韓国のサムスン電子は7日、2010年4~6月期の連結営業利益が前年同期比87.3%増の5兆ウォン(約3600億円)となったもようだと発表した。高値圏で推移する半導体メモリーが業績をけん引し、液晶パネル、薄型テレビ、携帯電話の主力部門がバランス良く利益をあげたとみられ、日本の電機大手と比べ、抜きんでた利益水準を維持している。
サムスン電子は2008年のリーマンショックの後、一時業績は悪化したが見事な回復を見せた。今回発表された「数字」は驚異的なものだと私は思う。サムスン電子と日系主要電機6社の業績(2009年度)を比較すると、それが分かるだろう。
・売上高
日系6社合計:38兆円
サムスン電子:9兆円
・営業利益
日系6社合計:6800億円
サムスン電子:7800億円
・純利益
日系6社合計:マイナス2380億円
サムスン電子:7100億円
売上高では上回っているものの、営業利益ベースでは6社合計でさえ負け、純利益になると相手にならない。まさに、利益での日本勢は枕を並べて討ち死にしてしまった状態だ。かつてソニーやパナソニックの業績が好調な時でさえ、年間で数千億円の利益だった。このまま行くと、サムスン電子は年間で1兆2、3000億円の利益を出すだろう。日本勢は、この期に及んでチマチマとコスダウンなどをやっている場合なのかどうか考えなおしてもらいたい。
韓国政府は13日、自動車向けバッテリーとして需要急増が見込めるリチウムイオン電池を次世代の基幹産業に育てる2020年までの長期計画をまとめた。研究開発や人材養成などを通じ業界を支援し、官民一体で受注拡大に取り組むことが盛り込まれている。そんな中、14日、韓国のLG化学は、米フォード・モーターに電気自動車(EV)の基幹部品であるリチウムイオン電池を供給すると発表した。米ゼネラル・モーターズ(GM)にも今年11月から納入する予定で、ビッグスリーのうち2社を大型顧客として確保した形だ。
リチウムイオン電池は最初に日本が開発した技術だ。今でも部品の多くは日本製のものが使われている。ところが、日本が国家全体として動くようなダイナミックな動きを見せないために、今その市場に韓国や中国は「国家」をあげて参入してきている。
リチウムイオン電池の世界シェアの推移を見ると、2000年には約3000億円の市場の93%が日本企業で占められていた。しかし2008年になると、日本企業のシェアは50%を割ってしまった。おそらく、このまま放っておけば日本勢は消えてしまうだろう。
このような事態はリチウムイオン電池に限った話ではない。LEDでも太陽電池でも日本は世界のために先駆けて開発してあげて、そして巨大なマーケットに育つ頃には消えてしまった。
日系電機6社の合計よりも、サムスン電子1社が圧倒的な利益をあげているという事実。そしてこの差は、今後のリチウムイオン電池や電気自動車の伸びを考えると、縮まるどころか広がる可能性が高いと思う。さらに加えて言うならば、「人材格差」の問題もある。私がかねてから提唱している知的武装のための3種の神器「IT、金融、英語」を日本人はどのくらい身につけているだろうか。人材格差を考えても、いっそう差が広がる可能性があると私は危惧している。
【今週の問題解決視点のポイント】
数字の羅列のデータはNG。どの形状のものを用いれば、もっとも言いたいことを理解してもらえるのか考えよう。
サムスン電子は2008年のリーマンショックの後、一時業績は悪化したが見事な回復を見せた。今回発表された「数字」は驚異的なものだと私は思う。サムスン電子と日系主要電機6社の業績(2009年度)を比較すると、それが分かるだろう。
・売上高
日系6社合計:38兆円
サムスン電子:9兆円
・営業利益
日系6社合計:6800億円
サムスン電子:7800億円
・純利益
日系6社合計:マイナス2380億円
サムスン電子:7100億円
売上高では上回っているものの、営業利益ベースでは6社合計でさえ負け、純利益になると相手にならない。まさに、利益での日本勢は枕を並べて討ち死にしてしまった状態だ。かつてソニーやパナソニックの業績が好調な時でさえ、年間で数千億円の利益だった。このまま行くと、サムスン電子は年間で1兆2、3000億円の利益を出すだろう。日本勢は、この期に及んでチマチマとコスダウンなどをやっている場合なのかどうか考えなおしてもらいたい。
韓国政府は13日、自動車向けバッテリーとして需要急増が見込めるリチウムイオン電池を次世代の基幹産業に育てる2020年までの長期計画をまとめた。研究開発や人材養成などを通じ業界を支援し、官民一体で受注拡大に取り組むことが盛り込まれている。そんな中、14日、韓国のLG化学は、米フォード・モーターに電気自動車(EV)の基幹部品であるリチウムイオン電池を供給すると発表した。米ゼネラル・モーターズ(GM)にも今年11月から納入する予定で、ビッグスリーのうち2社を大型顧客として確保した形だ。
リチウムイオン電池は最初に日本が開発した技術だ。今でも部品の多くは日本製のものが使われている。ところが、日本が国家全体として動くようなダイナミックな動きを見せないために、今その市場に韓国や中国は「国家」をあげて参入してきている。
リチウムイオン電池の世界シェアの推移を見ると、2000年には約3000億円の市場の93%が日本企業で占められていた。しかし2008年になると、日本企業のシェアは50%を割ってしまった。おそらく、このまま放っておけば日本勢は消えてしまうだろう。
このような事態はリチウムイオン電池に限った話ではない。LEDでも太陽電池でも日本は世界のために先駆けて開発してあげて、そして巨大なマーケットに育つ頃には消えてしまった。
