環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

廃棄物処理法における両罰規定とコンプライアンスの関係

2007-11-30 07:52:01 | 廃棄物適正処理
2007年11月30日 
 廃プラスチックの委託処理違反に関するニュースがありました。容疑の概要は、『産業廃棄物処理業の許可を有しない業者に、許可を有していないことを知りながら、廃プラスチックの処理を委託した』とするものです。廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反の疑いで、委託をした社員及び受託者が逮捕され、法人自体も書類送検される見込みとのことです。
 行政刑罰の場合、原則として刑事訴訟法の手続により裁判所が科刑します。そのため、不服を申し立てるには、行政訴訟のように取消訴訟ではなく、刑事手続により無罪を主張することになります。また、今回の事件のように、違反行為者のほか、事業主である法人または人を処罰する規定を両罰規定といいます。判例によれば、両罰規定は事業主の過失を推定したものと解されており、事業主には無過失の挙証責任が負わされています。
 具体的に廃棄物処理法の規定を見てみると、排出事業者側は『産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、その運搬については第14条第12項に規定する産業廃棄物収集運搬業者その他環境省令で定める者に、その処分については同項に規定する産業廃棄物処分業者その他環境省令で定める者にそれぞれ委託しなければならない(法第12条第3項)』として、産業廃棄物処理業の許可を有しているものへ委託することを規定しています。そして、『法第12条第3項の規定に違反して、産業廃棄物の処理を他人に委託した者は、5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(法第25条第1項第6号)』としたうえで、『法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、法第25条第1項の規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して1,000万円以下の罰金刑を、その人に対して1,000万円以下の罰金刑を科する(法第32条)』と両罰規定を置いています。
 一方、処理業者側も『産業廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない(法第14条第1項)』として許可制であることを規定し、『法第14条第1項の規定に違反して、産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を業として行つた者は、5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(法第25条第1項第1号)』と罰則をもうけたうえで、『法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、法第25条第1項第1号の規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して1億円以下の罰金刑を、その人に対して1億円以下の罰金刑を科する』と両罰規定を置いています。
 上記の通り、事業主の場合、故意でなくとも過失により両罰規定の適用を受けることに留意し、コンプライアンス体制の構築や適正な教育訓練などを実施し、未然防止に努めることが重要であると思います。

【官報ウオッチング】
号外にて掲載中

【行政情報ウオッチング】
環境省
中央環境審議会循環型社会計画部会(第40回)の開催について
ゴルフ場暫定指導指針対象農薬に係る平成18年度水質調査結果について
遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律に基づく第一種使用規程の承認申請案件に対する意見の募集(パブリックコメント)について
平成18年度地下水質測定結果について
平成18年度 全国の地盤沈下地域の概況について

国土交通省
水関連災害分野における地球温暖化に伴う気候変動への適応策のあり方について~中間とりまとめを公表します~
社会資本整備審議会環境部会・交通政策審議会交通体系分科会環境部会第6回合同会議議事録


【判例情報ウオッチング】
東京高裁は、29日、ごみ集積場から古新聞などを勝手に持ち去ったとして、東京都世田谷区の清掃・リサイクル条例違反を問うた事件で、罰金20万円の1審・東京簡裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却しました。東京簡裁では、同条例の、区の禁止命令に反して資源ごみを「所定の場所」から持ち去ると20万円以下の罰金、との規定に関し、その明確性について判断が分かれ、無罪7人、有罪5人となっていました。東京高裁においても、業者側は「場所を特定する記載がない」と条例などのあいまいさから無罪を主張しましたが、判決は「区は、地図や看板で持ち去り禁止場所が分かるようにしており、禁止命令前に業者に警告もした」と退けています。

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◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「11月19日から11月25日までに公布された主な環境法令一覧」を更新しました/2007.11.25
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「11月19日から11月25日までに発表された改正予定法令一覧」を更新しました/2007.11.25

産業廃棄物処理施設設置と自治体の対応

2007-11-28 13:28:19 | 廃棄物適正処理
2007年11月28日 
 産業廃棄物処理施設の設置許可は都道府県知事の権限であるため、実際に立地される市町村が阻止することは法的には困難であるといわざるを得ません。最終処分場の場合は、環境影響評価法による環境影響評価等の実施とその結果の縦覧・意見陳述などの機会が与えられますが、必ず計画自体を阻止することができるわけではありません。また、廃棄物処理法においても、地元自治体からの意見を述べる機会が与えられていますが、拒否権限があるわけではありません。
 一方、自治体では、水道事業管理者としての市町村の立場を活用した水道水源保護条例などにより、①水源保護地域の指定、②同地域での一定事業をする者との協議、説明会の義務化、③協議結果の通知-水源汚濁のおそれのある場合は設置の禁止、という構図で対応するケースが増えてきています。しかし、こうした水源保護条例については、『廃棄物処理法違反である』とする判決と、『廃棄物処理法に違反しない』とする判決とがあり、法的評価が確立しているとはいえない状況にあります。
 産業廃棄物処理場の許可については、これまで何度も取り上げてきた通り、一筋縄ではいかない問題です。その存在が不可欠であることの認識は一致するのですが、いざ設置するとなると誰もが自分のそばは困ると思う・・・。今後の廃棄物処理法政策においても、まず最初に手をつけるべき課題であるともいえるのではないでしょうか。

