オヤジよ、ギターを弾け!!

就職で、結婚で、育児で…封印されたロック魂。時空を超えてよみがえる。ギターをかき鳴らせ、ドラムをぶっ叩け!!

D001「Grand Funk Railroad」

2006年11月29日 | D:名鑑
新シリーズを始めます。シリアル番号のDは、directory(名鑑)です。アーティスト・曲について思いを綴ります。「アーティスト名鑑」とも言うべきシリーズです。

最初は、Grand Funk Railroadです。このバンドは、バンド名が長いので、関係者の間で、正式名で呼ばれることは、まずありません。Grand Funkあるいは、GFRと略して呼ばれます。

アーティスト名鑑のトップは、何と言ってもGrand Funk Railroadにしたいと思っていました。私にとって、初めてのロックバンドだからです。たしかに、ラジオから、シカゴやディープ・パープルの曲は流れてきていましたから、ある程度ロックバンドは知っていました。しかし、当時Grand Funk Railroadほど、心を“鷲づかみ”したバンドはありませんでした。シンプルでストレートな音が、中学生にも分かり易かったのだと思います。

たった3人なのに、そのエネルギーは、4人編成、5人編成にも匹敵するくらいです。特に、「LIVE ALBUM」(Grand Funk Railroadは、何枚もライブ盤を出しているので、ファンの間では「70年ライブ」と呼ばれます)は、ロックの魅力を詰め込んだアルバムとして歴史上の名盤として高い評価を受けています。

同アルバムに収録されている“In Need”の1コーラスを聞くと、3人の気持ちが1つに合体して、大きなパワーを生み出していることが感じられます。

ほとばしるエネルギー。それが、Grand Funk Railroadの魅力です。


E009「ジャンボフレット」

2006年11月28日 | E:エッセイ・雑感

速く弾くことは、ギター小僧の目標です。

そのため、軽い力で、それこそ「触れる」くらいの力で、弦を押さえることで音が出るギターが好まれるのです。

前回のスキャロップ加工もその目的でなされる工夫です。弦とフレットが近く、逆に弦から指板(しばん)までが遠いと、軽い力で音を出すことができます。

スキャロップだけでなく、“ジャンボフレット”も同様の理屈が成り立ちます。ジャンボフレットというのは、通常のギターより幅も高さもジャンボサイズのフレットのことです。ジャンボフレットであれば、速く弾くことができます。アイバニーズ製のギターが代表格です。

原理は、スキャロップと同じですが、指板をいじらないため、フレットの交換が容易いというメリットがあります。

しかし、押さえやすくても、グリッサンドをしにくいのは、スキャロップと同じです。

速弾きとグリッサンドは、両立しないといえます。こういう二律背反の関係をドレードオフというのだそうです。



E008「コード“F”」

2006年11月20日 | E:エッセイ・雑感
今回は、“F”について述べます。Fとは、コード(chord:和音)のことです。

ギター、特にエレキギターは、今でこそリード楽器(メロディーを奏でるソロ楽器)ですが、歴史的には、伴奏楽器としての役割を担ってきました。西洋音楽では、伴奏楽器は和音を奏でるのが役目です。ドミソ、ドファラ、シレソ・・・という具合です。したがって、ギター奏者の役目は、コードを弾くことでもあります。

いくつか、あるコードで、その後のやる気を左右するのが、“F”です。バレー(セーハともいう)を要求されるからです。バレーというのは、人差し指を指板上にべたっと寝かせて、複数の弦を押さえることです。力と要領がいるので、初心者にはなかなか難しい。初心者にとっての“関門”といわれています。

ここでも前に述べたスキャロップが役に立つのです。軽く押さえるだけで、Fもスカッと決まります。

かといって、Fを鳴らすためにだけに、スキャロップするのに抵抗がありますね。将来、転売するときには、改造品は大いに不利になることも考えるとなおさら躊躇(ちゅうちょ)します。

そこで、私が勧めるのは、“コードの簡略化”です。何も、常に6本の弦を鳴らす必要はないのです。3つの音を鳴らせば、十分です。特にハードロックでは、音数が多いとかえって全体の音が濁ってしまいます。

私は、“F”を5弦の3フレット・4弦の3フレット・3弦の2フレットの3音だけですませます。これで、最低限必要なドミソの構成音を出しています。

ところで、“F”のバレーができるようになっても、“Fm(エフマイナー)”で4弦の音がしっかり出る人はなかなかいないようです。あなたはどうですか?