日系電機6社の合計よりも、サムスン電子1社が圧倒的な利益をあげているという事実。そしてこの差は、今後のリチウムイオン電池や電気自動車の伸びを考えると、縮まるどころか広がる可能性が高いと思う。さらに加えて言うならば、「人材格差」の問題もある。私がかねてから提唱している知的武装のための3種の神器「IT、金融、英語」を日本人はどのくらい身につけているだろうか。人材格差を考えても、いっそう差が広がる可能性があると私は危惧している。
【今週の問題解決視点のポイント】
数字の羅列のデータはNG。どの形状のものを用いれば、もっとも言いたいことを理解してもらえるのか考えよう。
あと、日本人は、戦略、仮説と実証、方向修正の進め方、組織の力を高める方法等々、戦いに勝つための技術・スキルが圧倒的に不足しているかと思います。
これは教育のせいでしょう。私は就職してから自分のスキル不足を痛感しましたが、学校では終に教えてもらう機会がなかったかと思います。
これまでは国内だけで甘えも許されましたが、これからは世界が相手です。軍事ではなく、経済戦争です。負けた国の民は富を没収され、搾取される生活を余儀なくされる。
社会に出たら未来なく奴隷のように働かせられるか否かの恐ろしい戦いが待っている。若い人は心しておく必要がありますね。
ソフト・サービス産業が今後の中心であろう、そのためにはITスキル、金融知識、英語力が必要なのは皆解っています。
韓国は国を挙げて同じベクトルに向かって邁進している。
日本は?この在日政権という予想もしなかった事態が生じ、政治から機能不全に陥ってしまっている状態から、どうしたら同じベクトルに向けて動けば良いのでしょうか?
自己責任といってしまったら、この問題は終了です。
これは自己責任ではない。国家的責任である。
日本国民に能力がないから、外国人を積極的に採用し日本名企業(多数の外国人と少数の日本人=実質外国企業)だけ生き延びていく。
日本国民の能力開発は国家的責任である。
何度も言います。問題は解っています。ただ解決方法が見当たらない(というよりどうしようも出来ない)。
少し感情的になり過ぎました。すみません。
僕らも必死に考えて努力しています。ですが能力・経験のある大前先生をはじめとした優秀な諸先輩方からの知恵も頂きたいのです。
日本人が3種の神器「IT、金融、英語」を最速で身につけるためには・・・
所詮、増税しても財政再建はできないことに気づかない人のいうことは参考になりません。
一言で言って、過剰に保護された一部の大手企業に労働組合・社員と不況になったらエコポイントなんかの小手先で何とかしようとする政府とそれに甘えるメーカ。
電気・自動車メーカは半減させる。
給料減らすことを可能にする。
すべては危機感の欠如が根本原因。
公務員を含めレイオフ解禁元年ではないかと。
氏の指摘する3種の神器「IT、金融、英語」は前提条件として、危機感がなければまず獲得できない。と思います。
国の成長という観点では、三種の神器で武装した人材が日本国内に少なければ、国外から集めればよい。そういった人材を見て、共に働き、競争してこそ人材は育つと思う。
企業の成長という観点では、優秀な経営者を招き、経営者が適切な経営を行い、得た利益を適切に再投資する、それが全てだと思う。
金融機関の査定においても「投資の確実性の説明」が強く求められ、それが説明できなければ否認、良くて減額、条件付きとランク付けされ、韓国・中国企業のような博打に近い投資(日本の投資尺度からすれば、シェア獲得のための敵対的投資は博打であり、投資として稟議が通らない)はできなくなった。「投資の失敗は誰が責任をとるのか」の言葉に萎縮。リスクを採らないことと不作為が同義語となった。(不作為は非難されるべきだが)
そして、日本企業の良くて横並び、実績を超えない世界基準(韓国・中国に比して)過小投資に戦略はなく、後出しジャンケンよろしく後発企業である韓国、台湾、中国企業の投資に連敗し、シェアを大きく落としたが、それに気がついていても、挽回できる投資ができない。これもひとつの要因
日系38兆円 - 6800億円 = 37兆3200億円
1.75%
サム9兆円 - 7800億円 = 8兆2200億円
8.66%
どうして日本は利益率が低いんでしょう。効率悪すぎます。
日本的経営なんて言葉が死語になりつつあります。
自分は環境技術者ですが、国の環境ビジネスの、展開の余りの遅さにムカついておりますよ。
企業、行政、共にスピード感が無さ過ぎます。
意志決定のスピードが、今の時代の企業や国の盛衰に関係している部分が、かなり大きいと思います。
どんくさいのよね…。
政治家も経営者も。
世代間の格差を問う訳ではありませんが、80年移行の生まれの世代は日本のバブルを体験していません。
彼らは景気の良い頃の日本を知らない為、
先細りしている日本の将来を客観的に見ている面もあります。その為、日本の諸先輩方の背中から学びつつ、世代統計では自己能力の開発に努めている率が増えています。
ソーシャルメディアを使いこなしているその世代からすれば氏の指摘する三種の神器は1世代前のモデルとなり、これからはITが環境に変わると思います。
ITそのものは息をするのと同じぐらいの感覚なので、神器というより身体の一部だからです。
日本はバブル期に様々なチャンスの恩恵を受けた上の世代が、下の世代に対しての育成や倫理教育、機会創出を意識した方が活力が循環する思います。
若い世代と共に日本の将来を変えようとする、先輩の姿が必要であり、未熟な彼らがどのように成長するかが日本の将来の鍵となります。政府やメディアはその姿から学ぶことが多いはずです。