【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。

【行政情報ウオッチング】
環境省
環境技術実証モデル事業 VOC処理技術分野(中小事業所向けVOC処理技術)における実証対象技術の選定について(財団法人九州環境管理協会)
「1人1日1kgのCO2削減」応援キャンペーンの協賛企業について

経済産業省
「1人1日1㎏のCO2削減」応援キャンペーンの協賛企業について
第1回放射性廃棄物ワークショップの開催について

国土交通省
社会資本整備審議会環境部会・交通政策審議会交通体系分科会環境部会第7回合同会議議事概要
「1人1日1kgのCO2削減」応援キャンペーンの協賛企業について(お知らせ)

【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

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産業廃棄物をめぐる県外受入の現状 ③産業廃棄物処理と社会的責任

2007-11-26 09:19:00 | 廃棄物適正処理
2007年11月26日 
 産業廃棄物をめぐる県外受入の現状の最終回は、廃棄物と社会的責任について考えていきます。
 
4.産業廃棄物処理と社会的責任
 昨今、食品メーカーの不祥事が話題となりました。一方、産業廃棄物の不法投棄も毎日のように報道されています。社会的なインパクトは、前者のほうが大きいように思えます。その理由は、誰もがかかわる可能性がある問題と、一部の地域の人にしかかかわらない問題の差であるといえるでしょう。しかし、将来的な負荷は環境面に限らず、後者のほうが大きいといえます。産業廃棄物の不適正処理の費用は、結果として国民一人ひとりに跳ね返ってくるからです。
 現在の廃棄物処理法では、産業廃棄物の不適正処理がなされた場合、①処分をおこなったもの、②委託基準に適合しない委託を行った者、③産業廃棄物管理票に係る義務に違反した者、④①から③の者に対して不適正処分・違反行為を要求し、助けるなどの関与をした者、⑤不適正処分を行った者等に資力がない場合で、かつ、排出事業者が処理に関し、適正な対価を負担していないとき、または不適正処分が行われることを知り、または知ることができた場合については排出事業者、の都道府県知事が措置命令を発することとされています。
 このうち、⑤については、排出事業者が処理業者に対して、優越的地位にあることが不適正処理の一因となっていることから、排出事業者が適法に委託した場合であっても、処理責任があるという法制度が望ましいとの指摘を受けて2000年改正により、廃棄物処理法第19条の6として追加された規定です。
 しかしながら、『適正な対価を負担していないとき』の具体的な判断基準はないこと、また、廃棄物処理法第19条の6により、排出事業者に対して都道府県知事が措置命令を発する場合には、行政側に証明責任があること、から、現在のところこの規定による措置命令が発出されたことはないものと思います。
 自治体側からすると法的に担保された規定である廃棄物処理法第19条の6によるよりも、県外産業廃棄物の原則受入禁止や事前協議制によるほうが、実効性が高いと判断しているのだと考えられます。また、それは事後的な措置よりも予防的措置によって地域の環境を保全しようとする考え方にも通ずるものがあります。
 一方、排出業者側からこの問題に正面から取り組むことは、社会的責任を果たすことにも繋がります。廃棄物は、市場から消えてゆくもの、一般消費者とは直接官益がないもの、であるため、企業リスクからすれば順位がそう高いものではないかも知れません。しかし、地球温暖化同様、廃棄物の適正処理は、我々の健康及び生活環境の保全にとって重要な課題であることに間違いはありません。目に見えない課題であるだけに、企業のモラルが問われていると言えるのではないでしょうか。


【官報ウオッチング】
号外第269号
〔省令〕
エネルギーの使用の合理化に関する法律施行規則の一部を改正する省令(経済産業省令第74号/昭和54年通商産業省令第74号の一部改正)
1.製造事業者等の判断の基準となるべき事項に係る電気便座の類型を次の3つとした。
①温水洗浄装置のみのもの
②可搬式のもののうち、福祉の用に供するもの
③専ら鉄道車両において用いるためのもの

2.製造事業者等の判断の基準となるべき事項に係る自動販売機の類型のうち『紙製又はカップ形の容器を用いる飲料を販売するためのもの』を『カップ形の容器を用いる飲料を販売するためのもののうち、熱電素子を使用するもの』に改めた。

3.製造事業者等の判断の基準となるべき事項に係るディー・ブイ・ディー・レコーダーの類型のうち『デジタル放送受信機内蔵のもの』を『光ディスクの記録及び再生に用いるレーザー光の波長が600ナノメートル以下のもの』に改めた。
施行日:平成19年11月26日

