腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

カエルの為に鐘は鳴る(3DS VC版)

2012年10月27日 17時36分07秒 | ゲームボーイゲーム感想文
以前「ゼルダの伝説 夢をみる島DX」の時も書いたけど、GBゲームのVC配信は、俺が3DSに強く期待していた機能だった。
本当はDS時代での実現を望んでいたのだが、これは結局夢のまま終わった。何故やらなかったのか未ださっぱり分からない。
まぁ、とにかく3DSで実を結んだわけだ。本体の発表時点で公表されていたのも嬉しかった。
GBゲームは今でも入手できないわけではないが、当然中古になるし、古いカートリッジだから動作の不安もある。
こういう形でプレーできるのは誠にありがたい。良い時代になったものだ。古いゲームが今を生きる、素晴らしい。
当時と同じゲームを、再現。当時と同じ面白さも、再現……?


ふぅ。
で、今作「カエルの為に鐘は鳴る」は、ゼルダ夢をみる島と並んで、俺が「配信されたら即買う」と決めていたタイトルだった。
発売は今から丁度20年前の92年、俺は当時GBを持ってなかった。ハッキリ言って据え置き機だけで十分なので必要もなかった。
それでもファミ通なりで情報を得て、興味を抱くタイトルはぽつぽつあった。ゼルダや今作はそれらのうちの一つである。
その後20年、プレーすることはなく、続編も出なかったが、所々で「良い噂」は耳にしていた。GBの良作、そう捉えていいだろう、と。
取り敢えずプレー前に得ていた情報と20年間で醸成された俺の勝手なイメージを並べると

・アドベンチャー系のゲーム
・製作は坂本賀勇氏
・ギャグが非常に笑える(ファミ通レビューでそう書かれていた)

て感じだった。総じて「軽いゲーム」という認識だ。もちろん悪い意味ではない。
サクッと遊んで楽しませて頂こう。400円を電子で払い、データを受け取った。……凄い時代である。


うーむ……。
ハッキリ言って、想像していたのとは随分違うゲームだった。悪い意味ではない……のだが。

まずジャンルとして、会話主体のアドベンチャー型のゲームだと思っていたのが、そうではない。
戦闘や謎解き、そして会話。基本的に画面は斜め見下ろし。比類なき90年代のRPGを雛形にしたゲームと呼ぶべきである。
いや、任天堂の系譜で言えばゼルダシリーズに最も近いか。「カエルの為に鐘は鳴る」は、「ゼルダの伝説」の分家である。
と言ってもゼルダよりシナリオと会話の要素が濃く、謎解きはそんなに多くない。……やっぱ違うかな。よう分からん。
まぁシステム的にも難度的にも、そしてゲームの雰囲気的にも、馴染み易く、恐らく誰にでも遊べるゲームである。
今プレーしてもそう感じた。ボタン数の少ない時代にありがちな「操作の面倒臭さ」も少なく、サクサクプレーできた。
何と言うか、20年前も今も、今作の位置付けは変わっていないように思う。これは褒めるべきこと……だろうな。
懐かしさで遊ぶ人にも、俺のように評判を聞いていたが未プレーの人にも、もちろん完全新規の人にも、手軽な楽しさを与えてくれる。
旧作が「お手軽ゲーム」の需要を満たすのは、実に理想的な形だと思う。今作はDLして損のないお手軽ソフトである。


今作は、ゼルダっぽいアクションアドベンチャーだが、自由度は非常に低く、フラグ立てが重要な一本道ゲームである。
その分ストーリー性が強く、イベントを楽しむことに注力されていると思う。アドベンチャー寄りアクションってとこかな。
「日記」として粗筋が読めるのは、何気に当時斬新だったのではなかろうか。小さなアイデアが心地良い。
主人公(名前入力可能)にキッチリとした性格付けが為され、饒舌に喋るのも、無口が多かった当時としては珍しかったかもしれん。
結構「押し付けられる」感じがするゲームである。雰囲気が合わない人は不快に思うかもしれない。俺はそんな事なかったが。


「お手軽」感は戦闘システムに強く表れていて、今作の戦闘は、何と完全自動。敵と接触すると、「ボコスカウォーズ」よろしく土煙が舞う。
どちらかが死ぬまでオート戦闘。ターン毎に「アイテム使用or逃げる」だけは介入できる。ただし逃げは失敗することもある。
また一応先攻後攻がランダムなようだが、与・被ダメージは常に一定で、攻撃の正否も状態によって決まっている。
特にボス戦では、ステータスが水準に達していなかったり、アイテムが足りていないと、「絶対に」勝てない。絶対である。
この戦闘システムはシナリオ以上にガッチガチで、ハッキリ言って楽しむ要素がまるでない。
ボス以外とはそんなに戦う必要がないので足枷とまでは感じなかったが、ちょっとあまりにシンプル過ぎると思う。
RPG型のゲームでここまで戦闘を簡略化している作品は初めて見たかもしれん。英断っちゃ英断だなぁ。うーん。

