台風でトホホの鹿児島取材

2007-07-27 11:38:00 | 鹿児島の温泉など
 台風4号とともに梅雨も去り、毎日暑いですねー。
その台風4号がまさに接近中の7月12~14日の日程で鹿児島取材がありました。観光特急「はやとの風」に乗って霧島エリアの温泉を旅する、というJR九州&雑誌Titleの企画のための取材だったのですが、12日はまだ晴れ間ものぞいたりしてそこそこのコンディションで、各温泉の撮影などスムーズに進みました。写真は取材先でもあり美味しい黒豚の焼き肉が食べられる、霧島の「わきもと」にて。ここでお食事をするのは3回目なのですが、いつもながら美味しい。炙ってとろけた脂身の甘さがたまらない。そのままでもいけますが、自慢の黒酢タレ(ときどき観光写真で見る、桜島をバックに甕がずらっと並んでいるあの黒酢を使用)をつけるともう止まらない。同行の編集者&カメラマンも「美味しくて食べすぎちゃったよー」と悲鳴をあげるほど、昼からたらふくいただいてしまいました。



焼き肉厨房 わきもと





焼き肉厨房 わきもと

0995-78-2406




Bar S・A・O 鹿児島市内に戻ってきた夜は、昼に黒豚を堪能しまくったので、いきなり焼酎バー「S・A・O」へ。「今しかない」ものから「長期熟成もの」まで100種類が揃ううえに、1杯が315円からという鹿児島を訪れる焼酎好きは必ず行けというお店です。飲みかたも仕込み水での前割(あらかじめ割っておくこと。この割合もお酒によって違うのだそう)など地元でしか味わえないものあり。「次なにしようかなー」と店長の濱崎さんに聞くと、すかさず「これは蒸留に錫の××(←酔っていたうえに取材じゃないのでメモも取らず記憶が飛んでます・笑)をつかった珍しいものです」など、酒飲み心をそそられるおすすめ情報が入り、「よし、ソレ!」と酒が進んでしまう。記憶はないが5~6杯、同行した編集&カメラマンの分まで味見させてもらったので(彼らは7~8杯いってたハズ)、10種類は味わったはず。ですがさすが焼酎、翌朝に酔いを残しませんでした。つまみも美味しい。今回は甑島のきびなごにあわせて、甑島の焼酎を飲んだのがまたサイコーでした。




Bar S・A・O

099-239-4661




翌、13日はJR九州さんからのメンバーも合流してメインの「はやとの風」から「いさぶろう・しんぺい」乗車取材(私にとっては3回目だったりします)。しかし、もはや台風が来ることは確定的で、天気はどんより→雨降り出す→豪雨という展開で、せっかくの日本三大車窓も真っ白というありさまでした……。それでも、個人的には雨の車窓というのもなかなか好きだったりします。雨のドライブもそうですが、安全なところから雨風を見るというのも現代ならではの風流さがあります。それになんといっても観光写真では見られない風景だし、夏の雨は緑がほんとうにきれいに見えるし。(「はやとの風」でいうと隼人以降の霧島エリアでは、本当に木の葉に触れるようにして走っていくんですよ)実は「乗り鉄」な私(それほどお金を使って乗りに行っているわけではないけれど)、全国各地の特急にかなり乗っていますが、それらと比べてもJR九州の特急列車の乗り心地は素晴らしい。他にも新幹線「つばめ」や「ゆふいんの森」「あそ1962」「ソニック」「かもめ」などに慣れると九州外の特急が味気なく感じるほどです。特に内装のオシャレ度・ピッチ(座席の間隔)の広さや車内販売メニューの楽しさは世界に誇れるんじゃないかなと思います。「はやとの風」の車内も、木で内装してあって爽快感があります。シートや暖簾、ウッドカーテンといったあつらえも凝っていて、雨の日の旅でも気分は晴れやか。車窓からもフェニックスごしに錦江湾に浮かぶ桜島が望めて、南国の旅を盛り上げます。



JR内装




吉松駅「いさぶろう・しんぺい」も飴色の木材メインのレトロな内装に、日本三大車窓、スイッチバックにループ線、レトロ駅舎と鉄道オタクでなくても興味深い列車。鹿児島から日当山、妙見、霧島温泉郷、人吉といった温泉地帯を結んで行くので温泉好きにも利用価値大!


