス
死ぬのは、こわい?」という徳永進さんの本を読んだ。
そこにいい言葉が載っていたので、ご紹介。

「大事なことがある。それはね、湧くってこと。
嘘の夢は長続きしない。
先生や親から命令されたり、押し付けられた夢は、いずれほころびる。
自分の中で湧いたものは長続きするし、育っていく可能性があると思う。
夢でもそうだけど、夢でなくても湧くってことが、一番大切なことだと思う。
命っていうのはね、どういきようかって頭で考えていようがいまいが、
とにかく拍動してるもんでね、
そこに命の泉みたいなものがあって、そこで湧いてる限り、命は在るよ。
ダ液だって湧く、ムラムラとした気持ちだって湧く。
あの人に会ってみたい、あの山に登ってみたい、
海にもぐってみたい、旅に出てみたい、何でもいい、
湧けばどれだって、すごい命だよ。
だって湧かなくなるんだ、誰でも。
人でなくても動物でも植物でも。
命って、湧くっていうこと、
死って、湧かないってこと、だよ、違う?」

あれをしたい、これを食べたい、という気持ちが湧くことで
わくわくした気持ちになるのかな、とひとり言葉遊びを考える。

この本を読んで、たくさん泣いた。

最後は谷川俊太郎さんの詩で結ばれていた。

長いので、最後の最後のところだけご紹介。


「ぼくは誰にも
さよならは言わなかった
だってきっとまた会えるんだもの
もうコトバの要らないところで」


この詩を読みながら、詩をここに書き写しながら、ぼろぼろ泣いた。
いろんなことを思い出して、また泣いた。

でも、泣けるほど大切な存在でよかったな、と思い
また、泣いた。

あなたが あたえる

2009-11-12 | ことほぎインデックス

あなたがあたえる」という本を読んだ。

「儲かるためには」「収入を増やすには」「成功するためには」といった
主人公の質問に対する答えが「あたえる」ということだった。

「人の本当の価値は、相手から受け取るもの以上に
自分がどれだけあたえられるかによって決まる」とか

「あたえて、あたえて、あたえ続ける。
理由は、自分がそうしたいから。
これはビジネス戦略ではなく、生き方の問題だ」とか

「人の収入は、どれだけ多くの相手に
どれほど喜んでもらえたかによって決まる」

「相手のために気を配ること。
相手の利益に気を配る。相手の盲点に目配りをする。
五分五分は忘れること。人の実力はほかの人の利益を
どれだけ優先させたかによって決まる」

などなど、いい文章がたくさん載っていたので、たくさん手帳にメモした。


「それがいいことだとは分かっているけれど・・・」と
いまいち「あたえる」ことを受け入れられない主人公に対し、
大富豪はこういう。

「それは銀行に『まず、利子をよこしなさい。そうしたらお金を預けよう』と
言っているのと同じだよ」と。

あたえること、人を喜ばせること、なかなか簡単なことじゃない。
難しいし、見返りも求めたくなるし、
銀行にお金を預ける前に利子からほしくなる(実際、銀行にそれを
求めることはないけれど)。

自分が何かする時には「それを日本中、世界中の人がしたらどうなるか」と
考えて、日本や世界がいい方向に進むのだとしたらやりなさい、と聞いたことがある。

ちょっと大げさでたいそうな考え方かも知れないけれど、
日本や世界中の人が「まず、私が誰かにあたえる」という考えを持っていたら
どんなに素敵だろう、とにんまりした。

考えただけで幸せな気分だった。

私はやってみよう。
難しいし、長続きしないかもしれないけれど、でも、まず私が何かをやってみよう。

まずは、自分自身のために。


ことほぎインデックス

2009-11-09 | ことほぎインデックス

ことほぎ日記の中にあらたに「ことほぎインデックス」とうカテゴリーを設けた。
書店や図書館、ネット上には本や情報が多すぎて、
何を手にとっていいのか分からない。
何かを知ろうとして赴いたのに、「何も知らない」ということに呆然、愕然とした、ということが
私には何回もあった。

少なからず本を読んだ。新聞やテレビなどでたくさんの言葉を目や耳にした。

そういったことで何か、ことほぎ日記を読んでくださるみなさまのお役に立てないだろうか?
そう思い、この「ことほぎインデックス」をスタートすることにした。

インデックス、つまり索引や目次となって
ここを読んだことがきっかけとなり「この本読んでみよう」なんて思っていただけたら
望外の幸せ。

第1回は「あなたが与えたものが、あなたが受けとるもの」という本、
そしてそこに出ていた言葉。

この本はすでに絶版になったしまったけれど、
もし図書館などにあれば、一読されることをオススメします。

そしてこの本の中で私が印象的だったのが、以下の言葉。

「forget(英語で忘れる、の意)。 何かをgetするためには忘れなくてはならない」
という言葉だった。

確かに、forgetという単語を分解してみると for getとなり、「得るため」と訳すことが出来る。
得るためにすべきことが「忘れる」というのが興味深い。
ただ、英語の単語を分解しただけだけれど、まるで禅問答のよう。

