<精養軒のカレー>
江戸時代からの花見の名所である上野の山、その奥に佇む東叡山寛永寺の根本中堂。
天海が開山した上野の寛永寺は、この寺を開基した家光の代以降、芝の増上寺とともに徳川家の菩提寺である。
天台宗の本山として強大な権勢を誇ったのだが、旧幕府軍と新政府軍との戦闘、いわゆる上野戦争で主要な伽藍を焼失してしまった。
さて、そろそろ上野精養軒も開店しているころだろう。
昼前に入れば空いていると読んだのだがもう六、七名が並んでいる。
「外のテラス席でなければすぐにご案内できますが・・・」
と声をかけられ、テラス席にこだわらないのですぐに席に案内してもらうことにした。どうやら今日はそれほど暑くないのでテラス席が大人気なようだ。
四人掛けを縦に割って、それぞれ二人掛けにして細かく商売しているのがなんとも一流のレストランらしくない。でも、座れたのでとりあえずこれはよしとしよう。
妙齢の女性の二人連れの横に座り、水を運んできたウェイトレスに「カレーライス」を頼んだ。
テラス席にちゃっかり出て、景色を撮らせてもらう。
樹木が邪魔して不忍池はまるで見えない。
眼をこらすとはるか向こうに「東天紅」が見えたので、だいたいの位置を把握できた。
テーブルに戻ると、隣の女性たちの前にカレーライスが運ばれていた。テラス席に歩くあいだに視線を走らせたのだが、やっぱりカレーライスの注文が多い。
今日、上野精養軒にきたのは、日本橋に上野精養軒のカレースタンドがあり、一度行ってカレーを食べてみようと思っているうち閉店してしまったのだからである。そのスタンドで食べていればこの本店の半額で食べられたのに、残念至極である。
わたしのカレーライスが運ばれてきた。
ひと口食べて、「ふぅむ」と声が出てしまう。
さすがはフランス料理の草分けの伝統あるレストラン、普通に旨い。だが、この程度にしてはやっぱりちょっと値段が高すぎるように思う。
狭くて居心地もいまひとつ良くない。
独断と偏見だろうが同じクラスで比べれば、五島軒のカレーライスには完敗、松本楼の八方美人なカレーと引き分け、あるいは惜敗といったところではないだろうか。
ところで、隣のカップルが照れながら二人で頼んだ可愛い「パンダプレート」が運ばれてきて、それがやけに気になってしまう。数量限定らしいが、大人が頼むのには勇気がいると思う。
ああ、カレースタンドで食べておけばよかった。
もっとも、そうなら上野本店まで来なかったわけだが。
→「上野の琵琶湖畔で五目焼きそば」の記事はこちら
→「五島軒のイギリスカレー」の記事はこちら
→「八方美人なカレー」の記事はこちら
江戸時代からの花見の名所である上野の山、その奥に佇む東叡山寛永寺の根本中堂。
天海が開山した上野の寛永寺は、この寺を開基した家光の代以降、芝の増上寺とともに徳川家の菩提寺である。
天台宗の本山として強大な権勢を誇ったのだが、旧幕府軍と新政府軍との戦闘、いわゆる上野戦争で主要な伽藍を焼失してしまった。
さて、そろそろ上野精養軒も開店しているころだろう。
昼前に入れば空いていると読んだのだがもう六、七名が並んでいる。
「外のテラス席でなければすぐにご案内できますが・・・」
と声をかけられ、テラス席にこだわらないのですぐに席に案内してもらうことにした。どうやら今日はそれほど暑くないのでテラス席が大人気なようだ。
四人掛けを縦に割って、それぞれ二人掛けにして細かく商売しているのがなんとも一流のレストランらしくない。でも、座れたのでとりあえずこれはよしとしよう。
妙齢の女性の二人連れの横に座り、水を運んできたウェイトレスに「カレーライス」を頼んだ。
テラス席にちゃっかり出て、景色を撮らせてもらう。
樹木が邪魔して不忍池はまるで見えない。
眼をこらすとはるか向こうに「東天紅」が見えたので、だいたいの位置を把握できた。
テーブルに戻ると、隣の女性たちの前にカレーライスが運ばれていた。テラス席に歩くあいだに視線を走らせたのだが、やっぱりカレーライスの注文が多い。
今日、上野精養軒にきたのは、日本橋に上野精養軒のカレースタンドがあり、一度行ってカレーを食べてみようと思っているうち閉店してしまったのだからである。そのスタンドで食べていればこの本店の半額で食べられたのに、残念至極である。
わたしのカレーライスが運ばれてきた。
ひと口食べて、「ふぅむ」と声が出てしまう。
さすがはフランス料理の草分けの伝統あるレストラン、普通に旨い。だが、この程度にしてはやっぱりちょっと値段が高すぎるように思う。
狭くて居心地もいまひとつ良くない。
独断と偏見だろうが同じクラスで比べれば、五島軒のカレーライスには完敗、松本楼の八方美人なカレーと引き分け、あるいは惜敗といったところではないだろうか。
ところで、隣のカップルが照れながら二人で頼んだ可愛い「パンダプレート」が運ばれてきて、それがやけに気になってしまう。数量限定らしいが、大人が頼むのには勇気がいると思う。
ああ、カレースタンドで食べておけばよかった。
もっとも、そうなら上野本店まで来なかったわけだが。
→「上野の琵琶湖畔で五目焼きそば」の記事はこちら
→「五島軒のイギリスカレー」の記事はこちら
→「八方美人なカレー」の記事はこちら
今のように気取った感じではなく、
軽食堂となっていました。
カレーやハヤシはとてもリーズナブルなお値段でした。
お皿に一緒かけになっており、
本当に美味しかったです☆
私も一昨年食べましたが・・
どうしちゃったのか??全く別物です。
老舗の味を引き継いだものではないです。
もっと庶民的でしたし、
仕込みも料理人たちが懸命に調理していたんです。
もうあの味は再現できないでしょう。
かつての料理人たちが終結すれば可能かも?!
ご指摘のように大したことないですね。
経営の方向性が変わってしまっています。
パンダプレートもなんてことない代物ですよ。
人寄せパンダなだけです。
カレーとかラーメンだとか庶民的なものだとつい辛口の批評をしてしまい、精養軒のファンから白い眼でみられたのではとヒヤヒヤしていました。
心強いコメントをいただき、安心いたしました。
今後ともご愛顧のほど心からお願いいたします。