E007「スキャロップの是非」

2006年11月19日 | E:エッセイ・雑感
スキャロップ(scallop)とは、波状に削るという意味です。ここでは、ギターの加工・改造を表すことばです。フレットとフレットの間の指板を削り込むのです。主にストラトキャスターのユーザーがやる加工です。

リッチー・ブラックモアが最初にやり出したと言われています。軽い力で弦を押さえることができるので、速く弾くことができます。

ギターは、弦楽器です。弦とフレットの位置で、音程(音の高低)が定まります。例えば、5弦(2番目に太い弦)の3フレットを押さえると、“C(ド)”の音が、5フレットを押さえると“D(レ)”の音が出ます。同じ太さであれば、長い弦は低い音、短い弦は高い音が出るところ、フレットで弦の長さを変えていることになります。

ところが、しっかり押さえないと、ビリビリと異音がして、きれいな音が出ません。ストラトキャスターやテレキャスターなどフェンダー系のギターを弾いたことがある人は、御存知と思いますが、フレットの高さが低いので、しっかりとした音を出すためには、弦がフィンガーボード(指板)に付くくらいしっかり押さえなければなりません。すると、別の場所で次の音を出そうとすると、その準備に“時間”がかかることとになります。

逆にフレットが高いと指板を気にすることなく、軽い力で弦を押さえることができます。そこで、速く弾きたいリッチーは、指板を掘り下げて、フレットが高い状態を作り出したのです。

フォロアーが人気プレイヤーの真似をするのは、世の常。多くのギタリストがこれを真似ました。かく言う私も(^^;今では、既製品もあります。

速く弾きたい人だけでなく、指の力が弱い人、指の皮膚が軟らかい人にとっても、演奏が楽になるので、支持されています。

ところが、あまりに削ると凹凸が大きくなるので、グリッサンド(指を異なるフレットにスライドして滑らかに音程を変更する)がしにくくなるだけでなく、ネックの強度が弱くなり“反り”を誘発します。しかも、1弦側を深く加工する場合は、ねじれてしまうおそれもあります。

ですから、ほどほどに止めておいた方がよさそうです。私も、「もっとやろうかな。でも、試奏してからにしよう」とテストしたところ、むしろやり過ぎでした。不十分ならば、もう一度削り直せばよいですが、削りすぎると元にすることはできないので、くれぐれも御注意を。