〔告示〕
電気便座の性能の向上に関する製造事業者等の判断の基準等を定めた件(経済産業省告示第288号)
 エネルギーの使用の合理化に関する法律施行規則の改正に伴い、電気便座の性能の向上に関する製造事業者等の判断の基準等が定められた。
施行日:平成19年11月26日

自動販売機の性能の向上に関する製造事業者等の判断の基準等を定めた件(経済産業省告示第289号)
エネルギーの使用の合理化に関する法律施行規則の改正に伴い、自動販売機の性能の向上に関する製造事業者等の判断の基準等が定められた。
施行日:平成19年11月26日

ディー・ブイ・ディー・レコーダーの性能の向上に関する製造事業者等の判断の基準等を定めた件(経済産業省告示第290号)
エネルギーの使用の合理化に関する法律施行規則の改正に伴い、ディー・ブイ・ディー・レコーダーの性能の向上に関する製造事業者等の判断の基準等が定められた。
施行日:平成19年11月26日


【行政情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

【判例情報ウオッチング】
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産業廃棄物をめぐる県外受入の現状 ②なぜ、自治体は規制するのか?

2007-11-25 06:52:12 | 廃棄物適正処理
2007年11月25日 
 産業廃棄物をめぐる県外受入の現状の第2回は、なぜ、各自治体が受入規制を行う背景について考えていきます。

3.受入規制は、違法か?
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)には、広域による処理を否定する規定は存在しません。むしろ、-廃棄物を適正に処理することにより処理コストが下がる(あるいは利益になる)という方向が望まれており、廃棄物を原料として資源を有効利用するリサイクルの育成が必要となる。その利益生のためには、広域移動は欠かせないものであって、県境を越える廃棄物に規制をかけるべきものではない-とするのが環境省の見解であるとされています。つまり、廃棄物処理であるといえども、市場の力に委ねるべきであって、そのために広域処理が求められるのであるならば、それを規制することは法の趣旨に反する、ということになります。
 単純に考えれば、この考え方には2つの矛盾があるようにも見えます。1つは、広域で実施すれば運搬費用が高くなるため、処理コストは増大するのではないか、ということ。もう1つは、仮に処理コストが抑制されたとすると、静脈産業の衰退を招き、結果として不適正処理が行われる可能性が高いのではないか、ということです。環境省の考え方は、市況が高くなっているリサイクル品については、あてはまっても、廃棄物処理自体には適さない考え方のように思えます。
 そもそも国が掲げる循環型社会の優先度は、①発生抑制、②再利用、③再生利用、④熱回収、⑤適正処理、と循環型社会形成推進基本法(循環基本法)に明記されていることを考慮すると、さらに矛盾が生じるように感じます。すなわち、発生抑制がなされれば廃棄物の量は減少します。その現象した廃棄物をさらに安い価格で処理するとなると、静脈産業の経営はいっそう厳しいものとなってしまいます。一方、排出事業者側からすると、発生抑制された結果、『希少価値』となった廃棄物を引き渡すのだから、経済の原則からすれば高く売れる(安く処分できる)という考え方も成り立ってしまいます。
 この矛盾に歯止めをかけることができるものとしては、廃棄物処理法の自社処理原則が考えられます。そもそも廃棄物処理法において産業廃棄物は、排出者自らが処理をする責任が課されており、それができない場合に、委託処理をするという構成になっています。産業廃棄物の処理の委託は、許可を得た業者にしかすることができません。許可とは、本来、一般の人には禁止されているものを、特定の要件を満たすものに限り認めるものです。これを経済原則に当てはめて考えると、特殊技能を使用するためにそれに見合う対価を支払うことが必要となる、といえます。では、『希少価値』となった廃棄物の価格と、それを処理するための特殊技能に対して支払う価格とは、どちらの価値が高いのでしょうか? 現状を見る限りでは、明らかに前者のほうが価値の高いものとして扱われていると思います。
 その理由は、動脈産業と静脈産業の圧倒的な力の差にあると考えます。もちろん、自社処理の原則に照らし適正な価格で処理を委託する排出業者は数多あります。しかし、一方で、経済原則をたてに適正とはいえない価格で委託をする排出業者も存在します。また、静脈産業側も無理な価格で引き受ける業者があることも事実です。
 このような現状から、産業廃棄物の不適正処理が引き起こされます。そして、それは排出事業者を持てる地域から持てない地域へと移動することがほとんどです。それゆえ、各自治体では、他の都道府県からの産業廃棄物の受入を原則禁止としたり、事前協議制とするなどの対応をとっているのだと推察できるでしょう。このよう『違法』性のある指導を実施しているのは、地方部の自治体がほとんであり、都市部の自治体では何ら規制を規定していないことも、それを証明しています。

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産業廃棄物をめぐる県外受入の現状 ①条例等の類型と特徴

2007-11-24 07:53:23 | 廃棄物適正処理
2007年11月24日 
 産業廃棄物の処理については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)上、排出元と処理先の都道府県が異なることについての規定は存在しません。しかし、実際には、他都道府県からの流入について、条例や要綱などで何らかの規制をかけている自治体が多く存在します。

