暴れる業界

 

 

課長　おむ耕作シリーズ　ファイル09

	社長おむ耕作は、アパレル業界への進出を目論んでいたのだった。
	「社長！　スーツの試作品が完成しました！」 開発部長、おかか豊作である。
	「出来たか！　よし、見せてもらおう」
	「こちらです」
	「これでございます」
	「新素材のハイテク・スーツか！」 「はい、さようで」
	「うん、いい肌触りだ」
	「よーし、着てみるか」
	「……」
	「……いかがです？」
	「中々いいぞ！」
	「でしょう？」
	「私の自信作ですからね」
	「ちょっと歩いてみるか」
	「動き易さも大切だからな」
	「激しい動きにも耐えられます。どんなに暴れても大丈夫ですよ」
	「おお、そうか！」
	ビリッ 「ん！？」
	「……おい。破れてしまったぞ」
	「だ、だめだよ！　こんなの商品にならないよ！」
	「こんな物、しまっちゃうよ」
	「しまっちゃったよ！」
	「まったくもう。こんな物に多額の開発費をかけるなんて」
	「一体どういうつもりかね？　えっ、おい？　何とか言いたまえ！」
	「……」
	「しまったーっ」
	「……」
	「しまっちゃった……しまった……」
	「ダ、ダジャレかね！」
	「へ、へへへ……」
	ガクッ
	「死んだふりすんなっ」