セグメントゲームズ

元ゲームプランナーという、しがない肩書きだけが取り柄のゲームブログ。生ラジオの告知が中心で、たまにテキスト対談を更新中!

PSP『.hack//Link』 ファーストインプレッション

2010年08月14日 13時45分55秒 | 【旧】購入・レビュー話
 (※左が通常版・右が「絶対包囲パック」です)

.hack//Link
対応ハード : PSP
発売元 : バンダイナムコゲームズ
開発 : サイバーコネクトツー
発売日 : 2008/03/04
希望小売価格 : 通常版:6,279円(税込) 絶対包囲パック:10,479円(税込)
ジャンル : アクションRPG
プレイ人数 : 1~3人
通信機能 : アドホック通信対応
通信機能 : データインストール対応(必要な容量:860MB)
 ※データインストール…メモリーカードにダウンロードすることで、ロード時間が短縮されます。
CERO : B(12才以上対象)

参考データ--------------------------
購入価格:1,898円(通常版・中古)
実績:「.hack//SIGN」のストーリープレイ中・DVDに一通り目を通す
プレイ時間:約2時間+DVD視聴に2時間
-----------------------------------
※私は過去に初代『.hack』・『.hack//G.U.』をプレイ&『.hack//Liminality(リミナリティ)』を見ています。その他のシリーズ作品は知りません。そのうえでの評価になることをご了承ください。


●「The World」最後の戦いを見届けよ
今作は、サイバーコネクトツーがあらゆるメディアで展開してきた『.hack』シリーズの最新作です。今作でこのシリーズは最終章となるそうで、これまでのシリーズ作品のキャラクターが、パートナーとしてほぼ総出演します。そのパートナーと協力して繰り出す「ユニゾンコンボ」「クロスレンゲキ」が、今作の特徴です。
また、これまでのシリーズ作品を時間軸に沿って駆け足で振り返ったDVD「.hack//historical Disc」も同梱されています。

◆あらすじ
世界最大のネットワークゲーム「The World R:X(リビジョンX=最新バージョン)」。このネットゲームに憧れる「トキオ」という少年がいました。
ある日、彼の通う学校に「彩花」という女性の転校生がやってきます。トキオはその昼、その転校生に呼び出されます。そして、何が何やら分からないうちに、トキオはなぜか「The World R:X」の世界に入り込んでしまいました!

そこでトキオが目にしたもの。このゲームの象徴とされる拠点「マク・アヌ」の寂れた姿と、「石化」させられた歴代の勇士たちの惨憺(さんたん)たる有様でした。
そこに、トキオを狙う謎の人物。そしてそれを守るために初代『.hack』の勇者カイトが現れます。トキオはここから、「時代をさかのぼって」歴代の勇士たちを助け、元凶であるCC社(サイバーコネクト社=The Worldの管理会社)の陰謀に迫っていくことになります。


●DVD「.hack//historical Disc」で振り返られるシリーズ作品について ※計138分
◆アニメ『.hack//SIGN(サイン) 収録時間:35分
主人公「司(つかさ)」は、ある日「The World」からログアウトできなくなり、生身の体がネットの世界に入り込んでしまいます。
原因を探るにもどうしていいかわからず、最初は引きこもりがちで人を寄せ付けないところのあった司ですが、ミミルを初めとする様々な仲間との出会いで徐々に心を開いていき、自分の意思を伝えられるようになっていきます。

◆PS2専用ゲームソフト『.hack 収録時間:18分
友人オルカの誘いで「The World」に初めてログインした主人公カイト。そこで、スケィスと呼ばれる異形の存在に襲われ、オルカの操作プレイヤーが意識不明となります。
同時にカイトは「データドレイン」という、データを改ざんする異形の能力を入手します。データドレインに反感を抱く者と対峙しつつも、意識不明の原因を突き止めるべき、カイトはブラックローズを初めとする様々な仲間と出会いながら戦いに挑みます。

◆アニメ『.hack//Liminality(リミナリティ)』 収録時間:19分
初代『.hack』に同梱されていたアニメ作品で、初代『.hack』と同時間軸で描かれた現実世界での物語です。
ヒロインの水無と元CC社員の徳岡を筆頭に、4人の仲間が協力して意識不明者の原因を探るべくCC社に忍び込みます。

◆アニメ&漫画『.hack//黄昏の腕輪伝説 収録時間:16分
初代『.hack』での活躍によりカイトを初めとする仲間たちは「.hackers」の名で英雄となります。そのキャンペーンでカイト・ブラックローズと同じコスチュームを偶然にも入手した兄妹・シューゴとレナは、「カイトの意思を受け継ぐもの」として異形なる戦いに巻き込まれていき、そして「黄昏の腕輪」によって「データドレイン」の力も入手することになります。