1.県外廃棄物の受入に関する自治体方針の類型
 自都道府県外の産業廃棄物の処理の受入に関する各自治体の方針は、概ね、以下の4類型に絞ることができます。
 A型 原則受入禁止:北海道、和歌山県、宮崎県など
 B型 事前協議制:秋田県、茨城県など
 C型 届出制:福島県、岐阜県、愛知県、山口県
 D型 自由形:宮城県、東京都、神奈川県、など

2.類型ごとの特徴
(1)A型 原則受入禁止の特徴
 A型は、『県外排出事業者は、宮崎県内において処分し、又は保管するために県外産業廃棄物を搬入してはならない。』として原則禁止をしたうえで、『前項の規定にかかわらず、県外排出事業者は、知事が認めたときに限り、特例として、○○県内において処分し、又は保管するために県外産業廃棄物を搬入することができるものとする。』と規定し、『前述の規定の適用を受けようとする県外排出事業者は、あらかじめ、搬入しようとする県外産業廃棄物に係る排出事業場及び当該県外産業廃棄物を搬入しようとする○○県内の処理施設ごとに知事に協議しなければならない。』というように、ある基準を満たす場合に限り、事前協議へと移行するものがほとんどです。
北海道における廃棄物等の処理に係る指導指針
和歌山県産業廃棄物の越境移動に関する指導要綱

(2)B型 事前協議制の特徴
 B型は、『事葉者は、その県外に所在する事業場において生じた産業廃棄物(以下「県外産業廃棄物」という。)を県内で処分し、又は保管するために搬入しようとするときは、あらかじめ、当該事業場ごとに県外産業廃棄物搬入事前協議書により知事に協議しなければならない。』というように、A型と異なり、当初から事前協議によって、受入の諾否を決定しようとするものです。B型は、『○○県産業廃棄物最終処分場の設置等及び県外産業廃棄物の搬入に係る事前協議等に関する条例(要綱)』というような本テーマ独自の条例、要綱(告示)を制定していることが多く見受けられます。
秋田県県外産業廃棄物の搬入に係る事前協議等に関する条例
茨城県廃棄物処理要項

【補足:原則禁止及び事前協議に対する環境省の見解】
 環境省は、『廃棄物の不適正処理を取り締まるためのツールはこれまでの法改正も含めて十分に提供してきた。不適正処理は指導を行うのではなく取り締まるべきである。そして、不適正処理が不可能となり、最終処分場の逼迫やその結果による処理費の高騰がリサイクルへの転換を促す。優秀なリサイクル業者を陶太育成するべきである。
 産業廃棄物の処理は、経済原則(市場原理)にゆだねるべきもので、何処で処理しようとも適正な処理ができればよいのであって、むしろ流通に規制をかけるべきではない。
 事前協議や越境移動の規制、住民の同意などは好ましくない。』
、として、こうした自治体の対応には否定的な見解を示しています。
 
(3)C型 届出制の特徴
 C型は、『県外に設置する事業場において生ずる産業廃棄物を処分するため、自ら又は他人に委託して県内に搬入しようとする事業者は、規則で定めるところにより、当該搬入しようとする県外産業廃棄物の種類、数量その他規則で定める事項を知事に届け出なければならない』というように、届け出ることにより県外搬入を認めるものです。
 ただし、『その届出に係る県外産業廃棄物について産業廃棄物の不適正な処理が行われるおそれがあると認めるときは、その届出をした事業者に対し、当該県外産業廃棄物の県内への搬入の中止その他必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。』と規定し、もしもの場合の中止措置を担保していることが多く見受けられます。
福島県産業廃棄物等の処理の適正化に関する条例
岐阜県廃棄物の適正処理等に関する条例

(4)D型 自由形
 D型は、県外からの産業廃棄物の流入処理について、何ら規制を規定しないものです。東京都、神奈川県、大阪府など、もっぱら排出事業数が多く、最終処分場の数が少ない都府県が多く見られます。

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マニフェスト制度と委託基準 ③委託基準の改正系譜

2007-11-13 06:53:04 | 廃棄物適正処理
2007年11月13日 
 産業廃棄物処理の委託契約については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)施行規則に詳細規定が置かれていますが、今年にはいって3回の改正がありました。3つの改正のうち最初の2つの施行日は7月1日、最後の1つは10月1日とされており、いずれも施行からだいぶ日にちが経過しています。しかしながら、私が契約等に関わった範囲では、排出事業者、処理業者ともまだまだ周知が徹底されていないように感じられます。委託基準違反は、『6月以下の懲役又は50万円以下の罰金(廃棄物処理法第29条)』という罰則規定が設けられており、適正な対応が不可欠です。とくに産業廃棄物処理業者にとっては、廃棄物処理法による罰金刑以上が確定すると欠格要件に該当するため、許可の取消事由となり、仕事と失うという極めて高いリスクがあるといえます。今回は、3つの改正内容について振り返ります。

