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インテリアコーディネーターのブログ。
住まいのこと。インテリアのこと。仕事のこと。子どものこと。。。

6月19日 電球 vs 蛍光灯

2007-06-19 | インテリア/建築
ハチセの新しい商品シリーズ「リ・ストック住宅LOHAS」の第一号物件着手に向けて、工務部では、ハチセ独自の「LOHAS」について、検討が繰り返されています。
各自、それぞれの方面から、「LOHAS」な住宅をつくるための検証が行われていますが、そんな中、私が注目したのは、照明計画においての、「省エネ」、つまりランニングコストの軽減に焦点をあてた照明計画です。

そこで、ほとんど丸一日かけて、電卓片手にあらゆる角度からランプの比較をしてみました。そのほんの一部だけ、ここで紹介したいと思います。
例えば、リビングに5灯のダウンライトを使用したときについて検証してみます。

比較したのは、最近特にお気に入りのランプ口径の小さく、低価格なタイプ(A)

と、同じ口径の蛍光ランプを用いた器具(B)

です。以降、前者を(A)、後者を(B)として、比較することとします。

(A)は、クリプトンレフ球50W

が使用されています。
このランプについて、詳しく見ていきます。

器具品番:ADE 550 514 3,000(3,150)
ランプ品番:AE-95194 580(609)
ランプ電力:50w
全高束:450ℓm
ランプ寿命:2,000h(=1日6hの点灯で11ヶ月)

対して、(B)は、電球形蛍光ランプEFD 15W


器具品番:AND 550 596 7,400(7,770)
ランプ品番:AEE 592 202 1,800(1,890)
ランプ電力:15w
全高束:810ℓm
ランプ寿命:8,000h(=1日6hの点灯で44ヶ月=3.7年)

これをもとに、蛍光灯タイプの照明器具のランプ交換時期、つまり、44ヶ月後を基準にコストの比較をしてみます。
ところで、50wの(A)という器具と15wの(B)という器具、その明るさは「全高束」をもとに判断します。(A)は450ℓm、(B)は810ℓmですから、(B)の方がかなり明るいということがわかります。一般的には明るさの基準とされやすいワット数は、電力量をしめすものですから、この数値が小さい程、省エネだ。ということになります。

それでは、具体的に(A)を44ヶ月間使用した時のコストを計算します。
まず、本体価格は3,000円でした。ここには、最初のランプ代も含まれています。
このランプは、11ヶ月ごとに取替え時期が訪れるわけですから、44ヵ月後までに、3回のランプ交換が必要です。

(580円)×3回=1,740円
電気代は、W数をもとに、計算します。

44ヶ月で8,712円(この計算方法については、所定の計算式を用いていますが、今回は割愛いたしました。)

これらを合計すると、1台あたり13,452円。5台使用で、67,260円になります。

次に、(B)を見ていきます。
本体価格は、(A)に比べると高価な7,400円。こちらも、ランプ代も含まれた価格です。
このランプは、44ヵ月後、初めて交換を迎えるわけですから、ここでは0円ということになります。同様に電気代を計算します。

2,613円/44ヶ月

これらを合計すると、1台あたり10,013円。5台使用で、50,065円になります。

単純に、それぞれの合計を比べると、44ヶ月後のコストの差額は、17,195円。1年間で約4,690円の差が生まれます。これは、器具代も含めて計算していますので、単純に電気代だけで比較しますと、その差は明らかです。

(A)10,452円/台 × 5台 =52,260円

(B)2,613円/台 × 5台 =13,065円

単純計算で、39,195円。1年で約10,700円の差が生まれます。

これは、単純にランプが持つデータをもとに計算していますが、実際には、電球の場合、蛍光灯と違い熱負荷がかかります。これによって、夏の冷房能力にかかる負担など、単純計算では導き出せないコストが計上されます。

電球を利用するか?それとも蛍光灯にするのか?

