日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

ハワイにおける日中韓の新勢力図

2012-06-05 | 経営
ハワイネタ第2段です。今回は6年ぶりのハワイでしたが、この間のハワイにおける日中韓アジア三国の経済勢力図的観点からの変化に関し、気がつかされたことがあります。

まず中国。とにかく中国観光客の多さには驚きました。6年前にはほとんど見かけなかった中国人観光客。私は車で島内をけっこう動き回っていたのですが、どこに行っても聞こえてくるのはあの大きな声で仲間内とやり取りをする中国語の会話でした。ワイキキやアラモアナあたりの観光客向けの店舗では、日本人に負けないくらいの数の中国人が集団で行き来し、日本人観光客にはあり得ないようなあの“大量買い”で賑わっていました。

一言「すごいなー」「元気だなー」と言う感じ。日本で言うと、ちょうどドル円の為替相場が変動相場に移行し、大量の日本人観光客がハワイに押し寄せ始めた80年代ぐらいのイメージでしょうか。“ノーキョー・ツアー”に代表されるような、まだまだ旅慣れなかった日本人団体ツアーが現地やアメリカ本土からの旅行者の眉をひそめさせた、あの感じかなと。中国の急激な経済成長をみるに、中国資本がハワイの不動産を買い漁り、高級住宅地に中国人の別荘が立ち並ぶなんて光景も意外に遠くない将来あるのかもしれません。

韓国は観光客が急増した印象はなかったものの、目に付いたのは家電製品の進出。ホテルの部屋に備えつけられたテレビはLG製。街中のショップで見かけたモニター画面も軒並みサムスン、LGでした。以前はどうかと言うと、メイド・イン・ジャパンは価格が高かったせいでしょうそもそもあまりみかけず、記憶ではオランダが本拠の多国籍企業フィリップスあたりの製品が主流であったように思います。性能から言えばメイド・イン・ジャパンを使いたかったハワイの人たちが、価格面で敬遠していたところを、性能は日本並み価格は破格という韓国勢が一気に席巻したという感じでしょうか。この6年の間に様変わりといった様相です。

さて、対する日本は。一昔前のワイキキと言えば、ブランドショップに群がる日本人観光客の姿がその象徴であったのですが、すっかり影をひそめた感が強いです。円高の恩恵で大幅に価格低下した並行輸入品が国内のディスカウントショップやネットでも簡単に購入できるようになったこと、最近の若者がブランド品や高価な買い物に対する関心が低下したこと、リーマン以降の景気低迷で財布のヒモが締っていること、等などいろいろ理由はあろうかと思いますが、良い悪いではなく日本の元気の無さを象徴しているように思えました。過去連日お祭り騒ぎの賑わいだった免税店も閑古鳥でした(店内で唯一若者が群がっていたのは、ToryBurchぐらい)。

こうして見てみると、日本人があらゆる面で親しんできたハワイと言う「ほぼ日本」と言われてきた土地でさえ、個人の消費経済は中国勢に、法人のビジネス進出では韓国勢にすっかり押しまくられているいる感じがよく分かります。それはとりもなおさず、ハワイが結局アメリカであって日本でなはいからこそ明確に見えた現実なのであって、これが今の日中韓アジア三国の経済的な力関係に他ならない気がしました。

「規模の中国」「技術の韓国」、対する日本は如何?個人消費における経済力の低迷、国を代表する大手企業の国際競争力の低下を痛切に感じさせられるにつけ、この先この状況を打開する局面は再び訪れることはあるのか、複雑な思いを抱かされます。5年後、10年後、ハワイのアジア三国勢力図はどう変わっていくのでしょうか。

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2 コメント

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ハワイも、ですか・・・ (かおるパパ)
2012-06-06 17:09:20
はじめまして。

ハワイも、ですか・・・

10年間ほど、タイ・バンコク、メコン川流域(タイ北部、ミャンマー・ラオスの一部)を見てきましたが、「日本危うし」です。

①バンコク高速道路から見える企業の看板
昔は日本のメーカーのが多数ありましたが、徐々に韓国企業のものに変わってきてます。

②観光客
特にタイ北部は昔から中国人が多かったのですが、更に目立ってきました。
また、ここ数年、韓国人の団体にも多く遭遇しています。
欧米人はリーマンショック以降減少し、それを埋めるように中韓が進出している印象です。
なお、日中韓の見分け方は、
中国人:高級なスーツを着ている
韓国人:服の色使いが特異(赤+青/緑)、うるさい
日本人:身なりは欧米人と類似(つまりラフ)

③タイの携帯電話
昔は日本製もありましたが、すぐに主流がノキアになり、そして今はサムスンばっかり。

④デジタルカメラ
タイでデジカメが必要になり、量販店にでかけました。
価格、機能、操作性を比べると、日本製は見劣りし、結局サムスンのを購入。
どう考えてもSONYよりSAMSUNGの優位性は明らか。
かなりショックでした。

⑤投資
メコン川流域の土地を中華系が買占めに走ってます。
場所によっては地価が10年前の10倍に高騰。
今年に入ってミャンマーの活気がすごい。実際に動いているのは中華系の資金です。日本は完全に出遅れています。

で、日本は・・・
あと5年ももたないんじゃないでしょうか。

アジア新興国を見て感じることは、日本が(日本も?)低賃金でも暮らせるような国になれば、国際競争力が向上するのではないか、ということです。
かおるパパ様 (OZ)
2012-06-06 19:57:07
貴重な情報ありがとうござます。

大変興味深いお話です。私も知り合いにタイで事業を営んでいる経営者がおりますので、いろいろ調べてみたいと思います。

今後とも拙ブログをよろしくお願い申し上げます。

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