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トークイベント「徹底討論!同性婚法制化の問題点を推進派の弁護士さんに聞いてみた」開催しました!

2017年02月18日 | 2017/2/11同性婚トークイベント
 トークイベント「徹底討論!同性婚法制化の問題点を推進派の弁護士さんに聞いてみた」,31人の方にお集まりいただき予定通り開催いたしました!

 同性婚に対するキラキラしたイメージばかりが拡散されている中にあって,あえて問題点について掘り下げるという挑戦的な企画。
 ゲストには同性婚法制化を推進するお立場にある,同性婚人権救済弁護団団長の山下敏雅弁護士をお迎えし,同性婚法制化に際して想定されるさまざまな問題点と,それでも同性婚法制化を求める理由について,熱く語っていただきました。

 なんと,同性婚人権救済弁護団として,今回のようなコンセプトの企画に参加するのはこれが全国でも初めてとのこと。
 また,山下弁護士が東北でご講演されるのもこれが初めてということで,本当に貴重なひとときとなりました!

 イベント中でも語られたことですが,同性婚以前に,そもそも現代日本においては,法律上「家族」とは何か,「婚姻」とは何かについて広くしっかり理解されているとはいえない状況であり,そのせいで困難を抱えてしまっている人たちがたくさんいます。現行制度上の問題点もたくさんあります。ひとりひとりが誰とどのような関係を築いていくかというのは個人的な話ではありますが,法制度となると個人的な話だけではすまない,国全体で,みんなが考えていかなければならない問題です。同性婚法制化の話は,すべての人にとって他人事ではない,「家族」のありかた,「結婚」「婚姻」のありかたの話につながっていくんだということを強く認識させられるトークイベントとなりました。

 熱心に耳を傾けてくださった参加者の皆様,カンパにご協力いただいた皆様,当日の手伝いを買って出てくれた皆様,告知にご協力いただいた皆様,そして多忙を極める中仙台までお越しいただいた山下弁護士,本当にありがとうございました!

 厳寒の仙台で繰り広げられた弁護士VSドラァグクイーンの熱いトークは,とてもネットには書けないディープな話もテンコ盛りだったのですが(笑),差し支えない範囲で少しだけ,当日のトークの内容をお届けしちゃいます!



【同性カップルがもうけた子の法的な扱いについて】

<みさえのギモン>
 たとえばA子さんとB子さんが女同士で婚姻し,B子さんがC男さんから精子提供を受けてDちゃんを出産した場合,Dちゃんの法律上の親は誰になるの?もし現行民法の規定にのっとってA子さんとB子さんふたりの子ってことにした場合,A子さんとB子さんが仲良いうちは良いけど,ふたりがケンカしたりDちゃんがA子さんの気に入らないようなスペックの子だったらA子さんは「こんな子いらない!」って言っちゃえるの?逆にB子さんがA子さんに無断で子供つくっちゃった場合でもA子さんは法律上の親にならなきゃいけないの?C男さんは実の父親なのに子供とは法律上赤の他人になっちゃうの?

