釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

潜む危険

2017-03-02 19:15:23 | 文化
先月27日、奥州市でワカサギ釣りをしていた4人の高齢者が亡くなった。北上山地の標高150mの丘にある100m四方の溜め池に張った氷上で釣っていたようで、5cmほどの氷が割れて、落下したようだ。漁業権も設定されていない池であったので、十分な氷の管理もなされていない状態だったのだろう。北海道に住んでいた頃、何度かワカサギ釣りに行ったが、漁業権が設定されているため、入場料を払った。北海道でもあり、氷は厚いが、それでも安全性がしっかり管理されていた。氷が薄くなっているところにはマークが入り、時には入場が出来なかったりした。今回の件では周囲からも氷の厚さに注意がされていたようだ。日本の国土は8割が山や森林が占めており、列島を海が囲む、とても自然の豊かな国土だ。釜石のように山が迫った市街地だと、山に生息している動物たちを身近に見ることが出来る。春の山桜や秋の紅葉など、植物までも目を楽しませてもくれる。火山地帯である奥羽山脈沿いではたくさんの温泉が湧き、山の湧き水はどこにでも見られる。豊かな自然は多くの場合、人を楽しませてくれるが、自然には常に危険が潜んでいる。子供の頃に川や海で泳いだり遊んでいて、怖い思いをしたことが何度かあった。普段の自然はとても穏やかで、その存在すら忘れてしまうことがある。しかし、その自然も常に変わっている。自然が生きているとも言える。目には見えないスピードで動いている。氷の厚さ一つを考えても毎日変化している。ここのところ釜石の天気は素晴らしい青空の見られる日が続き、夜空の星もとても綺麗に見える。毎晩のように北斗七星とカシオペアが北極星を中心に大きく動く様子を見ている。この変わらないように見える夜空も宇宙空間ではやはり見えない動きがある。生活の人工化が進むほど自然を忘れ、自然に潜む危険をも忘れてしまう。そして、危険は自然の中に潜むだけではなく、人工化そのものにも潜んでいる。人は自ら作り出したものを制御出来なることがある。今の世界の大国の経済や福島の原発の処理などはその代表だろう。あまりにも複雑で巨大なために誰も制御が出来ない。東日本大震災は文明の脆さを教えてくれたはずだが、人は容易にそれを忘れる。米国の危機を警告する投資家や研究者は、人は歴史を学ばない、と言う。自然にも人工にも常に危険や危機は存在しているのだが。
ホシハジロ(雌)