主人公は各所に隠されてあるアイテムを得ることで、HP・攻撃力・攻撃回数が強化されていく。また買い物により盾が強くなる。
これらをその時点で最強にしておかないと、ボスには勝てない(多分。少しは見逃しの余地があるかもしれん)。
逆に言えば条件を満たせば必ず勝てるし、強化は普通に進めていけば出来るように作られているので、ストレスはなかった。
もしボスに勝てなくても何が足りないかは周辺での会話で示してくれるし、戦闘で詰まることは殆どないだろう。
まぁボス戦はそれでいいとしても、雑魚戦の無味乾燥さはやっぱ問題があると思った。
今作には一応買い物と金の概念があり、少しは稼ぎ戦闘が必要な場面もあるのに、そのつまらなさと言ったらなかった。
金の概念は削除し、アイテム入手をミニゲームにでもした方が良かったと思う。今作で消耗品の購入に意義があるとは感じなかった。


普段のフィールド移動は斜め見下ろし型だが、ダンジョンに入ると横視点に変わり、ゲーム性もまた変化する。
ここでは地形や足場をよく見て考え、先に進む「謎解きアクション」ゲームとなるのだ。
主人公は人間の他にカエル・蛇に変身が可能で、それぞれの状態で取れるアクションが違う。当然、それを利用しないと先には進めない。
また謎解きと共に、移動床等をジャンプで渡るアスレチックも要求されるので、アクションの腕もある程度必要。
つってもどちらも難しくはなく、あくまでお手軽な範囲に収まっている。ゼルダほどガチでも厳しくもない。
個人的にはちょっと淡白だと感じたが、今作にはこれくらいが丁度良いのだろう。……せめてもうちょっとボリュームが……。
今作のお手軽さは、20年前より寧ろ最近の任天堂精神と似通っているように思う。そういう意味では時代を先取りしているな。


物語。
俺が今作で最も期待していたのはここだった。発売当時のファミ通クロスレビューで、ライターの一人がこう書いていたのである。

【このゲームのシナリオを書いた人、よほどギャグの才能があるんだと思う。遊んでいて笑いっぱなしだった】

……これは凄い。ベタ褒めである。シナリオに関して「笑える」とここまで褒めたゲームも珍しい。
今作はこの点で俺の記憶に残り、今回のプレーに繋がった。俺も当時はファミ通大好きっ子だったからなぁ。何もかも懐かしい……。

後に、そのシナリオを書いた人があの坂本賀勇氏であることを知った。
坂本氏は「メトロイド」「カードヒーロー」「トモダチコレクション」等を手掛けた、任天堂の大クリエイター様である。
メインに多く携わる宮本茂氏に対し、坂本氏は影のエースといったところか。もちろん影といっても悪い意味ではない。
俺自身はGB版カードヒーローにて、氏のシナリオセンスの一端に触れていた。
なるほど、確かに氏がギャグに徹すれば相当面白いものになりそうだ。これは期待できそうだ。
今作をプレーした最も大きな理由はこれだった。笑えるシナリオ、それを見せてほしかったのである。

……で、結果としては、外れた。いやゲーム自体、シナリオそのものがハズレだったわけではないが、あんま笑えなかった。
そもそも軽い作風ではあるが、別にギャグだらけの作りではないと思う。プレー後の今だとファミ通のレビューが的外れに感じる。
その辺どうなんですかイザベラ永野さん。懐かしい名前だ。ヌルゲーマーってな。今どうしてるのかな。
……って今検索してみたら、ツイッタとかやってるし! うわーうわー。頑張って下さい。それだけ。

イザベラ氏は置いておいて、残念ながらそんなに笑えるシナリオではなかった。時々クスリとすることくらいはあったけど。

主人公はある国の王子で、隣国の「リチャード」王子とは親友兼ライバル。
二人は様々な面で常に競い合い、互角に張り合うが、何故か剣術勝負だけはいつもリチャードに軍配が上がっていた。
ある日、ミルフィーユ国が謎の軍勢に侵略され、王子二人が共に憧れる「ティラミス姫」が行方不明になってしまった。
それを聞いた二人は競って姫奪還の旅に出る。ただしリチャードが先行し、主人公は後を追う形になるのであった。

