目の前が海!の穴場。古里温泉・桜島シーサイドホテル

2009-03-27 14:41:36 | 鹿児島の温泉など
 鹿児島へ旅してきました。入った温泉すべてアタリで、ひどかった顔のカブレがかなりよくなってきてご機嫌です。中でも穴場の絶景露天がここ、桜島の裾野にある古里温泉の「桜島シーサイドホテル」。最初はその隣のお宿を目指していったのですが、日帰り入浴を冷たく断られてしまったので次候補として訪れた宿です。古里温泉はいずれの宿も海を間近に望む露天風呂が有名なのですが、どんよりとした天気の中、古びた外観にちょっと躊躇。


 しかし、ここまで来て入らないのはもったいない、と敷居をまたぐ。……が、午前中だったので、こちらも湯がたまっていないとのことだったが、


「あと1時間でたまりますよ」


と若めのお兄さんに親切に案内され、その感じに少し癒されたので、昼を食べてからまた来ることに決める。写真は時間つぶしがてら、垂水で食べた「ねぎらあめん」680円。ネギ2種類が入っていて旨い。


ねぎらあめん



 戻ってくると、別のおじちゃんに


「いまは誰もいないのでゆっくり入れますよ」


と笑顔で案内された。


 宿の中はレトロ…… を通り越してはっきりと古い感じだったが、おじちゃんの笑顔がいい感じ。雑誌などには紹介されない、だけど穴場で安くていい湯宿によくある笑顔。これは期待大♪ と暗い階段(どこかのレポートで古い病院みたい、とあったがなるほど的を得ている)を降り温泉へ。男女別のほかに、露天風呂「海辺」という表示がされた外への通路があり、気になったので服のままコンクリの無骨な階段を降りると……そこには「まさに目の前が海!」という露天が。


露天風呂



 本当に海っぺたで、岸壁に露天風呂があるような感じ。温泉に浸かりながら釣りがマジでできそう(笑)。しかし混浴である。バスタオルももってきてない。少し悩むが、誰もいなかったのと、湯船のすぐわきに、工事現場の事務所みたいな感じの脱衣所兼休憩所が2室あったので、階段に人の気配を感じたらすぐにその1つに隠れたらいいや、と思いきって入った。


 水平線になごむ。曇っていたので見えなかったが、晴れていれば開聞岳が見えるらしい。成分の濃い食塩泉だったせいか、あたたかかったこの日は5分も入らずに汗ばむ温まり方。写真は湯口の結晶。


湯口の結晶



 誰も来なかったのに、熱くてすぐにあがらざるを得なく、しかもなかなか汗がひかない~。それにしても海苔の手入れをする漁師さんや遠くを行く垂水フェリーから望遠レンズがあれば簡単に見えそうなシチュエーションなので、裸のまま休憩…… は女性としてはしにくい。海風に吹かれて、湯のほてりをさますのは本当に気持ちよさそうなんだけど……。


 まあ、若くて体に自信があれば開き直るんだろうけれど、やっぱりそれはできず。ムームーみたいな湯ざまし着を持ってくればよかったと後悔する。温泉は褐色に濁っており、入ってしまえば体が見えることはあまりないと思われる。。。


 階段をあがって、男女別のお風呂のほうをのぞいたら、こちらも素晴らしい眺め。危険を冒して混浴にいかなくても、絶景はこちらでも十分だった(笑)。せっかくだから、とこっちにも入ることに。それにしても温泉の濃さはすごくて(泉源2つで溶存物質3700~3800g)、濃すぎるあまり、表面に結晶が膜を張っている始末。写真、湯アカじゃないですよ。これぞ結晶です。


湯の花



 海辺の温泉らしくナトリウム塩化物泉でかなりしょっぱい。鉄分が多いせいか、湯船といい床といいすべてが茶色く染まっていた。タオルを湯で洗うとほんのり色づいたほど。見た目のとおり循環なしの源泉かけ流し、泉温46.6度はおそらくほとんど加水なしだろうと思う。


 メタケイ酸も豊富で227~228と多く、温まって汗をかいたせいもあると思うが化粧水なしで肌がまったくつっぱらなかった(カブレ部分にだけ軟膏を塗ったが)。


 あがってくるとさっきのおじちゃんに


「雨は大丈夫でしたか~?」


と聞かれた。あいかわらず感じのいい笑顔だ。


 とにかく外観から想像できない湯と眺望のよさだった。おしむらくは温泉への暗い通路、あそこに温かい色合いの、明るくない行灯をいくつかおくだけでずいぶん雰囲気が変わるだろうにもったいない。だけど、おじちゃんのあの笑顔から察するに、素朴で感じのいいサービスも期待できそう。宿泊料金も8千円台と安いので、近いうちに絶対泊まりに来ようと思ったお宿でした。


 桜島シーサイドホテル
 (公式HPなし)
 鹿児島県鹿児島市古里町1078-63
 TEL 099-221-2121
 1泊2食8550円~











源泉かけ流しとは?