<山下弁護士のお話>
 現行民法には「妻が婚姻中に懐胎した子は,夫の子と推定する」という「嫡出推定」の規定があり,実際に血のつながった親子であるかどうかとは関係なく適用される。一方で,もし妻の産んだ子が夫の実子ではなかった場合,夫の側から「妻が産んだ子は自分の子じゃないから自分の戸籍から抜いてくれ!」と訴えることのできる「嫡出否認」という仕組みがある。ただし夫がいったん自分の子であることを承認してしまうと(嫡出承認)もう否認することはできない。
 不妊症の夫婦が第三者から精子提供を受けて子供をもうけるケースについては,たいてい医療機関で同意書を作成するなど,夫が嫡出を承認した証拠を残しておくので,後になってから嫡出否認することはできないようになっている(ただしそれでも同意の確認が不十分であった等により争いになっているケースはある)。
 同性婚法制化の際,女同士の婚姻カップルにも同様の嫡出推定の規定を適用するという制度設計にするのであれば,Dちゃんの法律上の親はA子さんとB子さんということになり(C男さんは法律上は赤の他人),また,A子さんがいったん嫡出承認をしてしまったらもう後になって嫡出否認はできないという取り扱いになると考えられる。
 ただし,女同士のカップルの場合,医学的な意味での不妊症というわけではないので,医療機関を介さず,第三者から提供を受けた精液をスポイトで子宮内に注入するなどして妊娠・出産するケースが現実にある。そのようなケースでは,子作りに双方合意していたかどうか後になってから証明することは困難が予想され,トラブルになった場合には裁判で争うことになると思われる。そのような事態を招かないために,子作りするのであれば同意書を作成するなど,子供のためにもしっかりと備えておくことが重要である。
 日本でもすでに女同士のカップルが知人男性から精子提供を受けて子をもうけるケースがある。しかし,カップルの関係が破綻した場合のことまで考えている人はなかなかいないのが現実。子供と実父を関わらせたくない女性カップルが,実父との間で「認知はしない,養育費はもらわない,実父は子供と会わない」といった約束をしようとするケースも見受けられるが,認知・養育費・面会交流等は子供の権利であり,親同士でそのような約束をしても法的には無効である。精子提供者側も提供するからには親として子供に対する責任を持つ覚悟が必要。
 また,たとえば非配偶者間人工授精で出生した子は日本にもすでに多数存在しているが,その子たちが自身の出自を知らされていないために困難を抱えているケースも多い。自身の出自を知るということは子供にとって極めて重要な権利であり,この権利がきちんと尊重される仕組みをつくることが必要である。


【近親婚について】

<みさえのギモン>
 「同性婚と近親婚は関係ない!」なんて言う人もいるけど,法律婚できない代わりに養子縁組してる同性カップルたくさんいるよね?現行民法の近親婚禁止規定で,いったん養子縁組しちゃうと離縁しても一生婚姻できないことになっちゃってるんだけど,同性婚法制化するならこのへんどうするの?同性婚人権救済申立してる人たちにも養子縁組してるカップルさんいるけど,その人たちは婚姻できないの?
ていうか「誰もが自由に結婚する権利」って言うんなら,そもそも近親婚禁止規定自体おかしくない?なんでダメなの?

<山下弁護士のお話>
 現状法律婚できないため代わりに仕方なく養子縁組している同性カップルが同性婚法制化された際に婚姻できないというのはおかしな話であり,あらかじめきちんと救済措置を考えておかなければならない問題である。ちなみに,世界的にみると養子縁組というものは子の養育のための制度であり,家を継ぐ等の目的で成人間で簡単に養子縁組できる日本の法制度はかなり特殊なものである。
 また,近親婚全般についても,基本的には否定されるべきではないと考える。ただし,「育て/育てられ」の親子関係,対等でないタテの関係にも婚姻を認めるのは,婚姻が対等な関係であることから考えると個人的には疑問もある。
 なお,叔父と姪の間柄での事実婚関係を最高裁が認めた判例がある。同性カップルにとっても重要な判例であり,法律婚できない現状にあっても,事実婚関係でも認められていることがらについてはこのケースのように事実関係を積み重ねていくことで認められる可能性は十分にある。


【貞操義務について】

<みさえのギモン>
 昨今にぎやかな同性婚論議でも貞操義務って全然語られないのなんで?婚姻のすごく重要な要素だよね?ていうか何をどこまですれば「不貞行為」なの?特に女同士や男同士,愛し合い方もいろいろ多様なんだけどどこまでヤッたらアウトなの?