やはり、利用用途と目的、使用する場所など、照明を本気で計画するにはとても奥が深いと思います。選ばれる際には、デザインや空間のイメージ、演出方法だけではなく、ランニングコストやイニシャルコスト、メンテナンスの回数も含めた手間の部分も十分に理解しておく必要がありそうです。

6月18日 ハチセのパンフレットが新しくなります。

2007-06-18 | インテリア/建築

今日、夏までには新しくしたいと考えていた会社案内(パンフレット)のデータをようやくCD-ROMに移し、明日、印刷会社の方と打ち合わせすることになりました。
というわけで、只今自身3度目の誤字・脱字チェック中・・・。

そこで、前にブログの中でもお話ししたけど、いつのことだったかなぁ?と、振り返ってみました。すると・・・それは、1月19日書店行脚までさかのぼります。

ちなみに、その際に一緒に取り上げていた新築住宅ですが、そのインテリアイメージは「バリのリゾートホテル」をモチーフに全体の色彩と照明をコーディネートしました。こちらも、そろそろ完成の日が近づいてきました。おかげさまで、完成前ではありますが、ご契約頂き、売却済みとなっております。具体的な内容は、完成後にご紹介したいと思います。

新パンフレットの方は、平成16年4月1日発行のものから3年以上経過し、その間に私自身が習得したスキル、今現在できる限りの技術で作成し、見た目にも前回を上回るものに仕上がったと思います。表紙・裏表紙は、前回同様「ハチセの事務員さんのブログ」でもおなじみのMにお願いしました。
 
昨今の情勢とともに、日々変化し続けるハチセの事業展開が一目でわかる新パンフレットは、来月早々に発行予定です。ぜひ、たくさんの方にご覧いただき、ハチセの現在を知っていただきたいと思います。

6月8日 リ・ストックレディース Vol.6

2007-06-08 | インテリア/建築
なんだかんだで、第6弾が完成した「リ・ストックレディース」。今回の住宅は単なる「レディース」ではなく、町家の再生と制震工法、それからバリアフリーにも対応した、
「リ・ストック京町家 ソフト レディース × 制震工法」。

・・・う~ん。単純にシリーズ名を並べて組み合わせるとなんだか締まりのない感じに・・・

シリーズ名はとりあえず置いておいて、出来上がった住宅は、なかなかのもの。
基本的には、レディースのコンセプトで計画された住宅に、意匠は町家の風情を残しつつ、そして、安全面からも安心できる制震工法をプラス。
ハチセの「リ・ストックソフト」と呼ばれる商品シリーズには多少の物足りなさもありますが、バリアフリーにだって配慮しました。

おかげさまで、オープンハウスをすることなく、ご契約頂き、早々に私たちの元を巣立つことになりました。

今回、私が得に気に入っているのが、トイレと洗面室です。
これは、3月3日に投稿した「職業病」の回にちらりと登場した、お食事会で伺った「梅むら」さんの内装からヒントを得たもの。

さすがに、本物の畳は利用できませんので、店舗用のクッションフロアーの中に収録のある「畳」柄の品番を利用しました。
仕上がりの状態は、想像以上に良い雰囲気を出してくれました。これは、今後も利用できそうです。
  
写真ではわかりにくいのですが、カタログ写真はこんな感じです。
  

~その他、完成写真~

玄関

和室
  
DK
  
2F

6月7日 松下電工 新商品発表会へ行ってきました。

2007-06-07 | イベントレポート
前回は、コイズミ照明の展示会のお話しをしましたが、今回は松下電工のお話し。
投稿が前後してしまいましたが、コイズミ照明は6月1日に。松下電工は5月17日に行ってきました。

松下電工の展示会は、大阪ビジネスパーク内の円形ホールで行われましたが、ご存知の通り、周辺はツイン21など松下グループが勢ぞろいした場所。照明器具を見ることは、もちろん一番の目的でしたが、ついでにキッチンなどの住宅設備の他、パナソニックのプラズマテレビやデジタルカメラ、それから携帯電話まで・・・松下漬けの一日を過ごしました。

さて、早速円形ホールの中に入ると最初に出迎えられるのは、直径800mmの大きな照明。プリーツ加工された布セードは、アイボリー色の他、ブラック、レッド、ブラウン、ホワイトのカラーバリエーションが楽しめるそうです。

この照明、2006年のミラノサローネで展示のあった商品ととても良く似た商品。
まだ、2007年のミラノサローネについて検証はできていませんが、いろいろな人の話を参考にさせて頂いたところ、昨年に続き今年もラージプロポーションと布セードは世界的に大流行しているようです。
本来、ヨーロッパではこの大きな照明を目線の高さに設置して、その器具のフォルムを楽しむようですが、果たして日本の住宅と生活様式に合うのかどうかは疑問なところ。

