TDY、Temporary Duty。アメリカの軍隊用語で出張を意味する。世界の僻地の出張記録!TDYの次は日常の雑感

現役時代の出張記録。人との出会いと感動。TDY編を終え、写真を交えた日常の雑感を綴る。

折々の写真&雑感 140

2017年11月19日 | エッセイ
 30才を少し過ぎたころ、アメリカ空軍のカミサリー・ストアー(2016年9月12日付の「折々の写真&雑感78」をご参照願いたい)の仕入れの責任者の任についていた。向こう90日間の需要を予測し、在庫品に過不足のないようにしなければならなかった。品物が無くならないようにするには多めの商品を仕入れればいいのは分るが、それでは倉庫が満杯になり、それにかかる費用も莫大になる。最小限の予算で最大の効果を出さなければならない。仕入れの総費用は軍の上層部に予算を提出し、事前に許可を得ておく必要があった。その為には我々が属する6100支援部隊全体のカミサリー・ストアーを管轄する部署との打ち合わせが必要であった。そして双方で予算編成書(我々はアロケーションと呼んでいたが、一種の予算割当書である)を作成し、数字合わせをする。同じ数字を基にするわけであるから、私の数字と当該カミサリーを統括する部署で同じ数字にならなければならない。我々の統括担当者は50歳をいくらか出たばかりのご婦人であった。アメリカ人には珍しいほど控えめな、気さくなオバさんであった。最初から私と気が合った。その年の各月の実際の数字のチェック。その年の実績を基礎に置いた翌一年分の各月の予測等々を電話で突き合わせる。二人の数字が隔たった場合は、お互いにその根拠を主張する。

 前年までのヒステリックなご婦人は数字合わせの際に私を彼女の事務所まで呼びつけた。私との数字が合わないと、何が何でも自分の意見を通そうとした。そして彼女のリポートに無理やりサインさせられた。その結果、上から「数字がおかしい」と突き返されると、全て私に責任を押し付けてきた。「リポートには貴方も確認のサインしたのだから、貴方に責任がある」と云った。オーディタ―(会計検査)の大尉が我々の事務所に検査に来た際、たまたま私の資料と前年度の予算編成のドラフト(下書き)を見て、過去の予算編成のミスは私の責任ではなかったと上に報告してくれた。その結果、此のヒステリックなご婦人は馘首された。

 後任に採用された統括担当者が、先の控えめで穏やかなE夫人だったのである。私の事務所へは彼女の方から挨拶に来てくれた。そして仕事の打ち合わせを済ませると、予算編成の数字合わせは電話で行うことにした。実際の仕事にかかり、彼女との予測の数字が合わないと、じっと私の意見に耳を傾けてくれた。その後に彼女の意見が述べられた。意見が合うまで続けられた。双方で納得したうえでリポートが作られ、二人揃ってサインした。実に気分が良かった。上から反論が来ると、必ず二人で対処した。殆どの場合は我々の数字の正しさが実証された。

 先週の木曜日(11月16日)に塩山のころ柿の里、恵林寺、甘草屋敷と写真を撮りに行った。写真仲間と朝早くの待ち合わせであったので、寝不足は電車の中で解消するつもりでいたが、目的は果たせなかった。
 塩山からタクシーに分乗して岩波農園に向かった。今年の柿は小さく数も少ないと農園のご主人がこぼしていた。「折々の写真&雑感」の35と88にもころ柿の写真を掲載したが、今回とは比べようもなく大きく、美味しそうであった。


キヤノンEOS5Dに24-105mm、4Lを装着。 ISO:100、 f11、 1/125秒、 露出補正:-1、 WB:オート。


キヤノンEOS5Dに24-105mm、4Lを装着。 ISO:50、 f11、 1/600秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
 柿を干す作業をしながら、「富士山の様子から、午後は風が吹いて寒くなりますよ」と農園のご主人が云っていた。だが、その時はマフラーを外すほどに温かかった。


キヤノンEOS5Dに24-105mm、4Lを装着。 ISO:100、 f11、 1/100秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
 岩波農園の道路の反対側にある恵林寺。柿が不作の所為か平日であったからか参拝客がまばらだった。だが、写真を撮るにはありがたい環境であった。


キヤノンEOS5Dに24-105mm、4Lを装着。 ISO:400、 f11、 1/25秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
 此のきれいな紅葉を撮る頃には風が吹き、かなり気温が下がってきた。正式な天気予報より、土地の人の予報の方が正確であることを再認識した。


キヤノンEOS5Dに24-105mm、4Lを装着。 ISO:100、 f11、 1/100秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
 甘草屋敷の柿も例年より小さかった。ここでは柿を吊るす紐をビニールではなく、必ず木綿の紐を使ってくれている。初めてこの甘草屋敷に訪れたとき、「写真を撮るのに、その方がいいでしょ」と心優しい職員のご婦人が云っていた。それ以来何年も経っているが、ずっと木綿の紐である。


キヤノンEOS5Dに24-105mm、4Lを装着。 ISO:100、 f11、 1/25秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
 例年はこの離れにも所狭しと柿が吊るされているが、今年はここまで廻ってこないらしい。井戸の周囲の柿を期待したが、そこにもなかった。