1.平成18年3月10日改正の概要 
(1)改正の概要
 『廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則及びポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令』によって、委託基準が改正されました。
 本改正の内容は、①廃棄物処理委託契約時に提供した廃棄物情報(廃棄物処理法施行規則第8条の4の2第6号に掲げる事項)に変更がある場合における情報の伝達方法、②廃棄物処理の委託契約の有効期間中に、規則第8条の4の2第6号に掲げる廃棄物の性状等が契約締結時の内容から変更が生じた場合、変更情報が廃棄物処理業者に適切に提供されるよう、変更に関する情報の伝達方法、を廃棄物処理の委託契約事項に追加するというものです。

(2)「廃棄物情報の提供に関するガイドライン」の公表
 本改正の背景には、廃棄物処理過程において、有害特性等の廃棄物情報が排出事業者から処理業者に十分に提供されないことに起因する自然発火や化学反応等による事故や有害物質の混入等の課題があり、廃棄物情報の適切な伝達が求められている、という点にありました。本改正内容がスムーズに実施されることを目的として、環境省では、平成18年4月28日に「廃棄物情報の提供に関するガイドライン」を公表しています。同ガイドラインでは、廃棄物の処理過程で発生した事故事例の検証結果等から、廃棄物情報が必要な項目として、廃棄物の有害性等の12項目を選定し、必要な情報項目を整理した廃棄物データシート(WDS)の様式例が提示されています。排出事業者は、産業廃棄物の処理委託に当たって、廃棄物情報をWDS等で通知し、これを基に処理業者と十分打合せを行うことが望ましいとされています。

2.平成18年5月26日改正の概要
(1)改正の概要
 本改正は、パーソナルコンピューター等の製品中に含有する有害物質に関する情報について、資源の有効な利用の促進に関する法律に基づく表示制度が導入されることから、有害物質情報の表示された製品が廃棄される段階で、こうした情報を処理の過程で活用できるよう、排出事業者から処理業者への情報伝達を制度化することを目的としています。
 廃棄物処理法に定める産業廃棄物の委託基準では、排出事業者は、処理を委託する産業廃棄物の性状等廃棄物情報を委託契約の中で処理業者に提供することとされていますが、今回の改正では、提供すべき廃棄物情報に、当該含有マークが貼付されている旨を追加することとされました。

(2)対象廃棄物など
①対象廃製品
 平成18年7月1日以降に製造された廃パーソナルコンピュータ、廃ユニット形エアコンディショナー、廃テレビジョン受信機、廃電子レンジ、廃衣類乾燥機、廃電気冷蔵庫、廃電気洗濯機が対象となります。

②対象有害物質
 鉛又はその化合物、水銀又はその化合物、カドミウム又はその化合物、六価クロム化合物、ポリブロモビフェニル(PBB)、ポリブロモジフェニルエーテル(PBDE)が対象となります。

3.平成18年7月20日改正の概要
 本改正は、人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する石綿を含む廃棄物の高度な技術による無害化処理の促進・誘導を行うため、石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律により改正された廃棄物処理法の改正に伴うものです。
 具体的には、石綿含有産業廃棄物の処理の委託を行う際には、委託契約書に石綿含有産業廃棄物が含まれる旨を記載すること、とされています。

【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。

【行政情報ウオッチング】
環境省
第12回石綿の健康影響に関する検討会の開催について
化学物質の内分泌かく乱作用に関するホームページのリニューアルについて
遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律に基づく第一種使用規程の承認申請案件に対する意見の募集(パブリックコメント)について
平成19年度 第1回化学物質の内分泌かく乱作用に関する検討会の開催について
「カーボン・オフセットのあり方に関する検討会(第4回)」の開催について
第1回アジア諸国における石綿対策技術支援検討会の開催について
「第5回東アジアPOPsモニタリングワークショップ」の開催について
「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令」について
漂流・漂着ゴミに係る国内削減方策モデル調査第2回地域検討会の開催について

国土交通省
第3回河川環境の整備・保全に関する政策レビュー委員会の開催について

厚生労働省
有害物ばく露作業報告について

【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

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マニフェスト制度と委託基準 ②契約自由の原則の規制修正

2007-11-12 08:17:25 | 廃棄物適正処理
2007年11月12日 
 産業廃棄物の処理の責任は排出事業者にあり、自ら処理することが前提となりますが、実務上は許可を受けた産業廃棄物処理業者に委託することがほとんどです。その際、ポイントとなるのが排出事業者と産業廃棄物処理業者との委託契約です。本来、契約行為は私法の大原則である契約自由の原則に基づき、①契約締結の自由、②相手方選択の自由、③内容の自由、④方式の自由、が認められています。しかし、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)では、これらの自由を規制した委託契約しか認められていません。