◆アニメ『.hack//Roots(ルーツ) 収録時間:17分
「The World」がR:2(リビジョン2)にバージョンアップされ、さらに繁栄はしたものの「PK(プレイヤーキラー=プレイヤーを倒す行為)」が横行する無法地帯になっていきました。そんな中、初めてこのゲームにログインした主人公ハセヲは、いきなりPKの餌食となります。しかし、謎の男オーヴァンにより蘇生。オーヴァンは、ハセヲに眠る「特殊な能力」の予感を察し、ハセヲを自分のギルド「黄昏の旅団」へと招きいれようとします。

◆PS2専用ゲームソフト『.hack//G.U. 収録時間:24分
「黄昏の旅団」の一員であった志乃(しの)は、カイトに似た「三爪痕(トライエッジ)」という存在の襲撃によって意識不明者となり、オーヴァンは姿を消しました。(※ここまではRootsの話です)
ハセヲは、死に物狂いで強くなり、いつしか「死の恐怖」と呼ばれるPKK(=プレイヤーキラーを倒す行為)となり、恐れられる存在になります。そんな中、オーヴァンとの再会。志乃が意識不明になった場所に、三爪痕が帰ってくることを告げます。


●ざっくりと流れを説明
今作は、これまでのシリーズ作品のようなオンラインゲームっぽい自由度はほとんどなく、基本的には決められたストーリーを進めていくのがメインになっていきます。

今回、ストーリーの中で「アカシャ盤」と呼ばれる施設が登場します。ここには、CC社の何らかの陰謀が隠されているとされていますが、その領域に侵入するには4つの「クロノコア」というものが必要になります。
そこでトキオは、アカシャ盤のなかにある泉に入り「過去のThe World」へとさかのぼります。そして、『.hack/SIGN』から始まるこれまでのシリーズ作品の物語になぞらって話を進めていき、「クロノコア」を探しつつ歴代の戦士たちの力を開放する、という流れになります。
ま、そういう意味では本当に「集大成」とは言えると思います。これまでの作品の物語全てに干渉していくわけですからね。


●基本的な操作方法
については、体験版のインプレッションをご参照ください。同じことを2回書くのも…ね。


●システム周りの説明
◆拠点での行動について
これまでのシリーズ作品では、拠点を自由に移動することができましたが、今回はコマンド選択式になっており、行きたい場所を選択・話しかけたいPCを選択…みたいな感じになっています。

◆カオスゲートからの移動について
拠点にあるカオスゲートからダンジョンや別のサーバーの拠点に移動できるのは、これまで通りです。
ただし、これまでは3つのキーワードを組み合わせて、それによってダンジョンが生成されていましたが、今回はすでに1つのキーワードとして完成したものから、行き先を選択することになります。

◆戦艦「グランホエール」について
ここは、トキオたちの活動拠点となる時空を超えられる戦艦です。

基本的には、ここで「アカシャ盤年代碑」というものを選択し、次に、プレイしたいストーリーを選択します。すると物語が進行できるようになり、ストーリーが一区切りすると、アカシャ盤年代碑に次のストーリーが出現…という流れになります。

グランホエールにはその他にも、着せ替え・BGMの購入&視聴などができるようですが、まだ現時点では全ての施設は開放されていません。
ダンジョンでは、おなじみの「ウィルスコア」も色々入手できますが、これを何に使用するかは今のところ分かりません。


◆partygameの評価◆…59点(100点満点)
キャラゲーとしてはいいのかもしれませんが…

やっぱりこれまでのシリーズ作品を経験している身からすると、最終作にきて作風がガラリと変わったように思いました。
戦闘についてはともかく、今作は本当にストーリーや雰囲気を楽しませることを重視しているという感じがして、システムについてはいろいろ簡略化されています。別に簡略化することは悪いわけではありませんが、問題なのは…なんか、ゲームとして面白くなくなっている気がするのです。いわゆる「典型的なキャラゲー」ってヤツです。

「キャラゲー」としては、それこそ歴代メンバーが登場(イベントではほぼボイス付き)しますし、「クロスレンゲキ」での演出は何かと嬉しいものです。ボス戦では各キャラごとにボーカル曲が用意されているのもファンには嬉しいです。
シリーズ作品のストーリーになぞらってプレイできるというのも、シリーズ経験者は何かと懐かしいですし、未経験の作品があっても個人的にはその断片を知ることはできるので、まあいいかな~と。DVDもありますしね。