写真は「はやとの風」から「いさぶろう・しんぺい」に乗り換える吉松駅にて。「列島南下・気分上昇」とレトロなキャッチフレーズを乗せた売店が健在で一同にとてもウケていました。





蒸し鶏 さて13日夜は栗野岳温泉の南洲館に泊まれる予定でしたが、台風接近のためあえなくキャンセルに。申し訳なさそうに(おそらく夕食で出すメニューだったんだろうなあ)食事だけふるまってくれました。写真はその食事。1羽まるごとを温泉で蒸した蒸し鶏はちょっと見た目が少し怖いですが食べてみれば柔らかくてなかなか美味。ただ時間がまだ早かったのであまり食べられなくて申し訳なかったです(なにせおなかにたまる「嘉例川駅弁」をいただいてまだ2時間経ってなかったものですから)。




 それで、もう鹿児島に泊まっても明日は台風だけということで13日のうちに文春の人ともども福岡に帰ってきてしまい、おかげで台風に足止めを食うことは避けられました。しかし温泉に泊まれなくて&駅弁の黒豚弁当が売り切れで本当に残念……。
これも、今度は自腹で来いということなのでしょうか(笑)




梅雨の合間の柳川取材

2007-07-13 13:40:00 | 福岡の温泉など
 先日は柳川の取材にいってまいりました。いつものごとく川下り、御花……と定番を撮影したのですが、新しいスポットもいくつか取材しました。


川下り




からたち文人の足湯


足湯 柳川唯一の温泉宿である「かんぽの宿」の隣に、50人は入れる足湯が出来ていました。掘割に沿って、露天部分と屋根付きの部分があり、屋根付きの部分には北原白秋ら柳川ゆかりの文人を紹介したパネルがあります(学歴までばっちり書いてあります)。泉質は炭酸水素塩泉で、モデルさんも「なんだか足がつるつるしてきました」とのこと。源泉に近い屋根付きのところは熱く、掘割に近いところはぬるめでした。なにしろ大きいので人が少なければ歩行浴できそう(笑)。足湯タオル100円の自動販売機あり。




ギャラリー柳川


 川下り沿い、日本の道100選の起点近くに、珍しい能面のギャラリーが出来ていました。新築のきれいなギャラリーの中には、80ほどの能面がずらり。壮観でした。小面、翁、般若などおなじみの能面から、キツネや猿といった狂言面まで。1つ1つに説明がしてあり飽きません。右と左、もしくは角度を変えてみると表情が違って見える、そのからくりまで説明していただいて(数字がびっちり書き込まれた図面があり、右と左で少しずつ数字が違ったりしているんです!)想像以上に面白いギャラリーでした。特に若い女から老いて死霊になるまでの女の面は興味深かったです。同じ小面(若い女)でもすっきりした美人とぽっちゃりした庶民と、面によって印象が違って見えるのも驚きでした。かっぱなどの面の集合は柳川郷土の祭り、「どろつくどん」に使われる面。2F企画展で展示されていました。


TEL 0944-72-7770


能面




 ちなみに下は、取材の時にいつもいく国道208号沿いにある「からたち」のカレーうどん(うなぎせいろは高いので毎回は食べられません・笑)。じゃがいもをはじめ具がゴロゴロ入っていて、これで500円税込!ボリューム満点!なお、国道沿いでは近くにある「立花うどん」も美味しいそうです。


「からたち」のカレーうどん






有明海の珍味を頂ける宿・阿久根


有明海の珍味 最後は古民家の宿、阿久根。何度か取材でお邪魔しています。今回は食事としての取材でしたが、ここもお湯がいいです。鉱泉になるのですが、重曹(炭酸水素塩)泉で湯触りがよく、化粧水がいらない系です。ただし、それを楽しめるのは宿泊者のみです。撮影したうなぎせいろむしセットはメカジャ、粕漬け、ワケノシンノスと川茸、吸い物などがついて3,400円。粕漬けはいつもは海茸なのですが今年は不漁なので貝柱を使っていましたが実はこっちのほうが、高いとのこと。海茸に比べるとやわらかく上品でした。ワケノシンノス(磯ぎんちゃく)は、通常味噌味が多いのですが、こちらはしょうゆ味。いそぎんちゃくがエサにしたカニの子供のミソでしょうか、カニミソのようなまったりとした豊かな味が逆に引き立ちました。古民家の雰囲気もあいまって、これだけでもかなり満足なのですが、やはり、泊まったほうが断然いい。