何事においてもそうですが、見慣れてしまうと、なんだかとても愛着がわいてしまうもの。
展示会に訪れたコーディネーターさんをはじめとする様々な住宅会社の関係者の反響は概ね高かったのではないでしょうか。

これが、一般の住宅にも広がるのか、このまま影をひそめていくのか・・・。
私は、もう少し様子を見たいところです。

この他、ラージプロポーションのペンダントはこのようなデザインのものもありました。

さて、次に注目したいのが、照明の明るさ感の新しい手法「Feu(フー)」という考え方。
今回展示会は、これを体感することを一番の目的としていました。
ところで、「Feu(フー)」とは、最近の間接照明での空間に対応した考え方です。
これまでの1室1灯の計画の場合、明るさの基準は水平面照度を参考に計画します。
ところが、間接照明の場合、水平面照度は高くないけれど、実際には必要な「明るさ感」を得ることができています。しかし、その「明るさ感」は、感覚的なもので、数値で証明することができませんでした。

そこで、今回松下電工が注目したのが、この明るさ感を数値化する方法。
立命館大学開発の「色モード境界輝度法」に基づき開発された「明るさ感」の新しい手法なのです。

詳しくは、こちらをご覧ください。
http://biz.national.jp/Ebox/smartarchi/concept/feu/index.html

展示会では、水平面照度が得られるダウンライトを用いた場合と、コーブ照明による間接照明を用いた場合の比較、また、ブラケットを用いた場合の比較をシュミレーション頂きました。
答えはもちろん、わかっていますが、その確認をしたいと、最前列で興味深く拝見させて頂きました。

すると・・・どうも納得がいかないのです。

なんとなく、直下に配光のあるダウンライトの照明空間の方が明るく感じられます。

もやもやした気持ちを抱えながら、その他の照明ブースに歩みをすすめ・・・、その後もう一度、「Fue(フー)」のシュミレーションブースに戻ってきました。
そこであることに気付きました。
人がたくさん集まったブースのかなり後ろの方からそのシュミレーションを眺めると、水平面照度は高くない、間接照明を利用した照明空間がとても広がりのある明るい空間を演出できていることがわかりました。
要するに、あまり近くで見ると、空間全体の明るさ感に気付けなかったのですが、一歩引いたところから見ると、その違いは明らかでした。

最近、ハチセの物件でも多灯使いの照明計画をすることが増えているという話をしましたが、そのような時、現場から「ちょっと暗いんじゃない?!」という声を聞きます。
こういった計画は私の感覚的なものや、これまでの経験を頼りに計画するので、照度計算では、その明るさ感を証明できません。光のまわり込みを考えると「暗いハズはないのだけれど・・・」実際に見た人が暗いと言うのですから、大問題です。
ところが大抵の場合、日が沈みまわりが暗くなると、その空間は十分な明るさが確保できていることを確認できます。

今回のこの展示会で私が感じた「明るさ感」の差は、どうもこれと似た現象ではないだろうか。と思いました。

つまり、周りが明るい時や、照明の直下に居る場合では、やはり空間を柔らかく照らす間接照明ではなく、直下照度の得られる照明空間に「明るさ」を感じるのだと思います。
そして、近頃認められつつある間接照明による空間は、天井面や壁面を明るくすることで、全体の灯数やワット数を減らしながら、「より明るさ感があり、より省エネルギー」な空間をつくることができます。これらは、同じ照明でありながら、その特性は全く異なるものですので、同じ基準で測ることはできませんでした。

これから「Feu(フー)」という基準が、ますます日本の住宅の照明環境に変化を与えるのではないでしょうか。

さて、円形ホールを満喫した後は、周辺の松下関連施設へ向かいました。
そこで特設されていたのが、3口ともIHヒーターという加熱機器の新商品

体験ができるということで、もちろん、参加してきました。
実はIHヒーターで調理するのは初めての経験で、ガス派の私も今回の経験でIHの地位が少しだけ向上しました。
強火でいためる場合に感じるもち手や菜箸を通じて感じる熱さが全くなく、とても快適です。それでも、パネル面に接触していなければ、熱がまわらないIHヒーターでは鍋振り等ができないため、私が自宅に選ぶなら、やはりガスコンロなのですが、お年寄りや小さなお子様のいる家庭にはオススメだと思います。

