乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

長野県の高ボッチ(塩尻市)と長峰山(安曇野市)に行ってきました

2022年07月20日 | 参加報告

 7月下旬、長野県に行ってきました。メインの目的は、以前、当メールマガジンで紹介した※「蝶を指標とした、つまり、蝶に選ばれる里山管理」をしている長峰山の活動を見せていただくことでしたが、その手前にある高ボッチにも行ってきました。
    ※メールマガジン474(2022.4.13)

 まず、高ボッチ。森の中の狭い林道を30分くらい車で登ったら、急に視界が開け、ササ中心の草原が広がっていました。標高は約1,600m。ほぼ乙女高原と同じ標高です。お昼ごろ、駐車場に着いて、ビジターセンターを訪ねました。ここは「でいだらぼっち館」という名称なんだそうです。そこには高ボッチを紹介するパネルがあったり、グッズやコーヒーなどを販売するコーナーがありました。リニューアルされた感じです。スタッフさんも一人いました。そこに置いてあったチラシを見たら、ちょうど今日が年に一度の「みんなで守ろう 高ボッチ高原の自然」の日でした。一般公募し、午前中は外来種の駆除を、午後からは自然観察会をするのだそうです。ここまで登ってくるまでにたくさんの対向車とのすれちがいが大変だったのも、「あの人、役所の人だよね」という作業着を着ていらっしゃる方が4人でお弁当を食べていたので「何の用なんだろう」と気になっていたのも、すべて合点がいきました。
 聞いたら「塩尻市自然保護ボランティア」の方々が観察会を運営なさるとのことだったので、頼んで、観察会に参加させていただくことにしました。
 開会は塩尻市役所の職員の方が行い、そろいの緑の帽子をかぶった自然保護ボランティアの方々に引き継がれました。

 観察会はセンターのすぐ前にある、金網のシカ柵の中を歩くことから始まりました。テニス・コートくらいの広さの柵ですが、中は様々なお花が咲き乱れ、それらにたくさんの蝶やマルハナバチが訪れていました。

花は乙女高原で見られるメンバーとほぼ同じでしたが、ハクサンフウロ、ノハナショウブ、ユウスゲ、イブキトラノオ、それからまだ咲いていなかったクサレダマが目新しかったです。反対に、クガイソウの姿がなかったのは意外な感じでした。それから、乙女のコウリンカは花びらが細くて、下に反り返っているのが特徴的な花ですが、高ボッチのコウリンカはそれに比べ花びらが太いし、あまり反り返っていないし、変な感じでした。

 その後、柵を出て、展望台に向かって歩きながら観察しましたが、花の数が少ない感じがしました。理由は2つありそうです。


 一つはシカ。あれだけ「シカ柵内では花がいっぱい咲いて、それに訪花昆虫たちがいっぱい来ている」様子が高ボッチに来ている皆さんに「見える化」されているのだから、乙女高原のように、もっと広いシカ柵を設置することを考えればいいのに・・・と思いました。高ボッチの全エリアをシカ柵化することはおそらく無理だと思います。一部をシカ柵化することによって、「シカ柵があればこうなる」「なければこうなる」という比較ができ、それはそれで非常に価値があることだと思います。
 もう一つは草刈り。夏場も草刈りしているエリアがあるそうです。そのせいか、そのエリアは草丈が低く、草たちの勢いがないように感じられました。乙女高原で行った「草刈り実験」でも、夏の草刈りが草たちの生育に大きな影響を与えることが分かっています。
 展望台からの眺めは絶景でした。諏訪湖が見えます。富士山まで見えます。振り返るとまだ雪が残るアルプスの山々が見えました。

 でいだらぼっち館前に戻って、解散でした。希望者には塩尻市によって送迎の車も用意されていたようです。自然保護ボランティアの皆さん、ありがとうございました。

※高ボッチの自然保護ボランティアについては以下の動画を参照してください。
 https://www.youtube.com/watch?v=scQm_04XOOI

