夫婦でシネマ

夫婦で見た映画と、個別に見た映画について感想をかいてます。全て映画館で見た映画で、ミニシアター系の映画をたくさん紹介!

WALL・E/ウォーリー

2008年12月21日 | あ行の映画
Story
29世紀の荒れ果てた地球で、たったひとり黙々と働き続けるゴミ処理ロボット、ウォーリー。宇宙へ脱出した人間たちに置き去りにされて700年、大好きなミュージカル映画『ハロー・ドーリー!』のビデオで男女が手を握るロマンチックなシーンを見ては人恋しさを募らせていた。そんなある日、真っ白に輝くロボット、イヴが現れ、ウォーリーはたちまち恋に落ちる。ところが、巨大な宇宙船がイヴを連れ去ってしまい…。(goo映画より)
2008年/アメリカ/ アンドリュー・スタントン監督作品




評価 ★★★★★

『レミーのおいしいレストラン』に続くスタジオ・ピクサーの待望の最新作!

この『ウォーリー』は今までのピクサーの長編アニメと比べると、明らかにタイプの異なる新しい感じがしましたね。ジャンルでいうとSF冒険ファンタジーということもあるかもしれませんが、前作の『レミーのおいしいレストラン』より更にパワーアップした圧倒的なスケール感で存分に楽しませてくれました。

ロボットの物語ということで、セリフを極力抑えたことがかえって良かったのでしょうか、主役のゴミ処理ロボット・ウォーリーの孤独や寂しさが、痛いほど伝わってくるような効果をもたらします。
ゴミ処理という仕事を毎日せっせと続けながら、大量のゴミの中に人間が残した様々な道具を(電球、ルービックキューブ、ミュージックビデオなど)、自分の宝物として集めて、それを楽しむことが日々の生き甲斐になっているウォーリー。そして、ウォーリーの夢はいつの日か好きな人と手を繋ぐこと。
セリフらしいセリフはほとんどない状態で、ウォーリーの人間より人間臭い感情を、映像と音楽だけでここまで巧みに表現できるのは本当に凄い!としか言いようがないですね。

また、いつも思うことですが、ピクサーのアニメに登場するキャラクターたちは、どれも個性豊かでその可愛らしいことと言ったら!ロボットなのに仕草や表情がちゃんと計算されて作られているので、その愛らしさにいつの間にか『ウォーリー』の世界観にどっぷりハマってしまうこと請け合いです。(私はお掃除ロボットのモーが可愛くて、ツボにハマリました。)

その反面、物語の後半で登場する人間たちがぶくぶく太っていてあまり魅力的ではないですが、こういったキャラクターの創造も、NASAでの視察やディスカッションを基に、綿密な調査から造られたものらしいので、余計に物語にリアルさが生まれたような気がしますね。

物語の前半は、ウォーリーとイヴのラブシーンを描いていて、とても静かな展開だったのが、中盤から突如、宇宙船での冒険活劇のような、ハードなアクションシーンに切り替わるので、物語の方もまったく飽きさせない展開になっています。
この映画は一見、子供向けのようですが、どちらかというと大人の方が楽しめる作品なのかもしれないですね。
ラストの、ポンコツ同然になったウォーリーをイヴが助けようと、ウォーリーとイヴが初めて手をつなぐシーンは、なんだか感激して涙が溢れました。





評価 ★★★★

監督・原案・脚本は、『ファインディング・ニモ』のアンドリュー・スタントン。

予告編を観ていた時は、これは「サイレント・ランニング」では!?、と思っていたのですが、パンフを読むとやはりある程度影響は受けてるみたいですね。
しかし、どの映画にインスパイアされたにしろ、これはアニメの枠を超えた素晴らしい映画でした。
ロボット達の無表情の中に感情を表現する効果が絶妙に効いてますね。
SF的映像表現も良く出来ていて、ウォーリーが土星の輪を手ではじく場面なんかは、とてもファンタジックでした。