2009-03-20 13:37:56 | 温泉談義
先日某温泉情報サイトで変な表記を見つけました。


湧出口=源泉かけ流し
浴槽=循環放流併用式


みたいな感じ。ちなみに1つの宿の温泉、かつ1つの浴槽についての記述です(九州のお宿ではない)。ちなみに「源泉かけ流し」の定義とは? これはサイトによってまちまちなのですが、楽天やじゃらんなどは「温度調節のための加水」を含んで源泉かけ流し表記となっています。私がお仕事している「るるぶシリーズ」はもっと厳しく、加水していたら原稿中に「源泉かけ流し」という表記は使えないことになっています。いずれも共通しているのは「循環していないこと」。


 循環するとなぜアカンのか、というと、まず循環濾過する過程で成分がかなり抜ける。湯の花などはほぼ全滅。ということで、温泉の個性が失われる。あと温泉法での決まりで、循環する際には必ず「塩素=(次亜塩素酸)」を添加しないといけないことになっているのです(殺菌消毒のため)。


 つまり台所漂白剤を薄めて投入、という感じ。すなわち温泉があの、夏の日の塩素の香りも懐かしい(笑)プール化してしまうわけです。


 循環放流併用式、というのは浴槽の中のお湯を一部循環ろ過させつつ、新しい源泉も入れてますよ、というもの。新しく入る源泉の量によって塩素臭さを感じず、かつ湯の個性も感じられる場合もあります。「温泉」を名乗る限り最低限でもこっちであってほしいものです。


 で、冒頭の変な表記に戻るのですが(笑)。


 循環している温泉の場合、循環済みの湯をさも湧出したてのように湯面より上から出すのは厚生省のさだめにより禁止されているんですね。つまり、源泉かけ流しだろうと、循環バリバリ塩素風呂だろうと、温泉である限りは、湧出口は源泉なのが前提、アタリマエなのです。当り前の前提事項をわざわざ「源泉かけ流し」と断って表示する。悪気はないのかもしれないですが(情報を編集した人が事情をよくわかってないのかもしれないし)本当は循環しているのに、「湧出口は源泉かけ流し」とミスリードを狙ってんのかなー、とか勘ぐりたくなりますね。


 まあ、循環してるのに「源泉かけ流し」で検索はひっかかるわけですから、悪気はなくてもダメですね。そういうサイトもありますので源泉好き(私もですが)の皆さん、気をつけて。


 まあ、そういうこともあって、源泉かけ流し情報に関しては、ネットの情報を鵜呑みにするのは問題かなと思うようになりました。情報サイトなどの場合、有料の貸切風呂やら客室露天風呂さえ源泉かけ流しだったら「源泉かけ流し」表記してたりするケースもあるみたいですし……。ということで購入したのが写真の残留塩素測定キット。


残留塩素測定キット



 熊本の会社でつくっているキットですが、アトピー肌のわたくし、塩素高濃度風呂は極力避けたい、ということでネット購入しました。500回分で送料込み8000円ちょい。


 ちなみに写真は某温泉宿にて客室の洗面所の水。水色になっているのは塩素が入っている証(日本の法律では水道水については、蛇口の段階で一定数値の塩素が残留していないといけないことになっている。伝染病を防ぐためだと思われる)で、色の濃さで塩素濃度がわかるようになっています。


 すでに数軒の温泉水(浴槽水・湧出口)をコッソリ調べましたが、いまのところ、「源泉かけ流し」をうたった宿で、このキットが水色に反応した宿は見事にゼロでした(拍手!)。九州の温泉施設はいまのところ信頼できるということですね。











わざわざ早起きする価値あり! できたて豆腐と揚げの朝ごはんの格安離れ宿

2009-03-13 10:58:03 | 熊本の温泉など
 花粉症&黄砂の季節ですねえ。。。私はこの時期はいつも肌がヤラレます。ちっとも治らない頑固な肌荒れにと、病院でもらった薬をつけたらますます真っ赤に炎症を起こしてしまい、外に出られない顔になってしまいましたorz