ただ、ゲームとしての面白さが…今のところ、どこ?って感じではあります。
体験版でも指摘しましたが、バトルシステムの特徴である「ユニゾンコンボ」「クロスレンゲキ」の微妙さについては、製品版でもやはり考えが変わることはありませんでした。それに、簡略化されたことでなんか「オンラインゲームっぽくなくなった」んですよね。このシリーズ作品の大本のコンセプトは「オフラインでオンラインゲームの世界を楽しんでもらうこと」だったと思いますが、その概念はどこへやら?って感じです。
体験版から唯一改善されていたのは、移動してきたエリア移動ポイントがどこか?が全体マップで分かるようになったので、移動してきたほうに戻っていくというミスはしなくなったくらいです。

その他気になったこととして。
・「STUDIO 4℃」による個性の強いオープニングムービーは…まあ、万人向けではないですね。完全新作なら別にいいんですが、シリーズ作品の集大成ですからね…。おそらく90%以上の人が、各キャラのイメージを微妙に崩されたことでしょう。
・ロードは…データインストールありならほとんどかかりません。ただ、最初の起動時(=データインストールがない状態)でのロードはやたら長かったです。約20秒くらいです。インストールデータなしだと、ちょっとキツいのかも?
・これまでのシリーズ作品の主人公はわりと暗かったり落ち着いた印象のあるキャラが多かったですが、今作の主人公であるトキオは比較的明るい性格の持ち主です。人によっては「なんか場違い」と思うかもしれませんが…まあ、歴代シリーズのキャラと絡んでいくということでは、いわゆる「典型的な性格」のほうが合わせやすかったんだろうな~とは思うので、個人的には別にこれでもいいかと思いました。
・どちらかというと問題なのは、ヒロインの彩花。いろいろ無茶振りすぎて、しかもトキオよりラクをしているように見えるし、場の空気を読まずにクロノコアを優先したりで、なんか無性に腹が立ちます。「ツンデレ」ならぬ「ツンツン」です(笑)
・通常イベントでのキャラクターの口パクに違和感あります。いわゆる本当にパクパクするだけで、しかもボイス付きなのでなお違和感があります。こうなるくらいなら、口パクなくても良かったのでは…?
・DVDの話になるんですが、名場面を抜き出すにしてももう少し考えて欲しかったです。私が経験している作品でいうなら、初代『.hack』の紹介はやたら短いうえに「クビア」については全く話がでません。『G.U.』でもクビアの話は丸ごと省略されており、しかもトライエッジの正体も分かりません。シリーズ未経験者はストーリーは間違いなく理解できないと思います。せめてこう…メインのお話がつながるような流れで見せて欲しかったです。もしかしたら今作のゲーム内で語られるのかもしれませんが。
・戦艦「グランホエール」でメールを見るときだけ、なぜか縦持ちで見ることになります。いわゆる携帯電話っぽい形に合わせたかったんだと思いますが…ここだけ無理にそうするメリットが、あまり感じられませんでした。


集大成ということですが、それ故に「キャラゲー」色が強くはなったように思います。そこにゲームとしての面白さもあれば良いんですが、正直、今のところゲーム内容自体には大きな魅力は感じていません。シリーズ経験者なら、まだキャラゲーとして楽しめる余地があると思いますが、未経験の人にはとてもオススメしづらいです。
これからストーリーが進めば、ゲームとしても面白くなってくれるといいんですが…どうでしょうね?個人的には変わらない気がするので、あとはストーリーで引っ張っていけるどうかですね。

まあ、シリーズ作品もキャラ達も好きなので、たぶんクリアはすると思います。
シナリオクリアしたら、セカンドインプレッションを書きたいと思います。


関連記事:
シリーズ作を改めて評価してみる vol.6「.hack(ドットハック)」(2007/10/06)
PSP『.hack//Link』 体験版インプレッション(2010/01/20)

その他のタイトルの評価は、こちらからどうぞ

※ストーリー内容など、ネタバレになるコメントはご遠慮ください。
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今週の写真 vol.42『山車(... | トップ | 今週発売のゲーム 2010/08/19 »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
終章の序章 (ダイヤ)
2010-08-14 22:57:25
ゲームとしてはこちらははハイスコア狙ったりして楽しみましたね。キャラゲーとしては良作だと思います。
小説や漫画のキャラまでフルボイスになっていたり各キャラの絡みも面白かったし。

後今冬OVAで.hack//Quantum というのも出るようです。全3巻で順次映画館で先行公開予定だって。
返信する
Unknown (partygame(管理人))
2010-08-15 23:00:38
>ダイヤさん
『.hack//SIGN』を詳しく知らないので今のところはアレですが、知っている作品が絡むと、テンションは上がってきそうですね。

>>『.hack//Quantum』
最終章と言いながら厳密には最後ではなかった…ってわけですかね。でも、ゲームメーカーなんですから、最後の最後はもう一度ゲームで締めて欲しい気がします。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

【旧】購入・レビュー話」カテゴリの最新記事