廃墟と化した地球で700年にも渡ってゴミを処理し続けるウォーリー。彼が処理したゴミの山は摩天楼のように聳えたっています。無意味と思える行為を延々と続けるウォーリー。無意味さでは、地球を捨てて宇宙船で生活している人間も変わらず、皆ぶくぶく太っているのは、アメリカの肥満社会を皮肉っているようです。

ウォーリー達の奮闘で、遂に人間達が地球に戻ってくるのですが、宇宙船内のぬくぬくとした生活を離れて、彼等にとってはかなりの苦難の日々が続くであろう事は容易に想像されます。この、人間達が荒廃した地球に降り立つ場面は、フェリーニの「8・1/2」のラストを思わせるものがありました。
不条理な世界で営みを繰り返す人間とロボットを描いて、これは、アニメの衣をまとってはいますが、実はかなり哲学的な示唆に富んでいるのでは、と思わせる映画でした。



ピクサー作品ではおなじみですが、本編上映前に楽しい短編映画が上映されました。その作品についてのレビューは次のとおりです。

PRESTO『マジシャン・プレスト』
(2008年/アメリカ/ダグ・スウィートランド監督作品)


Story
20世紀初頭を舞台に活躍するプレストは、品格、落ち着き、神秘性、そのすべてを兼ね備えた偉大なマジシャン。プレストにはマジシャンの相方にウサギのアレックがいるが、大事なステージの前のディナーで、アレックにうっかりエサのにんじんを与えるのを怠ってしまう!それがきっかけで、プレストはアレックから反撃されることになり、大事なステージが予想もしない事態に発展することに・・・。(ピクサー公式サイトより)


瞬間移動できるマジックの帽子をネタにアクションとギャグがどんどんエスカレートして行くのが楽しい短編。マジシャンのプレストとうさうさのコンビが良かったですね。

評価 ★★★★

いかにもマジシャンといったミステリアスな雰囲気のプレストに対して、相方のウサギのアレックがアホかわいい感じの正反対のキャラクターだったのが面白かったです。ストーリーは単純明快で特にヒネリはないけど、ウサギのアレックのせいで大事なプレストのステージがハチャメチャになっていく様が観ていて楽しい内容になっています。

評価 ★★★★

ピクサー・アニメーション・スタジオの初期の頃の短編映画についてもご紹介しています。
レビューはこちら!


映画『WALL・E/ウォーリー』公式サイト(日本版)

映画『WALL・E』公式サイト(米国版)
本場の公式サイトはこちら!


(「WALL・E/ウォーリー」2008年12月 長野 岡谷スカラ座にて鑑賞)

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10 コメント

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日本インターネット映画大賞募集中 (日本インターネット映画大賞)
2008-12-21 14:13:13
突然で申しわけありません。現在2008年の映画ベストテンを選ぶ企画「日本インターネット映画大賞」を開催中です。投票は1/15(木)締切です。ふるってご参加いただくようよろしくお願いいたします。
なお、日本インターネット映画大賞のURLはhttp://www.movieawards.jp/です。
返信する
感想聞きたい(^.^) (ひよこ〓)
2009-01-03 02:37:13
娘のリクエストで
私は貝になりたい見てきたの。
これはどんな風に感じたかなと思って久々に訪ねて見ました。
見に行く予定あるかしら?
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こんばんは♪ (nyanco)
2009-01-03 20:46:17
ひよこさん、こんばんは!
コメントありがとうございました♪
『貝になりたい』は観てないんですよ。。
今はちょっと刺激の強そうな映画は避けてます。。^^;
『怪人20面相』なら観てきました~。
これはアクションが凄くて、思ったより面白かったですよ。
近々レビューをアップしようと思ってますので、良かったらぜひまた遊びに来て下さいね!
返信する
新年明けましておめでとうございます。 (白くじら)
2009-01-04 11:14:17
こんにちは、またしてもお久しぶり…になってしまいましたが、今年もよろしくお願いいたします。

