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インテリアコーディネーターのブログ。
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1月25日 コダシにコダシに・・・

2006-01-25 | インテリア/建築
おかげさまで、リ・ストック京町家 モデルハウスにつきましては、まもなく展示期間を終了しようとしています。細かな来場者数につきましては、終了時に当ブログまたはハチセブログ、もしくはハチセホームページ上で、ご報告できると思います。

私の個人的な、感想としましては、実にたくさんの方にご来場いただけたことに、少し驚くとともに、大変ありがたい気持ちでいっぱいです。また、諸事情により、ご来場頂けなかった方々にも、ホームページやメディアを通じて多数のご反響を頂きました。

本物件につきましては、入札制度による売却が予定されていますが、すでに数件の入札を頂いていると聞いておりますので、まもなく、ハチセの元を離れるのではないでしょうか。

さて、50周年記念事業第2弾としまして、新築モデルハウスを計画中です。
今年のハチセの年賀状や昨日ハチセのブログでも、少し紹介されていましたので、今日は、設計側から見た、計画のコンセプトをご紹介したいと思います。


年賀状には、
HEALING×HEALTHY ~心と体の癒しの空間~
というタイトルの他に、「スケルトンインフィル」ということばが使われていました。


これをご説明するには、まず、ハチセが新築のモデルハウスを発表する「コンセプト」からお話しした方が良いでしょう。

本来、「モデルハウス」と聞いて、みなさんは何をご想像されるでしょうか。
たとえば、有名ハウスメーカーの夢のような立派な家が並ぶ住宅展示場。
それらは、一応の家族設定が与えられた上で、溢れんばかりの豪華な仕様でつくりあげられています。私たちの「夢」をめいいっぱい表現した住宅。
そこには、それを見た人たちが、「こんな家に住みたい」「ぜひとも、ここにお願いして私の家を建ててもらおう」という思いを引き出しやすいようにつくられています。

たとえば、建売住宅業者がつくる「現実」のモデルハウス。
そこには、その会社が提案する住宅の仕様を実際に目で見て体感して頂けるもの。としての役割を果たしています。

それでは、ハチセのモデルハウスはというと・・・。
そのどちらにも当てはまりません。

見て頂いた仕様の全てが、ハチセの住宅の標準仕様として取り入れることができるわけではなく、「夢」を表現して、そこからの繋がりをつくろうとするのではなく、今、私たちが目指していこうとするものを私たちの商品である「家」を通して表現しようとする試みである。と私は理解しています。

そもそも、この計画が始まったころの工務会議では、「いきすぎない提案」ということを各自が認識することから始めなければなりませんでした。
良いものを表現しようとするあまり、そして見て頂くひとたちに、「スゴイね」と言ってもらいたいがばかりに、普段わたしたちが提案しているものと、あまりにかけ離れたものをつくってしまいたくなる衝動を抑えるためです。
と、言いましても、大方かたまりはじめている仕様は、実際の建売住宅では、販売価格とコストのバランスが成り立たない不可能なものでもあります。

では、具体的に何を表現しようとするのかというと、「HEALING×HEALTHY」というタイトルに集約されるわけです。

数年前から、「永住」ということばに焦点をあてた取り組みを重ねてきました。
いま、メイン事業として存在している「リ・ストック住宅」もまたその「永住」という観点の先にあるものであると、私は認識しています。

ことばで表現するならば、
「使い捨て」ではなく、「永く愛されるもの」を提供していきたい。
といったところでしょうか。

そういった大テーマに基づいて計画されたモデルハウスは、「SI(=スケルトンインフィル)」と「地産地消」さらには「健康」といった小さなテーマが隠れています。

SI住宅の、"S"は、スケルトンのことで、骨格という意味。 つまり住宅においては構造体のこと。
"I"は、インフィルのことで、中身という意味。 すなわち内部の間取りや造作、設備機器などのことをいいます。
SI住宅とは、この"S"=「スケルトン(構造体)」と"I"=「インフィル(内装・設備)」を分けて別々に設計する考え方のことをいいます。

なぜ、分離して計画するのかというと、スケルトンには高い耐久性(すなわち不変性)、
インフィルには生活環境の変化、家族構成の変化に合わせた可変性をもたせることで、住宅の長寿命化を図るためなのです。

今回のモデルハウスでは、2Fの一部を建具で仕切らないオープンな空間とするSI住宅の発想を取り入れています。
ご購入者様の家族構成やライフスタイルの如何によって、壁や建具を設置したり、又は、間仕切り家具などを利用して開放的な中にも個室としての役割を与えることも可能です。
もちろん、オープンな大空間としてそのまま利用することだってできます。

要するに、住まい手次第で、幾通りのライフスタイルにも対応しようとするもの。また、ひとつの家族の中でも起こり得る生活の変化に柔軟に対応し、その時々に合わせた一番居心地のよい場所を提供したい。という願いをこめています。

「地産地消」とは、「地元生産-地元消費」を略した言葉です。
「地元で生産されたものを地元で消費する」という意味で、特に農林水産業の分野で使われています。
そこで、前述のオープンな空間に「北山杉」を利用することにしました。
8月3日のブログの中で北山杉の「本仕込」という磨き丸太の製造過程をご紹介しましたが、守るべき京都の「伝統」だと感じています。

さらに、「健康」面では、F☆☆☆☆の建材(=JIS/JAS基準の最高峰)の使用や、熱交換タイプで、快適な住環境も提供できる24時間換気システムといった、最低限の法律で定められた仕様のみならず、一部に「珪藻土」を取り入れたり、ルノンが発表した空気触媒の「空気を洗う壁紙」(=悪臭原因物質を半永久的に消去する優れた空気洗浄壁紙)を使用します。

要するに、全ては「永住」というテーマに結びつき、ご来場いただいた方にその思いが少しでも伝わることを願うばかりです。
その他にも細かい計画を重ねているモデルハウス。4月の竣工に向けて準備が進んでいますが、その詳細は順次ブログを通してご紹介していきたいと思っています。