古民家の宿 阿久根 泊まると、4種類の海藻を混ぜたところてんに始まり(湯上りのほてりを鎮めるため)、エツの細作り、くっぞこの煮付け、むつごろうの焼浸しなどなど、有明海の珍味を使ったフルコースが味わえます。醤油の使い方が優れた料亭・旅館のタイトルである醤油名匠に選ばれた宿だけあり、いずれの料理も甘ったるくなく、素材のいい個性を引き出していて、いずれもこの宿じゃないと食べられない味に仕上がっていました。甘辛い甘露煮の味に慣れていたむつごろうは特に驚きました。さっぱりしていて泥臭くなく、むつごろうがこんなに美味しいものだったとは……と目からウロコとはまさにこのこと。入手困難な南関そうめんが出るのも嬉しい。そして最後を締めるのが、ろうそくの灯だけの茶室で味わう抹茶。この幽玄さは本当に得難い体験です。いかにも泊まったみたいに見えますけど、以前、取材で夜だけ疑似体験させていただいたときのことです(笑)。朝食まで食べたかった……残念。



古民家の宿 阿久根




旅館阿久根

住所; 福岡県柳川市高畑197

TEL; 0944-72-2483

URL; http://www17.ocn.ne.jp/~akune/


自給自足率90%以上の宿・山荘紗羅樹

2007-07-06 12:31:00 | 大分の温泉など
畑 温泉宿にとまる楽しみの1つが、おいしい野菜。田舎に行くと産地が近いせいか、野菜が本当に美味しい。温泉と野菜で、体が内から外から浄化されるような感じがします。


 近頃は、契約栽培の野菜を使う宿も多いのですが、今日紹介する山荘紗羅樹は、夏場は食材のなんと90%を無農薬で自給自足しているという驚きの宿。残りの10%も知り合いからもらったお肉など、信頼できる材料ばかりなのです。


山荘紗羅樹




◆広大な畑の中に、4つの離れと母屋のみ


部屋 山荘紗羅樹は湯布院IC近くの郊外にあります。ジェットコースターのような起伏を超えて、たどりついた宿は緑に囲まれて、車を降りただけで空気が違うのがわかります。この閑静さと「無農薬空気」だけですごく癒される。部屋に通されるとすでに布団が敷いてあり、すぐさま体を投げ出せるのもいい。部屋には、甘い香りが漂っているのですが、窓をあけるとその正体・茶畑が見えます。お茶も無農薬でつくっているんです!窓の近くの縁側スペースもかなり広く、6畳くらいあるイメージ。さらに窓の外にはテラスがあり、もぎ取れそうな場所にスモモがなっているのが見えます。嬉しいのが洗面ボウルが2つ付いていること。朝の時間に歯磨きやら化粧やらがかちあわなくて済むのでポイント高い。


茶畑とスモモ




◆専用の内湯でヌルヌルの温泉を

温泉 大浴場や露天風呂はないのですが、そのかわりに各部屋に広い洗い場を備えた温泉がついています。内湯ですが、窓をあければ写真のとおり緑の香りいっぱいの風が入り、木の香りのする浴槽とあいまって気持ちいいです。そしてこのお湯が、本当にヌルヌル。湯あがりに古い角質がぽろぽろと落ち、もう一度温泉に入るはめになったのですが、そのあとお肌がすごくきれいになりました。



◆料理研究会の成果を自家製野菜で


 自家製野菜を使った料理は、薄味なのに素材の味が鮮やかで、とても満足感があります。(当然ながら収穫によってメニューが変わります。写真は3年前の5月のものより一部)
本来は農業の達人だったご主人が、自ら由布院料理研究会に習いに行って習得された料理は、素朴なルックスながら、手がこんでいて、素材の良さが引き立ちます。メインはご主人のお友達が育てている肥後赤牛を思い思いに焼きます。この付け合わせの野菜がまた甘くて美味しい。敷地内には、前述のお茶から果物、もちろん野菜、あげく山菜までが栽培されています。100種類以上を植えて工夫してみて土地に根付いたものばかりだそうです。朝ごはんも具だくさんの味噌汁に茶碗蒸しが贅沢な気分。食事は個室にて。




食事




 大浴場がないとはいえ、客室に温泉がついているのに1万円台前半とかなり格安なこの宿、安すぎるゆえか、一見さんは警戒するそう(笑)。まあ、東京あたりの人から見れば安すぎて心配になってしまうのかもしれませんね。しかし私が何人かの人に紹介しましたところ、その感想は100%好評でした。料理がしみじみおいしいのと、何より空気が美味しいのが最高です。(もちろん温泉も源泉のままです)注意したほうがいいのは、小学生未満は泊まれないことと、自然に囲まれているため、虫嫌いな人には向かないことくらいでしょうか……。




山荘紗羅樹

住所; 大分県大分郡湯布院町大字川北1354-20

TEL; 0977-84-5655

URL; http://www18.ocn.ne.jp/~syara/



ご主人・石井さんの紹介(由布院料理研究会)

URL; http://www.kanko-map.jp/photo2/ryouri/syaranoki/index.html