1.廃棄物処理法による産業廃棄物委託契約の契約自由の原則の修正内容
(1)『契約締結の自由』の修正
 『契約締結の自由』に対しては、①委託するものが産業廃棄物であること、②委託する産業廃棄物の処理が可能な許可を得ている業者と契約すること、という修正がされています。たとえば、木くずの場合、建築業者や家具製造業者の産業活動によって生じたものであれば産業廃棄物となりますが、それ以外の業種から出されたものは、たとえ産業活動によって生じたものであっても事業系一般廃棄物となり、一般廃棄物処理業の許可を得ている業者にしか処理の委託をすることができません。同じ性情の廃棄物であっても、業種により廃棄物の定義が異なるため、それぞれの許可業者としか契約できないことになります。

(2)『相手方選択の自由』の修正
 上記同様、廃棄物の定義に従い、その廃棄物を処理する許可を得ている業者としか、委託契約を締結することはできません。本来、市場では取引価格が安いとか、高度の技術を有している、という要素が相手方選択の重要なポイントとなりますが、廃棄物処理法においては、許可が最優先され、その中で市場優位性を求めることになります。

(3)『内容の自由』の修正
 経済の大原則では、取引価格は『神の見えざる手』である市場に決定権がありますが、廃棄物処理法では『適正な対価の負担』がなく不法投棄や不適正処理が行われた場合、排出事業者に原状回復等の措置命令が用意されているなど、契約内容についても規制修正がなされています。また、排出事業者-収集運搬業者-処理業者での三面契約の原則禁止、再委託の原則禁止などの規制規定も置かれています。

(4)『方式の自由』の修正
 私法において契約は口頭でも書面でも認められていますが、廃棄物処理法では、必ず書面で行うことが義務付けられており、記載事項についても施行規則によって詳細に規定されています。

2.規制修正の理由
 そもそも業や施設設置の許可といった許認可とは、一般に禁止されていることを、一定の要件を満たすことにより、解除するという制度です。廃棄物の処理は、公衆衛生や環境保全の観点から非常に重要な業務であるため、都道府県知事、市町村長の許可制が法定化されています。従って、契約の相手側は、廃棄物処理業を営むために必要となる能力・設備を有している者として許可を得た業者に限られることになります。これが『相手方選択の自由』の規制修正の理由です。
 廃棄物処理法において、委託契約について『相手方選択の自由』以外にも上記のような規制修正を加えているのは、許可制をとってもなお、不法投棄や不適正処理などの事件が頻発しているからであるといえます。たとえば、価格のある程度の制限や三面契約の禁止は、適正処理を実施するために不可欠となる資金を確保することを目的としています。処理料金に満たない廉価な値段で収集運搬を請け負わざるえない場合や、中間搾取が行われると、不法投棄につながる危険性が増大することは誰の目にも明らかでしょう。また、書面によらない契約の場合、契約自体がなかったこととして不法行為が行われることも想定できます。こうした危険を未然に防止することが、委託契約の規制修正の理由であると考えられます。

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マニフェスト制度と委託基準 ①管理票(マニフェスト)制度の概要と変遷

2007-11-11 08:06:09 | 廃棄物適正処理
2007年11月11日
 マニフェスト制度及び委託契約基準は、産業廃棄物処理業者のみならず、排出事業者側にも一定の規制が設けられており、それぞれ基準違反に対しては重い罰則規定が置かれています。本日から数回にわたり、両制度の改正状況などについて概観することとします。

1.特別産業廃棄物管理票制度の創設 1991年改正
 廃棄物処理法のマニフェスト制度は、1991年改正によって導入されました。本改正では、特別管理産業廃棄物が規定され、その処理状況の管理方法として『特別管理産業廃棄物管理票』制度が創設されました。本制度は、①特別管理産業廃棄物を排出する企業などが、特別管理産業廃棄物の種類や量を記載した管理票(マニフェスト)を収集運搬業者に交付、②収集運搬業者が、搬入時に処分業者に回付するとともに、排出事業者に返送、③処分業者が、処分終了後に収集運搬業者・排出事業者に返送、というものでした。

2.全ての産業廃棄物が対象に 1997年改正
 1997年改正において、『特別管理産業廃棄物管理票』制度は、すべての産業廃棄物を適用範囲とすることに拡大されました。また、新たなシステムとして電子マ二フェスト制度も導入されています。また、本改正では委託基準も改正され、処理料金の明記が義務付けられました。

3.排出事業者の責任強化 2000年改正
 2000年改正では、不法投棄抑止に向けて排出事業者の責任が強化されました。管理票(マニフェスト)制度においても、①マニフェストを交付後、その送付を受けない場合、②規定されている事項の記載がない場合、③虚偽の記載がされている場合、には、処分の状況を確認し、適切な措置を講ずることとされました。そのため、中間処理業者を経由する場合には、①中間処理業者が他に委託する場合に管理票を交付し、②最終処分業者から中間処理業者にマニフェストが交付された後、その写しを中間処理業者から排出事業者に戻す、ことが義務化されています。
 適切な措置とは、単に送付などされていないことを確認するだけではなく、委託した廃棄物がどのような状況にあるかを把握し、違法状態にある場合などは直ちに都道府県に報告するなどの措置が求められていることに留意が必要です。