これまではIHヒーターといっても、3口の場合、真ん中上部の小さな部分は、ラジエントヒーターであったり、1口だけがIHヒーターであったりしましたので、その安全性は疑問でした。
しかし、今回3口共IHヒーターという商品が発表され、安全面を重視する場合には積極的に採用したい商品だと感じています。

(体験で調理した焼きそば)

ナショナルリビングショールーム 京都
では、IHヒーターやお掃除の負担を軽減する便器「アラウーノ」などの体験が可能です。
検討中のお客様は、こういった設備を利用されてから、実際の採用を決められた方が、自分にあった暮らしを手に入れることができると思います。

6月4日 KOIZUMI新商品展示会へ行ってきました

2007-06-04 | イベントレポート
コイズミ照明に訪れるのは、とても久しぶりでした。
ショールームが大規模な改装を行われたのもいつのことだったか、思い出そうにも思い出せません。大規模な改装というのは、リビング空間からホームシアター、吹き抜け空間など住まいの多彩なあかり演出をリアルに体感できるシミュレーション施設で、今回の訪問では、こちらを見学させて頂くことも目的の一つでした。

さて、今回の展示会を通して、私が一番ご紹介したいのが、「グレアレスダンライト」の素晴らしさです。照明計画についてある程度の知識のある方が読めば(何を今更・・・)と思われるかも知れません。コイズミ照明のスタッフの方がご覧になれば、(もっと他に紹介すべき商品、新作はたくさんあったでしょ?!)と思われるかも知れません。

でも、私はこれまで、様々なインテリアの商材の中でも、照明については特に積極的に勉強してきたつもりですが、グレアレスダウンライトがこんなに印象的な演出ができることに気付いていませんでした。

なんとなく良いこともわかっているし、学生時代も、特に店舗設計に関わる先生方からはしつこく「グレアレス」の話をされていたような気もします。
それでもイマイチ“ピン”と来なかったのです。

今回は、そうですねぇ。
頭の中に点在するそれぞれの知識が線でつながった感じです。

ところで、「グレアレスダウンライト」とは一体どのような性質のものかといいますと、カタログをそのまま引用するなら、「視線方向へのまぶしさを抑えたダウンライト」です。と、いうことになります。

そう。視線方向にまぶしさがないのです。つまり、ランプを見上げた時に光が目に入らない。


・・・今、ちょっと(だから???)って思いませんでした?!


私が今回感動したのは、まさしくこの部分なのです。
グレアレスダウンライトの定義は、照明について学ぶ時も、インテリア計画について学ぶ時にも触れてきました。『見上げた時にまぶしくない。』それは確かに快適かも知れないけれど、それがそれ程重要なことだとは思いませんでした。

「グレアレスダウンライト」とは、確かにその定義を文章にすると「視線方向へのまぶしさを抑えたダウンライト」だということに間違いはありませんが、私が実際にその器具による空間から定義するならば、

「対象物がなければ光の存在を感じないダウンライト」
と、いったところに落ち着くのではないでしょうか?

照明の点灯の確認をされる時、多くの方は照明器具をご覧になると思います。
グレアレスダウンライトは、そんな風に器具を見上げてもその点灯を確認することができません。その照明が狙っている方向、その照明の先にある物や空間に落ちている光を見て、初めてその点灯を確認することができます。

書いていて、なかなかうまく伝えられていないようにも思いますが、とにかく一度見て欲しい、そんな照明です。
だからといって全ての照明をグレアレスにしてしまうことは、あまりオススメできませんが、例えばキッチン前のカウンターや、飾り棚など、この器具の使い方次第でその空間の魅力を高められるに違いありません。今後、ハチセの現場では積極的に計画していくつもりですので、また、その様子をご紹介したいと思います。

照明計画中のお客様には、是非、ショールームで様々な器具の光のまわり方をご確認頂きたいものです。そういえば、コイズミ照明の大阪ショールームでは、一般のお客様を対象とした、光をデザインする照明セミナー「あかり教室」が開催されます。
ご興味のある方は、直接ショールームにお問い合わせ頂くか、私までご相談ください。