日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

ソニーとテルモ、オリンパス提携相手選択の肝

2012-07-27 | 経営
医療機器メーカーのテルモがオリンパスに統合提案を公開で行ったという件、先行して資本出資による提携話をすすめながらなかなか具体案に至らない“本命”ソニーとのプランに一石を投じるモノとして大いに注目に値する話であると捉えています。

ソニーとの資本提携とテルモの提案との一番の違いは、「弱みの補強」か「強みの強化」かという点にあります。ソニーがこれまで、パナソニックや富士写真フィルム等他のオリンパスへの資本出資提案企業よりも本件を優位に進めてきた背景には、オリンパスの不振部門であるカメラ事業の立て直しにデジカメ世界シェア2位ソニーとの提携による部品調達コストの改善等による採算改善の見通しが大きいと言われています。個人的な印象では、オリンパスの「弱みの補強」にエレキに替わる新たな柱探しのソニーが便乗したどこかすっきりしない形かと感じておりました。

一方のテルモの提案の趣旨は、老舗の大手医療機器メーカーとして長年の医療機器事業におけるノウハウを活かし、得意分野がバッティングしないオリンパスとの提携により、患者負担が少ない医療機器開発をはじめとした医療機器分野における技術革新を推し進めることで、世界を相手に対等に戦える企業の実現をめざすというもの。こちらは、オリンパスの稼ぎ頭である医療分野を同業大手のノウハウによってより強固なものに仕立て上げようというお互いの「強みの強化」であると言ってもいいのではないでしょうか。ビジョン性の有無という観点から考えても、個人的にはこちらの方により説得力を感じるところです。

そもそもソニーがオリンパスへの出資表明をした段階から、「またもソニーイズムに反する人のフンドシ・ビジネス?」と思わされたものです。たまたま出資提携に関する競合先が同じ、“技術先行型”のパナソニックや富士フィルムであったがために、最もシナジーが大きいと思しきソニーが同じ土俵での比較優位により、“本命”として話が進んできた感が強くあります。オリンパス側のメリットは、先にあげたオリンパスカメラ部門の採算改善に加えて、ソニーの画像センサー技術を内視鏡分野に活かすという技術的な側面もありますが、あくまでお互いの「企業の論理」一辺倒を脱しきれない提携話ではないかと思わざるを得ないところなのです。今回、テルモの提案が登場したことでその点がより一層鮮明になった気がします。

ソニーの資本出資提携話が遅々として進まずにここまで来ていた原因は、どうもこの「企業の論理」から今一歩脱しきれないソニーの提案に、オリンパス側が二の足を踏んでいたのではないか、とも思えてきます。言ってみればこのところのソニーの凋落の最大の原因を担ってきた「利用者目線の欠如」が、こんなところにも現れそれがオリンパスに伝わるが故の提携話の停滞ではないのかと。医療機器の老舗大手テルモが、共に手を携えてその医療分野におけるノウハウを投じて新たな患者負担の少ない製品開発をおこなおうという提案の方が、よほどかつてのソニーイズム的製品開発に近いのではないかとすら思わせられはしないでしょうか。

提携先の選定にはマーケット動向も重要な要素にはなるわけで、新聞報道によれば「株式市場では、それでもソニーが有利との声が多い」(日経新聞27日朝刊)とか。マーケットはどうしても短期的な見通し優先でものを考えがちであり、これはやむを得ないことなのかもしれません。しかし、当のオリンパス経営陣と同社株主がどう考えるべきか、これは別問題ではないでしょうか。オリンパス経営陣や株主の皆さんにおかれましては、同社が過去に犯した不祥事が「企業の論理」の行き過ぎが引き起こしたものであるとの認識を今一度新たにした上で、ソニー、テルモどちら提案がより同社にとってあるべき道を歩ませる提携になりうるのか、そう言った観点からも慎重な検討を重ねて結論を導き出すべき問題なのではないかと考えます。
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