4.保存義務の明確化など 2005年改正
 2005年改正では、①受託者の保存義務の明確化(送付を受けた日から5年間)、②処分終了前の写し送付禁止の明確化、③勧告不遵守者の公表・措置命令の発出、が規定されました。マニフェストの保存義務については、これまで排出事業者にのみ規定されていましたが、本改正により、産業廃棄物処理業者にも規定が及ぶことになりました。また、施行規則の改正により、運搬受託者及び処分受託者(事業者)の氏名又は名称をマニフェストの記載項目に追加することも新たに規定されています。

5.再生利用認定制度の改正に伴う改正 2007年改正
 再生利用認定制度の内容に係る事項について、資源として利用することが可能な金属を原材料として使用することができる程度に十分に含む廃棄物を再生利用する場合は、廃棄物(処理残さ)の発生を認めることとする施行規則の改正がなされました。これを受け、処理残さとしての廃棄物が発生することが考えられるため、再生利用に供される廃棄物の処理が最後まで確実に行われたことを把握する必要があることから、規則第8条の19 に規定されているマニフェストの交付を不要とする者から資源として利用することが可能な金属を原材料として使用することができる程度に十分に含む廃棄物について再生利用認定を受ける者を除く旨の改正が行われました。

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廃棄物は誰のものか?

2007-11-09 06:46:15 | 廃棄物適正処理
2007年11月9日 
 廃棄物の所有権について整理してみたいと思います。
 廃棄物とは、そもそも、誰も所有の意思を有しないものであるため、所有権という概念自体馴染まないものであるといえます。排出者は所有の意思がないがゆえに、その処理を委託するわけですし、処理業者は処理の委託を受けただけで所有権の譲渡まで受けたわけではありません。したがって、廃棄物の処理過程においては無主物が移動していると考えることができます。
 廃棄物は、『廃棄物の処理及び清掃に関する法律』において、一般廃棄物(主に家庭から排出されるごみ)と産業廃棄物(主に事業活動にともなって排出されるごみ)とに大別され、一般廃棄物の処理は市町村が、産業廃棄物の処理は事業者がそれぞれ実施することとされています。このうち、一般廃棄物の所有権については、条例で定められている例が多く見られます。たとえば、那珂川町廃棄物の処理及び清掃に関する条例では、『前条第1項により定めた一般廃棄物処理計画に従って家庭等から排出された廃棄物の所有権は、那珂川町に帰属するものとする(第3条)』と規定しています。
 家庭ごみは通常、指定されたごみ集積場へ捨てられ、それを回収することがほとんどです。その際に、勝手に誰かに持ち出され、その結果、不法投棄されることのないようにこのような規定が置かれているものであると考えられます。
 一方、産業廃棄物はどうでしょうか。産業廃棄物は、通常、事業者と産業廃棄物処理業者との委託契約によって処理されます。しかし、この契約自体は特定物の売買契約のようなものではなく、あくまで処理の委託契約に過ぎません。事業者の手元から離れ、処理業者の手に渡った時点で、所有権は消滅し無主物となっていると考えられます。
 昨年4月から施行された改正省エネ法では、荷主の報告義務が規定されましたが、そのなかには産業廃棄物の運搬も含まれています。荷主=所有権者となりますから、産業廃棄物の荷主は誰かが問題となります。同法においては、この点を『排出事業者責任』という観点から構成することによって整理をしているようです。すなわち、「産業廃棄物は無主物であるため所有権者はいない。しかし、廃棄物を排出したものはその処理を適正に実施する義務があるので、排出者を荷主とみなす」という考え方です。
 排出事業者責任の考え方は、『廃棄物の処理及び清掃に関する法律』の2000年改正において、「不適正処分に関する支障の除去等の措置命令の強化」、「産業廃棄物管理票制度の強化」規定の創設によって徹底されました。これにより、不法投棄などがあった場合は、排出事業者にも責任があることが明確にされています。

【官報ウオッチング】
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【行政情報ウオッチング】
環境省
中央環境審議会循環型社会計画部会(第39回)の開催について
環境技術実証モデル事業 VOC処理技術分野(中小事業所向けVOC処理技術)における実証対象技術の選定について(財団法人東京都環境整備公社)(お知らせ)
持続可能なアジアに向けた大学における環境人材育成ビジョン検討会(第4回)の開催について
石綿による健康被害の救済に関する法律に基づく指定疾病の認定に係る医学的判定の結果について

経済産業省
特定サービス産業動態統計速報(平成19年10月分)

国土交通省
健全な河川水環境のあり方に関する懇談会の開催について

東京都
エコドライブ支援機器の装着費用を助成

【判例情報ウオッチング】
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廃棄物処理法にみる行政処分と刑事処分 ⑥防御機会の手続 事後手続 行政事件訴訟法

