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私は、ジョン・オカカ・ワトソン。
名探偵ホおむズの助手である。 |
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だが、探偵業の手伝いは、いわば趣味でやっていることだ。
私の本業は、あくまでも、医師である。 |
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私は、医師という自分の職業に、誇りを持っている。
しかし、私立探偵という稼業が、うらやましくなる時もある ―― 。 |
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「なあ、ホおむズ。探偵稼業は楽しいだろう?」 |
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「そうさな」 |
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「推理は楽しいが……実際に犯人を捕まえるのは、骨が折れるな」
「ほほう?」 |
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「推理は、楽だよ。頭脳労働だしな」 |
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「だが犯人逮捕は、危険な肉体労働だからな……」
「そうか? 格闘は得意だろ? 楽しくないか?」 |
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「……ちょっと、実演してみせようか?」 |
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「犯人逮捕の実演だと? 私が犯人役か?」 |
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「貴様を逮捕するーっ!」
グキッ |
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「あいたたた!」 |
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「な。逮捕は骨が折れるだろ?」
「背骨が折れるところだったよ!」 |