……という流れで物語は始まる。そこからは各所でドタバタ珍道中。面白かったよ。それは言える。
さっき書いたように、主人公王子にはかなりハッキリと性格付けが為されている。名前は付けられるが、自分を投影するキャラではない。
王族ということで金におおらかだったりやや常識がない所はあるが、善悪の判断はちゃんとできる、まともな人間である。
性根が真っ直ぐなせいか嘘や甘言にコロッと引っ掛かり、事態を悪くしていく。キャラに嫌味がないので、プレーヤーはそれを楽しむことができる。
今作は一にも二にも主人公のキャラ作りだな。強烈な主人公が引っ張る物語。……漫画的、と言うのが適切だろうか。

ライバルのリチャードは気障でイケメンな、二次元的に王子らしい王子。しかし嫌味はなく、良い親友キャラだった。
ミルフィーユ国を侵略した憎むべき敵は「デラーリン」。蛇の化け物で、カエルが大好物。
しかしラスボスながらラストバトルまでずっと冬眠しているので、存在感は薄い。戦闘システムのせいで最終戦も盛り上がらなかった。

ラスボス以上に暗躍し、敵となるのが魔女「マンドラ」。策略によって主人公やリチャードらをカエルにし、話をややこしくする。
……しかし、ラストにて、実はマンドラはティラミス姫が化けていた姿だと判明。主人公らの邪魔をしたのも、意味があってのことだったのだ。
同時に別の重要人物が姫の側近であったことも判明する。主人公の冒険は、殆どティラミス姫の掌の上で踊らされていたものだった。
……まぁ基本ギャグ作品だから怒る気はないが、ちょっと気分は悪いかもなぁ。テメェで汗をかかないくせに……。

まぁそんな感じで個性的なキャラ達の軽妙な会話で楽しいシナリオだったのだが、迎えたエンディングに非常に違和感があった。
終盤、主人公が敵に囚われる場面がある。そこで気絶から目覚めた主人公の目の前には、何とティラミス姫が!
……が、実は彼女は別人、ただの村娘、マドレーヌ。単にティラミス姫とそっくりというだけだった。
その後、主人公は苦心の末にマドレーヌを連れて見事牢から脱出、村に連れ帰り、彼女とその父親から大いに感謝されるのであった。
一方、ティラミス姫。前述のように、ずっと暗躍していた魔女こそがティラミス姫であった。
そして彼女の指示で主人公を巧みに誘導していた商人キャラは、彼女の親衛隊長「ポルナレフ」であった。

……どうだろう。これらの条件を並べられたら、エンディングの展開はもうたった一つしか想像できなくはないだろうか。

【まず、「ティラミス姫は実はポルナレフと恋仲だった」という流れだ。功績により姫は主人公との結婚を申し出るが、
本心ではポルナレフを想っており、主人公はそれを見抜く。ポルナレフはもちろん立場的に想いを公言する事などできない。
これでは主人公が取るべき行動は一つしかない。二人を結びつけ、ニッコリ笑って去る。これで全てが円満解決だ。
唯一つ、主人公(とリチャード)の失恋を除いて。
しかし、主人公がミルフィーユ国を去ろうとする時、マドレーヌがお礼に駆けつける。再会する二人、それを見たリチャード、そして……。】

これ。ハッキリ言ってこれしかない。俺は親衛隊長ポルナレフが男だった時点で、もう120%この展開だと確信していた。
なのに実際は、リチャードとの決闘やらはあったが、主人公とティラミス姫は結ばれ、スタッフロール。めでたしめでたし。
いやいやいや、だったらマドレーヌの存在はなんだったんだよ! せっかくのそっくり設定が意味ないやん!
ティラミス姫には散々引っ掻き回されたし、意図があったとしても良い気分はしてないぞ。好感度が上がってないのだ。
姫側からの恋心は感じられなかったし、リチャードは報われてないし、スッキリしないEDだった。
せっかくお手軽で楽しく遊べるゲームだったのに、終わり方が思いの外合わなかったな。非常に残念である。
まぁそれでも許せないといった類ではないから、いいか。
こうして90年代の遣り残しを、また一つ遂げることができたのである。その点はめでたしめでたしだ。


3DSの「思い出きろく帳」を開いてみたら、今作のプレータイムは、何と6時間程度だった。そんなに短かったとは。
苦戦はしなかったが何回かは死んだし、順調に行けばもっと短かったに違いない。うーん、ボリュームは非常に小さいな。
今、400円でDLするならこれでいいが、当時3000円4000円出して買ってたら、俺は恐らく満足できなかっただろう。
そしてら今作に悪感情を抱いたに違いない。それを考えると、20年時間を置いて良かった。そう思っておこう。