2007-11-03 18:30:14 | 廃棄物適正処理
2007年11月3日
3.行政事件訴訟法
(1)行政事件訴訟法の訴訟類型
 行政処分の取消しを求める最終ラウンドは、裁判による決着となります。行政事件訴訟法も行政不服審査法同様、提訴までの有効期間が規定されており、原則として、処分または裁決があったことを知った日から6か月を経過したときは、もはや提起することはできません。また、原則として、処分または裁決があった日から起算して1年を経過したときも提起することはできなくなります。行政不服審査法と異なり、起算日に初日が含まれていることに注意する必要があります。
 また、行政事件訴訟法は、裁判所による法律判断を下すものですので、行政不服審査法による不服申立てと異なり、対審構造(原告・被告)による口頭弁論主義によって審理されることとなります。行政事件訴訟法では、訴訟の種類として、①抗告訴訟(行政処分の取消し等の訴訟)、②当事者訴訟(土地収用の際の当事者同士の訴訟等)、③民衆訴訟(一般選挙人による選挙無効の訴訟等)、④機関訴訟(国または地方公共団体間の訴訟)、の4つが定められています。廃棄物処理法における行政処分との関係では、①抗告訴訟が重要となります。

(2)抗告訴訟(行政事件訴訟法第3条)
 抗告訴訟とは、『行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう』とされ、以下の6つの種類により構成されています。
①処分の取消しの訴え(行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為の取消しを求める訴訟)
②裁決の取消しの訴え(行政庁の裁決、決定その他の行為の取消しを求める訴訟)
③無効等確認の訴え(処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟)
④不作為の違法確認の訴え(許認可申請等に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟)
⑤義務付けの訴え(行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき、行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき、に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟)
⑥差止めの訴え(行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟
 上記のうち、①処分の取消しの訴え、②裁決の取消しの訴え、を取消訴訟といいます(また、上記に属さない法定外の無名抗告訴訟もある)。

(3)取消訴訟の審理
 取消訴訟が提起された場合、裁判はその訴えの訴訟要件を審理します(要件審理)。訴えの利益(勝訴した場合に、①法律上の利益が属する者か、②現実に利益の回復が得られる状態か)が認められない場合や形式的不備(提起期限がきれているなど)がある場合、補正が可能であれば補正を命ぜられ、補正が不可能であれば、この段階で不適当な訴えとして却下されることになります。
 訴えが要件を具備していれば、内容の当否の審理(本案審理)に移行します。本案審理は、対審構造(原告・被告)による口頭弁論主義によって審理されることとなります。また、当事者の主張・立証に関わらず裁判所は必要があるときは職権で証拠を調査することが可能です(職権主義)。
 行政不服審査法同様、訴訟中は原則として行政処分の執行は停止されません。しかし、重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は申立てにより、決定をもって行政処分の全部または一部の執行を停止することができます(ただし、内閣総理大臣が異議を述べた場合は、停止不可。この場合、内閣総理大臣は、次の通常国会に報告義務あり)。

(4)判決
 行政事件訴訟法においても、行政処分が違法または不当であったとしても、行政処分を取消すことが公益に著しい障害を生ずる場合は、裁判所は請求を棄却することができます(事情判決)。
 取消訴訟の判決には、①判決内容に反する主張は不可とされる既判力、②処分・裁決が遡及的に執行する形成力、③判決の趣旨に従った行動が求められる拘束力、が備えられます。

 なお、最近の廃棄物処理法関連の裁判例では、元役員が道路交通法違反(飲酒運転)で懲役5月執行猶予3年の有罪判決を受けたことが、廃棄物処理法第14条の3の2第1条第1項に規定する欠格要件に該当するとして、2004年11月に埼玉県から業許可を取り消された茨城県の元産廃収運業者が、埼玉県知事を相手取り処分の取消を求めた訴訟の判決が3月22日、さいたま地裁でありましたが、廃棄物処理法の厳格な欠格要件の規定も法の範囲内とされ、行政処分が取消されることはありませんでした。

【官報ウオッチング】
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【行政情報ウオッチング】
国土交通省
建設機械のCO2排出量を低減します~CO2排出低減建設機械に対する融資制度を開始します~

厚生労働省
第29回石綿に係る疾病の業務上外に関する検討会開催について
第4回化学物質に関する個別症例検討会開催について

【判例情報ウオッチング】
さいたま地裁は、31日、春日部市土地開発公社が先行取得した公共事業用地に、産業廃棄物が投棄されていたのを知りながら、それを隠したまま土地交換契約を結んだのは詐欺行為に当たるとして、公社が、前所有者の金融業と、契約を仲介した建設会社を相手取り、産廃撤去費用など総額1億2579万円を求めた損害賠償請求訴訟で、「埋め立てに同社や金融会社の関与を認めることはできない」とし、同公社の請求を棄却する判決を言い渡しました。

ISO14001
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「10月22日から10月28日までに公布された主な環境法令一覧」を更新しました/2007.10.28
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