E006「おぬしタダ者ではないな」

2006年11月18日 | E:エッセイ・雑感

先日、ギターの改造に使う工具を探しに、上野にある工具専門店「フレッシュ・ギアー」を訪れました。

店員は、ロックはおろか音楽をやりそうな風体をしていなかったので、
私は、ていねいに「かくかくしかじか・・・」と工具の使用目的を説明しました。

すると、店員の顔がだんだんニヤけてきます。「なんだ、この人。失礼だな」と感じました。

「分かりますか?」
「ええ、“スキャロップ”ですね」
「そうです。そうです」
「リッチー・ブラックモアみたいにやりたいのでしょ」
「そうです。そうです」

何と。ジャストミートです。

聞けば、昔バンドをやっていてドラムを叩いていたそうです。
レパートリーは、もちろん、Deep Purple!!
しばし音楽談義に花が咲きました。

思わぬところで“イアン・ペイス”を発見。

みなさん、オヤジロッカーは、どこに生息しているか分かりませんぞ。

※ お断り: 本ブログでは、人名・団体名は架空のものです。

N001「セッションでの主導権を奪う方法」

2006年11月17日 | N:ノンフィクション
秋葉原にある音楽スタジオ、これからセッションが始まる。

集まったのは、坂上、浦田、そして平田。担当楽器は、順に:ギター兼ボーカル、ベース、ドラムである。

坂上と浦田が準備をしている様子を見て、「手慣れていますね。お二人ともプロのミュージシャンみたいだ」と世辞を言う。

「じゃ、Are you ready(GFR)から参りましょう」と主催者である坂上が言う。
「ワン、ツー」とカウントをとるが、平田がついて来ない。
「スミマセン。入り方が分かりません。忙しくて練習する時間がなかったものですから」と言い訳する平田。

「しょうがないなぁ。じゃ、せーので一斉に入りますよ」と浦田が言う。

どうにか曲が始まったものの、構成の切れ目が分からないから、たどたどしいドラミングだ。

「こんなじゃダメ。最初からやり直し!」と厳しい浦田。とりあえず、1曲を終える。

「次、Hearbreaker(GFR)」

この曲は4つのコードを繰り返すだけだが、ドラムの変化の激しい曲だ。1巡目は、ギターだけのはずだが、平田はもう叩いている。また、終盤のブレイクも決まらない。

「ドドドンパと叩いてブレイクですよ」と坂上が教える。

こちらももたつきながらようやく終わる。

「もう1回やりましょう」と坂上が言うと、浦田が
「いや別の曲に移ろう」と遮る。
「申し訳ない。その曲も練習してません」と小さくなる平田である。

「困ったなぁ」と表情で目を合わせる坂上と浦田。

突然、平田が
「ちょっと、車を見てきます。路上駐車しているもので」とスタジオを出て行く。

ほどなくして、平田が戻る。

さっきとは、雰囲気が違う。サングラスをかけて尊大なイメージを漂わしている。

「打合せをちゃんとやりましょう。スタジオの外で」

この手のセッションでは、通常「この曲をやりましょう」といわば“課題曲”が事前に決められる。貴重な時間を有効に使うためだ。譜面を渡されて初見で演奏する形態はプロではありうるが、アマチュアではほとんどない。場合によっては、曲の完成度を求めない、単に合奏を楽しむための曲が示される。これを“遊び”(アマチュアなのだから課題曲を演奏することも広い意味で遊びではあるが)と称することがある。

今回の呼びかけ人で主催者である坂上と平田、坂上と浦田の間で打合せが行われ、課題曲そして遊びも決められていた。

「打合せは電話ですませているし、やるとしてもスタジオの中でもできるのに」と抵抗を示したかったが、渋々スタジオからロビーにでる坂上と浦田。

タバコをくゆらせながら平田は言う。
「私、GFRは嫌いです」
「・・・」
ロビーには、スタジオのスタッフや、練習を終えたバンドの連中がたむろしている。彼らに3人の会話は筒抜けであるから、坂上たちは思うように反論できない。ミーティングは、平田の主導で進む。

30分くらい時間を潰した後、スタジオに戻ると、
「○○はできますか」
「できますけど」
「じゃ、やってください」
と形勢がすっかり逆転した。

結局、5曲用意してあった課題曲は、ほとんど演奏されず、平田の“オハコ”のみが演奏された。

そこには、至極ご満悦な顔で、演奏する平田がいた。それは、カラオケで自己陶酔するおっさんの顔そのものである。

それにしても、平田は“かけひき”が上手い。残りのメンバーをスタジオの外に連れ出すことで、場面の転回を得ることができ、主導権を奪取することができたのだ。ケンカと同じである。さすがは、百戦錬磨の不動産屋である。世間知らずの坂上らがかなうはずもなかった。

(おわり)

※ お断り: 本ブログでは、人名・団体名は架空のものです。

E005「カヴァー」

2006年11月06日 | E:エッセイ・雑感

関東のFMラジオ局で“Beat on the Road”でオリジナル&リメイクという原曲とカヴァーを聞き比べるコーナーがありました。「へぇー、この曲はカヴァーだったのか。オリジナルとばかり思っていた」と仕上がりの良さに感心することしばしばでした。

