< ぐでぐで >
放浪漂白の俳人山頭火によれば、酒の酔いかたは「ほろほろ」にはじまって、
「ふらふら」「ぐでぐで」「ごろごろ」「ぼろぼろ」、そして「どろどろ」に最後
は行き着くそうである。なんとも酒のみらしい表現だ。
生前の山頭火よく知るひとによれば、カレはだらしないのんべえだったらしい。
かくいうわたしもたまに、ごろごろぼろぼろであり、たいていは、ほろほろふら
ふらぐでぐでの毎日である。もっとも、どろどろにならないのは、たんに日本酒と
くに冷酒を意識して控えているにすぎない。
このまえに湯田に来たのは、福岡に出張した帰りだった。
福岡支社の近くのJTBにいき、原鶴温泉にいきたくて宿を捜してもらったが
あいにくとれず、帰りの新幹線沿いに近い湯田の宿を捜してくれたのだった。ここ
のJTBはとても親切で、宿もいいところを紹介してくれるし、得するような切符
の買い方も勧めてくれたりするので、福岡支社にいくたびに利用していた。
湯田で紹介されたのは西村屋という名前の、詩人中原中也ゆかりの感じのいい
和風旅館であった。温泉は、もちろんかけ流しで一晩中はいれた。
山頭火も山口を追われて熊本に渡ったが、のちに山口の小郡にもどり、やはり
温泉好きであったのだろう、湯田に移り住んでいる。ここで、朝から湯にはいり、
ほろほろどろどろの日々を送っていたようだ。俳句仲間のほかに中原中也の弟の
呉郎ともよく呑んでいたらしい。
朝湯すきとほるからだもこころも
こんな、実感がこもったなんともうらやましい句がある。
湯田は、どちらかといえば都会であり地方の温泉地という風情はすくない。しか
し夜になってネオンが点りはじめると、やはりそれなりに温泉地らしいウキウキ
気分になってくる。
今回はホテルニュータナカに朝食付きで一泊した。朝食は和食と洋食のバイキン
グとのことであった。
チェックインしてさっそく屋上にある自慢の露天風呂にいってみたが、たいした
ことはなくがっかりした。塩素が多いのだろうか。九州の杖立温泉で火傷した全身
の皮膚にピリピリ沁みるので早々にあがってしまった。
湯舟のなかで温泉を掬い取り顔になんども塗りこむような癖があるから、とくに
顔がひりひりする。
湯田温泉はアルカリ単純泉、泉温も70度以上あり1日2000トンと湯量豊富
なはずである。塩素まみれはやめてほしい。
口直しならぬ身体直しに源泉かけ流しにはいりたいので、前回きたときに泊まっ
た西村屋に行ったが、日帰り入浴は残念ながらやっていなかった。
しかたなく土産を物色してホテルに戻った。
ここのホテルの地下には飲食店街があり、中華料理、京料理、パブ、居酒屋など
がある。そこのどこの店でも使える割引券をチェックインのときにもらったので、
夕食はそのなかの仁八という居酒屋に決めた。
郷土料理の河豚をつかったお値段の張らない小鉢をいくつかとったら、これが
また絶妙な味で、焼酎をがんがん進む。割引券をもっているからというわけでは
ないが、じゃんじゃんお代わりを頼む。
ほろほろがしばらくあってから、ふらふらを一気に過ぎ、ぐでぐでになったあた
りでラストオーダーに。
勘定を払い部屋に戻り、持ち込みの焼酎でごろごろ状態になりベッドに倒れこん
だ。
俳人山頭火翁の足元にも及ばぬが、まったくもって、だらしないのんべえであ
る。
つぎの日。居酒屋の勘定も割引券のおかげでメチャメチャ安かったような気が
するが、二日酔いの朝一番は廃人の頭であり、まるで覚えていない。
放浪漂白の俳人山頭火によれば、酒の酔いかたは「ほろほろ」にはじまって、
「ふらふら」「ぐでぐで」「ごろごろ」「ぼろぼろ」、そして「どろどろ」に最後
は行き着くそうである。なんとも酒のみらしい表現だ。
生前の山頭火よく知るひとによれば、カレはだらしないのんべえだったらしい。
かくいうわたしもたまに、ごろごろぼろぼろであり、たいていは、ほろほろふら
ふらぐでぐでの毎日である。もっとも、どろどろにならないのは、たんに日本酒と
くに冷酒を意識して控えているにすぎない。
このまえに湯田に来たのは、福岡に出張した帰りだった。
福岡支社の近くのJTBにいき、原鶴温泉にいきたくて宿を捜してもらったが
あいにくとれず、帰りの新幹線沿いに近い湯田の宿を捜してくれたのだった。ここ
のJTBはとても親切で、宿もいいところを紹介してくれるし、得するような切符
の買い方も勧めてくれたりするので、福岡支社にいくたびに利用していた。
湯田で紹介されたのは西村屋という名前の、詩人中原中也ゆかりの感じのいい
和風旅館であった。温泉は、もちろんかけ流しで一晩中はいれた。
山頭火も山口を追われて熊本に渡ったが、のちに山口の小郡にもどり、やはり
温泉好きであったのだろう、湯田に移り住んでいる。ここで、朝から湯にはいり、
ほろほろどろどろの日々を送っていたようだ。俳句仲間のほかに中原中也の弟の
呉郎ともよく呑んでいたらしい。
朝湯すきとほるからだもこころも
こんな、実感がこもったなんともうらやましい句がある。
湯田は、どちらかといえば都会であり地方の温泉地という風情はすくない。しか
し夜になってネオンが点りはじめると、やはりそれなりに温泉地らしいウキウキ
気分になってくる。
今回はホテルニュータナカに朝食付きで一泊した。朝食は和食と洋食のバイキン
グとのことであった。
チェックインしてさっそく屋上にある自慢の露天風呂にいってみたが、たいした
ことはなくがっかりした。塩素が多いのだろうか。九州の杖立温泉で火傷した全身
の皮膚にピリピリ沁みるので早々にあがってしまった。
湯舟のなかで温泉を掬い取り顔になんども塗りこむような癖があるから、とくに
顔がひりひりする。
湯田温泉はアルカリ単純泉、泉温も70度以上あり1日2000トンと湯量豊富
なはずである。塩素まみれはやめてほしい。
口直しならぬ身体直しに源泉かけ流しにはいりたいので、前回きたときに泊まっ
た西村屋に行ったが、日帰り入浴は残念ながらやっていなかった。
しかたなく土産を物色してホテルに戻った。
ここのホテルの地下には飲食店街があり、中華料理、京料理、パブ、居酒屋など
がある。そこのどこの店でも使える割引券をチェックインのときにもらったので、
夕食はそのなかの仁八という居酒屋に決めた。
郷土料理の河豚をつかったお値段の張らない小鉢をいくつかとったら、これが
また絶妙な味で、焼酎をがんがん進む。割引券をもっているからというわけでは
ないが、じゃんじゃんお代わりを頼む。
ほろほろがしばらくあってから、ふらふらを一気に過ぎ、ぐでぐでになったあた
りでラストオーダーに。
勘定を払い部屋に戻り、持ち込みの焼酎でごろごろ状態になりベッドに倒れこん
だ。
俳人山頭火翁の足元にも及ばぬが、まったくもって、だらしないのんべえであ
る。
つぎの日。居酒屋の勘定も割引券のおかげでメチャメチャ安かったような気が
するが、二日酔いの朝一番は廃人の頭であり、まるで覚えていない。
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