<山下弁護士のお話>
 「不貞行為」については,判例で「配偶者ある者が,自由な意思にもとづいて,配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいう」と定義されている。「性的関係」の具体については明示されておらず,事案に応じて判断されることになる。同性間の行為についての判例としては,夫が男性と性的関係を持っていたことについて「婚姻を継続し難い重大な事由」であるとして裁判所が離婚を認めたケースがあるが,同性間の行為が不貞行為であるか否かについて争ったものではないため,その点については示されていない。
 不貞行為に基づく慰謝料請求については,今の日本では不貞行為をした配偶者だけでなく,その相手方にも慰謝料請求できるようになっている。しかし世界的に見るとこれはかなり特殊なことであり,不貞行為の相手方に対する慰謝料請求は認められない国がほとんど。日本国内の学説でも,婚姻カップルふたりの間の約束違反の話にほかの人まで巻き込むのはおかしいという見方が主流である。現実の事案では,たとえば夫が不貞行為をした場合に,妻が夫の責任は問わず,離婚もせず,夫の不貞行為の相手方にのみ慰謝料請求するケースも多いが,本来夫婦間の約束事の話であるはずなのにそのようなかたちになってしまうことには実務家として疑問に思うところではある。ただし婚姻には,友達とは違う,性愛の要素があることを考えると,法律上貞操義務が定められていること自体がおかしい,という考え方にも違和感がある。貞操義務というものが誰をどこまで縛るものなのか,社会全体で整理して考えていく必要がある。


【複数婚について】

<みさえのギモン>
 「誰もが自由に結婚する権利」って言うんだったら,3人以上でも結婚できなきゃおかしいよね?ポリアモリーをカミングアウトする人たちも増えてるよね?そのへんどうなの?

<山下弁護士のお話>
 現代日本の法制度上重婚は禁止されているが,その根本的な理由は実は明確ではない。婚姻というものが対等な関係であるということを考えると,3人以上で本当に対等な関係を結べるのかというと現実的にはかなり難しいことも多いのではないかと思われるが,私としては,3人以上で結婚したいという当事者からの訴えがあれば,まずは真摯に話を聞きたいと思っている。ただ,非嫡出子の相続分差別がつい最近まで残り続けていたような日本の現状にあっては,複数婚の話はあまりに先進的であり,社会が追い付いてくるのはまだまだ先であるように思う。しかし,同性婚の議論を始めることで,複数婚や近親婚や,婚姻制度家族制度にまつわるさまざまな問題についてみんながあらためて考えるきっかけになっているのではないか。


【婚姻以外に家族になる方法について】

<みさえのギモン>
 婚姻制度ってたくさん問題あるよね?同性カップルが法律上家族になるための方法って同性婚法制化だけじゃないんじゃない?フランスのPACSみたいに,婚姻制度とはまた別の制度つくれば,同性カップルだけじゃなくいろんな人たちが助かるような気がするんだけど,同性婚人権救済弁護団がそっちの方向じゃなくあえて「同性婚法制化」を推してるのはなんで?

<山下弁護士のお話>
 現代日本の婚姻制度家族制度がさまざまな問題を抱えていることは事実であり,同性婚論議を機に,旧来の制度とは違った新しいものをつくっていくというのもひとつの考え方ではある。同性婚法制化された諸外国でも,まずはパートナー制度から始まっているケースが多い。同性婚人権救済弁護団の内部でも議論のあったところではあるが,ただ戦略的な問題として,新制度の立ち上げを訴えるよりは,まずはシンプルに既存の婚姻制度を同性間にも平等に適用するよう求める方がよい,ということになった経緯がある。
 多くの問題を抱えた制度であるのは承知の上で,それでも婚姻できなければ困る,という状況にある同性カップルがたくさんいる。そんな状況をなんとかしたいと思って同性婚人権救済申立にとりくんでいる。ただ一方で,現代日本人は婚姻制度についてあまりにも知らない。ほとんどの人がその法的な意味合いも知らず婚姻届を提出しているような状況があり,後にトラブルになっていたりする。みんなでもっと知って考えていく必要があると思う。
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