 悔しいから薬名書いときます。コンベッククリームという薬っ。腹立つー!!! 非ステロイドの消炎剤ですが、超要注意です。ググったら100人に一人程度の副作用の報告があるとか。


 おりしもネットで薬販売がどうこういわれているみたいですが、病院で処方してもらった薬だってこのていたらくです。別に自己責任でネットでいいじゃん、とか思いますね。逆に、私の場合ですけど、ネットで薬を購入するときのほうが慎重に成分とか副作用とかしつこ調べている気がする。


 今回のコンベックに関しても、あとでネットでググったらあわなかったという話がうじゃうじゃ出てきました(あとのまつりだー)。薬剤師さんからの注意はまったく、一言もなかったです! 次からはもらった薬もちゃんとネットで調べないとダメですね。


 さて、愚痴はこの程度にしておいて、昨年の今の時期に泊まったいいお宿を紹介します。熊本県小国町にある「田舎の宿 おかもと」、そう、有名な岡本とうふ店が経営する離れのお宿です。岡本とうふ店は、わいた山の伏流水「七曲の名水」が湧くこの土地で明治時代から豆腐をつくっている老舗。ずっしりとして豆の味が濃い豆腐や、香ばしい揚げを食べに、私も10年以上前から通っています。そんな豆腐屋さんのお宿だからワクワクでした♪ 写真は、宿の食事処にもなる「岡本とうふ店」の店内。


「岡本とうふ店」の店内



 お店のまわり一帯はすべて敷地だそうで、うっそうと茂る小国杉に囲まれた中をつづれ折になった旧・国道387号線が通っています。その広い敷地内に、食事処と喫茶を備えた豆腐店と、温泉付き離れ5棟、貸切露天に大樽の内湯が点在しています。食事は、豆腐店の食事処にて、なのですが、離れのお客は自分の車で移動するという、なんとも、お客を信じた(笑)おおらかなつくりです。まあ、お酒を飲みたい人は森林浴気分を徒歩で味わいましょう。歩いてもそんなに遠いわけではないです。200m、ゆっくり歩いて3~4分くらいです。


 私が泊まったのは檜の温泉がついた離れ。といいつつ、この檜の湯は使わなかったですね(もったいない)。


部屋洗面離れの内湯



 近くに「これ男女別じゃないの?」といいたくなるほど広い貸切風呂と、大きな樽の内湯があってそれをまわるのでせいいっぱいだったからです。写真は露天。


露天風呂



 この貸切風呂は本当に広くて、またお湯もすごくよかったです。透明な単純泉で、入り心地はさっぱりしているのですが、保湿成分であるメタケイ酸が179.5?も含まれている。源泉温度は52度ほどなので、冬場は加水なし(温泉が広いので)。つまり保湿成分が豊かな源泉にそのまま浸かれるということ。ゆえか、ふっくら感の持続が実感できました。


 飲んでも柔らかく優しい味で、ここでお豆腐をつくっているのが納得できます。ここで働く若いスタッフ(若いお兄さんたちが元気にお豆腐をつくっている)が「他の場所は水があわなくて住めません」というのがすごくわかります。ここのお湯を持って帰って化粧水をつくったらとてもいい具合でした(今ほしい~)。貸切露天も樽の温泉も夜通し入浴できるのも嬉しいです。


 豆腐やさんの宿だからお料理も豆腐づくし……かと思えば、夕食はそうでもありません。食べざかり男子よ喜べ。お料理のボリュームがまた、半端ない! 馬刺しに、ヤマメ、地鶏の焼き物、山菜の天ぷら、煮物などがガツーンと最初に来ます。これだけですでに量がある。


夕食1夕食2夕食3



 豆腐屋さんの宿の真骨頂は翌朝わかるのですが、この段階でお豆腐関係は、カリカリの揚げにツナと納豆を詰めたものに鍋、と脇役に感じるほど。といいつつお豆腐の鍋はさすがに美味しい。それまでに食べた肉の味に負けずに、舌の上でお豆腐の滋味がしみじみと湧いてくるようなのです。もう食べられないと思ったところで出てきたデザートの豆腐アイス。


豆腐アイス



 これがまた美味しい。すっきりとしていて濃厚な大豆の味がまったりと広がり、あっさり別腹発動。腹ごなしに泳ぐように入った露天がまた気持ちよかったですね。


読み物などお楽しみグッズ さて、ゆったりとつくってある離れですがテレビがありません。


 写真はいろいろと用意された読み物などお楽しみグッズ(ツボ押しの本など、結構読み込んだりしてw)。しかし、テレビがないと意外と早く眠くなるもので、とっとと寝ました。敷地内を公道がつらぬいているといっても、夜はまったくといっていいほど車は通らず、(温泉にいくときも車に出会わなかた)静かな夜でした。この早寝早起きのご褒美のように待っているのがここの朝食です。