の考え方や岡本太郎の「積み減らす」にも通じるような
「得るためには忘れる」という言葉遊び。

忘れたり、水に流したり、許したり。
そうすることで新たな場所が生まれ、新たな何かが入ってくる。
風通しのいい自分になる。

閉じられて頑なな自分より、今は風通しがよくオープンで変幻自在な自分がいい、と思う。
そのために、たくさん忘れ、またたくさん得ていこう、と思う。


怒らないこと

2008-07-13 | ことほぎインデックス

本が大好きで、
読みたい本をすべて買っていると
財政が逼迫するので
図書館で借りるようにしている。

図書館で借りた本の中で
まれに買おうかどうしようか、
迷ってしまうほど素敵な本に出会う。

そのうちの1冊がアルボムッレ・スマナサーラさんの
怒らないこと」という本だ。

とても簡単に言ってしまうと
「何があっても、どんな目にあおうとも
決して怒ってはいけない」という本。

本の中では頭を殴られたり、
こののこぎりの切れ味を試したいから体を貸せ、と
言われても決して怒らない。

死ぬ瞬間にでさえ怒ったら「負け」である、という
内容が書かれている。

これらの例はお釈迦様の弟子などの
とても極端な例であるけれど、
たとえばこんなことも書かれている。

女性が会社でお茶をいれて、と言われ
「私はそんなために大学を出たんじゃない!」などと
煩悶し、具合が悪くなったりノイローゼになってしまう
人がいる、と。

スマナサーラさんは言う。
どうせ、会社に数時間拘束されているのだから、
会社にいる間は言われたとおりのことをすればいい、
あなたはそれでお給料をもらっているのだから、と。

コピーをしろ、と言われたらコピーを取り、
その最中にお茶をいれろ、といわれたら
笑顔で「はい」と答える。
たった、それだけのことでしょ?と書かれている。

「それが出来ないから難しいのよぉ」と
私も本を読みながら言ってしまったが、
スマナサーラさんにはお見通しのようで
「難しくてもやるしかありません」と
著書の中で書かれている。

ほかにも著書の中で
「覚えておいてください。
人間は、自分がやるべきことをきちんと精一杯やれば、
それでいいのです。
他人との勝ち負けなど、一切考える必要はありません」

「10年先のことを考えると苦しいので、
今から10分先のことを考える。
『この10分で自分のやることをやり遂げる』
『この10分間は精一杯やろう』くらいでちょうどいい。
そうすれば、成功するたびに喜びや幸福感を得られる。
そうした小さな計画のユニットをつなげて、
自分の人生にするのです」などと書かれている。



「昨今では、怒って当たり前、
ややもすると怒らないと不甲斐ないとでも
言わんばかりです。
ブッダは、これに真っ向から反対します。

怒ってよい理由などない。怒りは理不尽だ。
怒る人は弱者だ。
怒らない人にこそ智慧がある。
怒らない人は幸せを得る」

スリランカ生まれで、現在はスリランカ上座仏教
(テーラワーダ仏教)の長老であるスマナサーラさんですが、
その文章は至って平易。
何かをひけらかすような文章ではなく、
分かってもらおう、理解してもらおう、という
優しさに満ち溢れた、とても素敵な本。

一読をオススメします。


頭の中

2008-06-29 | ことほぎインデックス

韓国の大学院にいた頃、日本文学を専攻していた。
日本の大学では
「ツブシがきくように」
「就職に有利なように」と経営学を専攻していた。
女子だったし、地方出身だったし、
その上外国人だったので。

でも、韓国で大学院に進み
大好きな文学を勉強する最後のチャンスだと思い
日本文学を専攻することにしたのだ。

で、日本語で谷崎潤一郎やら夏目漱石やら
三島由紀夫やら村上春樹やら
とにかく日本にいた頃それほど読まなかった作家の本も
たくさん読んだ(特に漱石)。

その中で『三四郎』という小説のこの部分にとても惹かれた。

「熊本より東京は広い。東京より日本は広い」
「日本より頭の中のほうが広いでしょう」と
熊本から上京する三四郎が
風変わりな男に汽車の車中で言われる部分だ。

熊本<東京<日本までは分かるが
日本<頭の中、というのがいい。

頭の中は無限だ。
何でも想像し、創造し、どこにでもゆける。

高校生の頃、教科書に「こころ」の一部が掲載されていて
「向上心のないものは馬鹿だ」という台詞や
三角関係、Kの自殺などが印象に残っていたけれど、
大学院で勉強した夏目漱石は
「日本の近代化を切り拓いた人」という印象を受けた。




東京よりも

日本よりも

私の頭の中は広いんだ。


年を重ねるにつれ、物が思い出しにくくなるのも、
脳細胞の死滅のせいではなく、
単純に覚えているデータの数が増えたためだという。

データが増えて、脳の動きが「重くなる」とでも言えば適切か?


週末にそんなことに思いをはせ、
明日からまたがんばろう、と思い、
また夏目漱石を読み返そう、と思った。