 それからしばらくの間、一人で歩き回りました。夏の間、牛の放牧場として利用されているエリアもありました。なんと、草競馬場までありました。

駐車場からホザキシモツケがいっぱい咲いているのを横目に見ながら下ると、ヒョウタン池という、トノサマガエルがいっぱいいる池がありました。

 高ボッチから下ると、崖の湯温泉に出ます。ここに宿泊しました。木の匂いのするお風呂と、山菜豊富な美味しい料理でした。
 翌朝、崖の湯を出発するときはそうでもなかったのですが、途中から本降りになり、風まで出てきて、どうしようと思いましたが、雨も天気のうちです。最悪、雨の中、一人で歩きまわればいいやと思って、現地に向かいました。


 長峰山の里山管理を行っているNPO「森倶楽部21」の永田さんたちと待ち合わせたのは、「蝶の森」すぐ下の駐車場でした。もともとこの日は蝶の森での作業日でした。それに合わせて来訪し、作業の様子を見学させていただきながら、いろいろ説明もしてもらおうという計画でした。ところが、雨で作業は中止。それでも5人ものメンバーが集まってくださいました。5人を貸し切りさせてもらった感じです。

 まずは蝶の森。小さなピークの小さな草原でした。聞けば、ここに観光乗馬園があったとのこと。それが放棄されて藪だらけになってしまったので、「開墾」して、「土返し」をし、この地にもともと生えていた草花を復活させたんだそうです。まわりの藪も払い、蝶も通りやすいような、風通しのよい雑木林を目指して管理しているとのことでした。聞かなければ、目の前の草地と雑木林を見ただけでは、こういった「土地の履歴」は分からないなあと思いました。なんと、雨は上がってしまいました。


 次に向かったのは、長峰山の山頂。とても大きなモニュメントととても高い展望台がありました。きっと麓からでも見えるよう、木々に邪魔されず遠くのほうまでも見えるように作られたのでしょう。草原になっていましたが、一部が芝生のように草丈が極端に短くなっていました。パラグライダーやハングライダーの滑走路なんだそうです。ここには草原特有の草花は見られませんでしたが、周囲にはカセンソウやキキョウが咲くエリアがありました。峰の北側にはワラビがいっぱい生えているエリアもありました。さっきの蝶の草原もそうでしたが、ワラビがたくさん見られるのは、おそらくシカの影響と思われます。ワラビはシカが食べない草なので、「シカが増えるとワラビも増える」ということになります。シカの影響を考慮しながら、「どのような草原の姿を目指していくのか」多くの人や団体と妥協点を見出していくのは難しそうだなあと思いました。

 ほかにも堤平、水田跡地、天平自然園を見せていただきました。

一つ一つのエリアはそんなに広くないですが、たくさんのエリアがあって、それぞれを、それぞれのエリアの特徴に合わせて管理していくのは大変そうです。

 地域の人たちが大切にしている矢ノ沢山の神社や分教場跡も見せていただきました。分教場跡の部屋を借りて、倶楽部の備品等を保管しているんだそうです。神社には、どういうわけかナナフシがいっぱいいました。

分教場の「教室」にはコウモリの糞がたくさん落ちていました。山の中のパン屋さんでおいしそうなパンを買い、お寺の境内をお借りしてお昼ご飯を食べました。

 今日の作業は雨で中止になったのに、その雨は早々に上がってしまいました。倶楽部の皆さんを貸し切り、倶楽部の活動場所全部をていねいに説明していただくという、贅沢な1日を過ごすことができました。
 「他所の土地を見せてもらうと、自分の土地のことがよくわかる」ということがあります。今度は森倶楽部21の皆さん、ぜひ乙女高原においでください。

※長峰山で蝶を指標として里山保全活動をしている森倶楽部21については以下のサイトに。
 https://ja-jp.facebook.com/morikurabu21/

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