ここで、カヴァー(cover)とは、楽曲を編曲して演奏することです。ちなみに、そっくりに模倣することはコピー(copy)といいます。

原作を越えたカヴァーはいつかあります。クリームのCrossroadsが典型例でしょう。原曲はごく普通のブルースですが、クリームによって超一流の楽曲に仕上がっています。しかもこれがライブ録音というのですから驚きです。いやクリームだからこそテンションが高まるライブの方がよい仕上がりになったのでしょう。

個人的には、バングルズのHazy Shadow of Winter(冬の散歩道)にカヴァー大賞をあげたいです。はじめてこのカヴァー曲を聞いた時は、「やられた!」と衝撃を受けました。私もサイモンとガーファンクルの原曲を聞いているはずなのに、その魅力に気付かなかったのが悔しかったのです。この曲もフォークと先入観を持って聞いていたのでしょう。

あらためて聞き直すと、原曲はアコースティックギターを用いているのですが、リフなどにロックとしての魅力を秘めていることが分かります。

使用楽器とアーティストのカテゴリー(ジャンル)に捕らわれることなく、ロックとしての魅力を見出したバングルズには脱帽です!

E004「“ブスかわ”なロック」

2006年11月04日 | E:エッセイ・雑感


“ブスかわ”とは、今の若者言葉で「不細工だけど、可愛い」の意味です。例えば、「この犬ブスかわ」と使うようです。

音楽で言えば、“ヘタうま”にあたるのでしょう。
例えば、BBA(Beck Bogert & Appice)「ライヴ・イン・ジャパン」のBlack Cat MoanでJeff Beckのボーカルを聞くことができますが、上手とはいえないけれど、独特の雰囲気を醸し出しており好印象です。

才能のない私が目指すべきは、この“ヘタうま”でしょう。つまり、
「ヘタクソだけど、何か魅力があるね」と言われたいと思います。
ここでいう魅力は“ロック魂”と考えてください。
「君の演奏を聞く(見る)と、70年代、80年代の雰囲気が伝わってくるようだ」と言われたいのです。

それにしても、「パナい」(半端じゃない),「ヤバい」(とても上手い)などの簡略化された若者言葉を聞くにつけ感じます;独自の世界・文化を築いてサブカルチャーを形成しているのか。
それとも、語彙力の低下あるいは、多くの音声を発することができないというオーラル能力の低下の表れでしょうか。

ま、私が詮索しなくても、歴史が判断してくれることでしょう。

E003「恵まれた時代」

2006年11月03日 | E:エッセイ・雑感

長いブランクを経てバンド活動を再開したのは、去年(2005年)です。私が学生だった頃に比べて音楽シーンは激変しており、隔世の感があります。

まず、楽器が安いのにビックリ。ギブソンのレスポールが10万円台で買えるのですから。

「楽器が安くなったね」と、楽器店で古参の店員にいうと、
「昔の3分の1に下がってますね」という返答でした。

アマチュアでも手軽にフェンダーやギブソンが買えるのですから、いい世の中です。

次に、コンピューターの発達で音楽シーンは激変しました。特に、1990年代に登場したインターネットに接続することができるようになって様々な恩恵がもたらされています。例えば;

・インターネット上のお店でCDや楽器を買うことができます
・歌詞やタブ譜を無料で手に入れることができます
・ラジオで放送された曲のタイトルを知ることができます
・YouTubeなど動画サイトで音と映像を楽しめます

個人的には、CDを借りる際に活用しています。図書館のコンピューターとインターネットでつながっているため、自宅にいながらCDを検索し、予約することができのです。

コンピューターは、バンドマンにも数々の恩恵を与えています。メンバー募集もBBS(掲示板)を利用すると、タイムラグなしに、募集をかけることができます。また、メンバー間の音源のやり取りを簡単にできます。ミュージシャンによっては、作曲に利用している人もいるようです。

他にも利用法があるのかもしれません。まったく、あきれるくらい便利な世の中になりましたね。