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ゆうちゃんです。 |
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ゆうちゃんが現れるのは、いつも、このあたり。 |
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川岸まで降りて来たことは、今まで、一度も、ありません。 |
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「ゆうちゃんも、ここまで降りて来ればいいのになあ」 |
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「そうですよねえ。でも、きっと、ここまで来るのが怖いんでしょう」 |
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「ここまで降りてくれば、私達と一緒に楽しく過ごせるのになあ」
「ええ。ほんとうに、そうなんですけどねえ」 |
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「……あっ!? せ、先生! あそこを見て下さい!」 |
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「ほら! ゆうちゃんが、降りて来ましたよ!」 |
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「な、何っ!?」 |
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そう。
遂にこの日、ゆうちゃんは、この川岸まで、降りて来たのです。
作者がこれまで観察してきた限りで、初めてのことです(実話)。 |
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すたっ
「にゃお~ん」 |
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「やったあ~! 快挙だあ!」 |
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「素晴らしいことだあああ~~~っ!!」 |
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「さあ! ゆうちゃんを暖かく迎えようじゃないか!」 |
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「あ、あれっ? いないぞ?」 |
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「ゆうちゃんは……先生の今の顔に驚いて……」 |
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「帰っちゃいました」 |
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「そ、そんなあ……」 |