 翌朝はうっすら雪がつもっていました。


外観



 朝の寒さに震えあがりながら、食事処へと車で移動すると、豆腐屋さんのスタッフはみんな元気に働いていました。


工房1工房2



 豆腐工房の美味しそうな甘い湯気にいやがおうでも目が覚めたところで朝ごはんが運ばれてきました。できたての温かいざる豆腐に、そのアツアツ豆腐でつくった揚げたての「あげ」。


「岡本とうふ店」の定食 つまり、いつもの「岡本とうふ店」の定食が出てくるわけですが、主役がすべて正真正銘「今できた」できたてなのが違う。ホットミルクではなくホット豆乳付きです。揚げたての「あげ」はふっくら膨らんでいていかにも美味しそうです。撮影している間にしぼんでいくのがわかります。このアツアツでカリカリの外側に歯を立てると、中のお豆腐がふわっと受け止めて油と豆腐の甘味がじゅわーっと広がります。いつもの定食だって十分美味しいのに、この旨さ。ああ、至福。豆腐屋さん隣接の宿に泊まった意味はすべてそこに集約されている気がしました。


 チェックアウトが11時なのでゆっくり起きていただくのももちろん自由なのですが、このお宿だけは早く起きてこの美味しい朝ごはんをいただくことをお勧めします! 水がいいので、豆腐もご飯もみんな美味しい! もう1つ目を覚ましたいと思ったら喫茶が隣接しているので、コーヒーも飲めます。


 田舎の宿 おかもと
 http://www.okamoto-toufu.com/yado/yado.html
 温泉付きの離れは1泊2食12500円。










駆け込みカニ・マイレージ旅!カニ一人旅の至福

2009-03-06 12:00:00 | 中国地方の温泉など
 マイレージが2月で期限だったのであわてて使いました。といっても、行けるのは大阪・高知・出雲くらいまでとのことだったので、いつかはやりたかった山陰カニ旅行にすることにしました。


 ズワイガニ、山陰地方の呼び名は松葉ガニ。これも食べられるのは3月までだからちょうどよい。ついでに出雲大社に遅い初詣も兼ねます。しかし、この1年間で出雲3回目です。何のゆかりもないのにどんだけ出雲地方好きなんだろう(笑)と自分でも思います。


 でも癒されるんですよね。いくところもだんだん固定化してきていて私の中では「由布院化」してきてます(あちこち観光せずに、気に入った行きつけだけ訪れて和む、という意味)。今回も「ふなつ」の出雲そばと、「月照寺」の抹茶、「ろんぢん」の島根和牛のしゃぶしゃぶ、「さきたま」で好きな天然石を1粒ずつ選んだアクセサリー…… と松江のお気に入りを訪れます。


 しかし、なんといっても今回のメインはカニです。温泉宿で松葉ガニ~、できれば焼きガニ。


廊下 今回カニの宿で選んだのはさぎの湯温泉「さぎの湯荘」。さぎの湯温泉は田園の中、足立美術館のまわりに3軒の湯宿が建つこぢんまりとした温泉地ですが、いずれも源泉かけ流しの小規模宿ばかりというのが好感持てます。さぎの湯荘も広い内湯&大浴場と、貸切の内湯、露天とすべてが源泉かけ流しで24時間入れるという温泉的にも申し分ありません。カニに備えて早々とチェックインし、コンディションを整えます。


 中庭を囲んで建つ館内はかなり広く(貸切にいくときなどちょっと迷いました)、ところどころに美術品が配されていて上品な趣があります。写真は客室へ続く廊下。


 それでいて卓球場などもあり、温泉場の素朴な情緒も共存していて。ライブラリースペースやラウンジなど客室以外に寛ぐ場所がたくさんあったのが贅沢な感じでした。


ラウンジ



 部屋がまた広い。あいていたのか、一人旅なのに2間続きの玉砂利の庭園に面した部屋に通され、ちょっとビビりました(笑)。


2間続きの部屋玉砂利の庭園が見える部屋


洗面浴衣



 この部屋の床の間にも高そうな壺。でも愛らしい青い小鳥が描かれた掛け軸に心和みました。女性客は浴衣の替えも選ばせていただけます。ドライヤーはイオンドライヤー。


 で、さっそく大浴場へ。


大浴場露天風呂



 田園に面した開放感いっぱいの大浴場は、貸切状態でした。ちなみにここには3回入りましたが、3回とも貸切状態。平日ならではですね♪ 泉質は無色透明で、含放射能、ナトリウム-カルシウム炭酸水素・硫酸塩泉(あとでいただいた泉質の表によればPH7.7)。飲むとごくわずかに塩分と土の香りを感じる柔らかい湯でした。