今作には続編が一切存在しない。そういう作品ではないからそれでいいと思う。この辺スパッとしてるのが任天堂の良い所だ。
だが、直接の続編はなくても、今作の魂を継いだ作品は生まれて欲しいと思う。軽妙なシナリオや、お手軽なゲームシステムを。
それは今の任天堂哲学、もっと言えば時代の要望に通じるものだし。そういう時代なんだよ。らしい。多分。はぁ。

俺自身もお手軽ゲームが嫌いってわけじゃないから、今後も旧作含め、テキトーに探して入手していきたい。
ただし、払う金はせいぜいDLに800円だろう。フルプライスなんてとんでもない。
それでは幾ら売れても大した鐘にならない。じゃない、金にならない。だから作られない。これがこの手のゲームの問題だな。
昔と違って今は娯楽の選択肢が腐るほどある。価格も下は無料すらあるんだ。お手軽ゲームの時代のようで、実は非常に厳しい。
娯楽の形態と共に、消費者側の心理もかなり変わってるもんなぁ。うーん……。
と、ンなことは俺が考えるこっちゃないな。取り敢えずお手軽で笑えるRPGの今後に幸アレってことで。適当だな。感想もお手軽で。

誰が為に鐘は鳴る。カエルの為に鐘は鳴る。規模の如何に関わらず、全てゲームの為に鐘を、鳴らそう。
……いや俺はやらんよ。メーカーが頑張れ。俺は糞身勝手なただの遊び手。サイテー。だから俺の為に鐘は鳴らない。
はぁ。









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あの~…? (ノテスキア)
2013-04-14 23:33:23
>【まず、「ティラミス姫は実はポルナレフと恋仲だった」という流れだ。功績により姫は主人公との結婚を申し出るが、
>本心ではポルナレフを想っており、主人公はそれを見抜く。ポルナレフはもちろん立場的に想いを公言する事などできない。

申し訳ありませんが、この下りを匂わせる描写や伏線ってありましたっけ…?
ティラミスとポルナレフが愛し合ってるなんて、
そんなの微塵も感じなかったような覚えがあるのですが。
自分の思い描いた予想が当たらなかったといって、残念とこき下ろすのはどうかと思いますが。
マリンがどうのこうので揉めてる件もそうですが、深読みしすぎなんじゃないですか?
返信する
Unknown (ota)
2013-04-15 00:14:15
ああ、これについては完全に俺の妄想ですよ。
状況的にシナリオをこう纏めればスッキリすると思っただけです。少なくともマドレーヌを再登場させないのは勿体無いと。
深読みじゃなく勝手な希望なんで、あまり突っ込まれても困るというのが正直な所です。
自分の予想と大外れで「残念」だったというだけで、別にこき下ろしてないですよ。
マリン云々は、ゼルダ夢をみる島の感想についてですか?
あれは完全にきちがいに絡まれてるだけなのでどうでもいいです。
返信する
Unknown (ノテスキア)
2013-04-15 00:28:02
ああ、そうですか。ティラミス姫からの恋心については
マンドラに化けてる間、主人公の動向を見ていて彼の性格を把握していましたから
アレでいいんじゃないですか?主人公の性格や思惑の何も知らずにYES!と言っちゃうよりはマシだと思いますが。

もしも、主人公の性格が金にがめつくて不真面目で
「姫を犯したい犯したい!」と発言している人物だったら、
きっぱりと婚約を断るでしょうね。

ええ、マリンはゼルダの伝説夢を見る島のマリンです。
揉め事については私からはどっちもどっちにしか見えませんね。
ただ、貴方のマリンへの推察には、私も首をかしげます。
…まあ、頑張ってくださいとしか。
返信する
Unknown (ota)
2013-04-15 01:16:52
>マンドラに化けてる間、主人公の動向を見ていて彼の性格を把握していましたから
ふむ、なるほど……。
あとはプレーヤーのティラミス姫への好感度も、もう少しシナリオで上げてほしかったと思います。
悪い人ではないんでしょうけど、終始利用された感じが個人的に好きになれなかったので。

>揉め事については私からはどっちもどっちにしか見えませんね。
>ただ、貴方のマリンへの推察には、私も首をかしげます。
ええ、それでいいと思います。
俺は俺がプレーした感想を好き勝手に並べただけなので、他人が同意できないのは寧ろ自然かと。
この「人それぞれ」という事を散々説いたんですが、きちがい君はどうしても理解できなくて……はぁ。
まぁアレについては所詮2ちゃんで工作してるだけなので、どうでもいいです。
俺としては気にせず今後もテキトーに更新していくつもりです。
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