若き柔道家、おむ さん四郎 ―― 。 | |
今日は、生死を懸けた試合の日である。 いや、試合というより、決闘というべきか ―― 。 |
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相手は、この男。 |
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残忍かつ冷酷非情な使い手である。 しかも今は、さん四郎に対して、憎悪の炎を燃やしている ―― 。 |
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審判は、温厚をもって知られる、もらい半助師範。 「では、私が検分役を務める」 |
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「両者、前へ!」 | |
「用意はいいか?」 「はっ」 「ははっ」 |
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さん四郎を遠くから見守る美少女、もらい乙美。 もらい半助の娘であり、さん四郎の恋人である。 |
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「さん四郎さん、負けないで……」 ドキドキドキドキ |
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「時間無制限、一本勝負! はじめっ!」 | |
「ゆくぞっ」 | |
「死ね~いっ!」 だだだだっ |
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「とうっ」 | |
裂帛の気合と共に、さん四郎は必殺技天地無用を放った。 「ぐはーーーーっ」 |
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ドサッ | |
「参ったか!」 「うう……俺の負けだ……」 |
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「さん四郎さんが勝ったわ!」 | |
「さん四郎さぁ~ん!」 乙美が駆け寄る。 たたたたっ |
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「とうっ」 | |
「きゃあ~っ!?」 ドサッ |
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「あ、ごめん。思わず技をかけちゃった」 | |
「ひ、ひどいわ……」 さん四郎は、そそっかしい男であった ―― 。 |