 露天は内湯に沿うようにL字型にありました。源泉の近くによると熱く、遠いところはぬるかったので、移動しながら長湯を楽しみました。


 温泉の中に背もたれにちょうどい岩があるのも○。放射能泉は湯気を吸い込むのが効果的なので、存分に長湯をしてスーハースーハーと吸い込みます(笑)。


 貸切湯は眺望はないですが、露天はツルツルに磨かれた一人サイズの浴槽が気持ちよく、また内湯は成分が濃い感じがしたので要入浴。写真は貸切露天。梅がちょうどきれいでした。


貸切湯




 宿泊者専用なせいか、シャンプーなどが大浴場に比べて高そうに見えました。


 取材ではない宿泊なので、存分にだらけつつ、気がつくと片ほほがゆるんでいる。今から出会う焼きガニを思うと笑いが止まらないのです。ふふ、うふふ……。


 ハタから見ると気持ち悪いヒトだったと思いますが、一人旅だから誰もなんにもいいません。思えばここから極楽が始まってましたね♪


 そんな中、いよいよ夕食です。もちろん部屋食。感じのいい仲居さんが、悩みながら食卓に料理を並べます。というのは、カニを焼く炭火がかなりでっかい!ゆえにどのように並べるか迷うというわけです。赤々と燃える炭火はもちろん本物の備長炭(たぶん)。ワクワクする中、カニ登場。な、なんとタグ付きの生。殻を透かした半透明の身がうつくしい……。


 その日は、仕入れ運がよかったらしいです(天候や漁の状況で値が変わるのでいつもそうとは限らない)。日ごろ必死で働いた神様のご褒美でしょう(祈)。若い専務さんが、「通常のカニづくしプランはカニ2杯以上なのですが、カニは1杯にし、その半分を焼きガニにし、残りをいろいろとお料理にしましょう」と予算内で工夫してくれたので、焼きガニのほかにも、カニ刺しや、カニ天、ロールカニサラダが並び、大豪華な夕食となりました。


ディナー




 料理はカニ天以外は最初にすべて並びますが、これでいいのです。ふっふっふ。料理と二人きり。どんなふうに食べようと私の勝手です。


 さっそく生カニを炭火に乗せ、その間にドラマ「銭ゲバ」のように行儀悪く、カニ刺しをずるっとしゃぶります。あまーい!! とろける! ウマー\(((°∀°)))/


カニ刺し焼きガ二




 そうこうしているあいだに、焼きガニが食べごろに。


 「ちょっと白くなったくらいが食べごろですよ。焼きすぎると身離れが悪くなりますから」


 というアドバイスに従い、生加減でアツアツを。おおお。それからあとは言葉にできませんね。ただ、カニだけに集中して、味わいました。しかし、一人でカニを味わう至福といったら! 炭火でぐつぐつ煮たてたカニミソにカニ身をからめて食べるうまさ……。


 思い出すとぼーっとしてしまいます。


 「カニを食べると無口になる」とはよくいいますが、私は断言しますね。


 「カニは一人で食べるものだ」。関節を好きなだけしゃぶろうと、爪までほじくりだそうと自由! どんなに行儀悪く食べようと誰も見ていない。どんなに時間をかけて食べようと、誰も文句をいわない。そして存分にカニをいただいて、カニ臭くなった手を体ごと洗うべく温泉へいく贅沢。カニ旅には、一人旅の醍醐味がカニみそのように濃厚に詰まってました……。


 ちなみに部屋には空気清浄機がついていたのですが、焼きガニのあとに大活躍していました。


 さぎの湯荘
 HP:http://www.saginoyusou.com/


 源泉かけ流し、24時間入浴OK、部屋食。カニ以外のお料理やご飯もおいしくて、一人旅の私にも優しく接客していただき、大満足の温泉宿でした。写真は朝ごはん。島根名物しじみ汁や湯豆腐がつきます。


朝ご飯




 カニなしだと1万円台前半~で泊まれます。今回は2万円で焼きガニを食べたいとメールで交渉してご対応していただきました。そんな融通がきく小規模宿ならではの優しさもあり、またぜひ伺いたいお宿です。