あの最初の摩天楼が実はゴミであったことが判ったときには驚いてしまいました。
パンフにはイヴのことを任務に忠実…と書いてありましたが、ウォーリーもなかなかどうして700年間ゴミ処理を続けていたのですねぇ。

ウォーリーとイヴは二人共ロボットという無機質でありながらも表情豊かで心情がよく判るようになっていて、さすがはピクサー。最後は私も涙でした。
やっぱり最後までお掃除していたモーがよかったですね。(^^)/

トラックバックさせていただきました。
返信する
今年もどうぞ宜しくお願いします! (nyanco & wanco)
2009-01-09 09:55:48
白くじらさん、こんにちは♪
お久しぶりです!
こちらこそ、すっかりご無沙汰してしまって、コメント&TBありがとうございました。

最初のオープニングで、私も摩天楼が実はゴミであったという映像に驚きました。
そういった演出が実に上手くて、さすがピクサーだなと感心しましたね。(^^)

ロボットが主人公の映画ということでセリフがほとんど無かったですが、ウォーリーとイヴの心情がかえって痛いほど伝わってきました。
ピクサーの長編映画の中でもベスト1と言っていいほど、心に残る名作になったのではないかと思います。
キャラクターの可愛らしさも健在で嬉しかったです。

こちらこそ、今年もどうぞ宜しくお願いします。
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Unknown (アイマック)
2009-01-09 13:00:20
wancoさん、nyancoさん、あけましておめでとうございます。
ご無沙汰してました。
今年もどうぞよろしくお願いしますね♪

前半のウォーリー、イヴとのふれあいなどは素晴らしかったです。
さすがピクサー、クオリティ高い。
自分は人間がでてきてからしらけてしまったんだけど、それでも楽しめました。
『マジシャン・プレスト』もかわいかった。

今年もいい映画に出会いたいですね。

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あけましておめでとうございます。 (wanco)
2009-01-13 10:58:39
アイマックさん、あけましておめでとうございます!
こちらこそ、今年もよろしくおねがいします。

wancoは、人間が最後まで出てこないのではと思っていたので、彼等が出てきた時はちょっと違和感を感じましたが、脚本が良く出来ていたので、最後まで楽しく観る事ができました。
さすがにピクサーはクオリティが高くて、安心して観れますね。
『マジシャン・プレスト』のうさうさもかわいかったです。

それでは、今年もいい映画に出会える事を祈って、よろしくお願いします!
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ウォ~リ~~~ (Any)
2009-01-13 18:30:27
こちらにもお邪魔します♪

今年1本目の鑑賞は「ウォーリー」にしました^^
いやぁ~ 素晴らしい!!
仰る通り、セリフを極力抑えたことが功を奏したのかもしれませんね。ウォーリーの健気さは胸キュンものでした。
荒廃した地球と美しく壮大な宇宙の対比も良かったし、映像と音楽も個人的には文句無しです☆

>NASAでの視察やディスカッションを基に、綿密な調査から造られたものらしいので

そうなんですか!人間登場のあのシーンには何だかゾゾッとしちゃいましたよ。「歩かねば・・・」って。日頃の自分の横着ぶりと重なりました~(汗)
ショートフィルムの方も楽しかったですね!
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毎々、失礼します。 (KGR)
2009-01-16 22:48:01
すみません、調子に乗って、たくさんTBしました。

「ダークナイト」がなければ文句なしの「私の1位」でした。
アニメの域を超えています。
PIXARには、感服せざるをえません。

時々、この映画にさすがディズニーとお書きになる人がいて、
読みながら「違うよ」と突っ込んでしまいます。

アカデミー賞も楽しみです。

返信する
ありがとうございました。 (wanco)
2009-01-18 15:37:00
KGRさん、こんにちは。
トラバとコメント、ありがとうございました。

僕もウォーリーは、アニメの域を超えていると思いました。

アカデミー賞は、これとカンフーパンダの争いになりそうですね。
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