⒅ 日朝関係(戦後)の描き方 63
ⅵ 現在の課題:まとめと考察 -34(完)-
在留韓国・朝鮮人問題は、日韓併合以来の約100年ほどの”激動の”歴史があり、複雑な事情と感情が入り混じっているので、独立項「区別・差別・人権」まで挿入して、このように長い「まとめと考察」になってしまった。
が、どうにか、各教科書の「現在の課題」の記述についての評価をする準備ができた気がする。
※下記表の説明は最小限にひかえるので、根拠等調べたい方は、182~267 をお読みください。
1 終戦時の残留の状況と理由の記述内容の評価
帝国書院の記述が正確であり、学び社は《ほんの一時期の現象だけを採りあげた、結果としての「嘘」。
・正確であり、現代日本人が知っておくべきことを記述している。→ 〇 帝国書院。
・人数はわかっているのに、なぜかあいまいな表現をしている。→ △ 東京書籍。
・無記 → △ 育鵬社、自由社、教育出版、日本文教、清水書院。(※編集裁量の範囲内にあると認めるとして)
・結果として「嘘」を書いている。→ × 学び舎
2 「解決すべき課題」として「在留韓国・朝鮮人への差別」を挙げていることへの評価
86回(日)にわたって調べた結果、次のことがわかった。
① 1980年代以後には、《日本(人)による在留韓国・朝鮮人への差別行為》は、全体としては大きな社会問題とはなっていない。
※1970年代以前についてはわからない。
② 最近まで(まだ?)、「特別永住者」は外国人であるにもかかわらず、他国籍の外国人より優遇されてきた。
(※外国人なのだから、《日本人とまったく同等》という処遇は、国際標準としてありえない。)
③ 最近、「年間平均所得」は、日本人よりも在留韓国・朝鮮人のほうが多くなっている。
したがって、《現在は、全体的差別行為も、差別の結果としての全体的貧窮現象もない》 と言える。
つまり、「日本人による在留韓国・朝鮮人への差別問題」は、「現在の日本(人)が、全体として解決すべき課題」ではない、ということ。
・課題として挙げていない。→ 〇 育鵬社、自由社、清水書院、学び舎。
・課題として挙げている。 → × 東京書籍、帝国書院、教育出版、日本文教。
みごとに4対4に分かれた。
×の4社・・・明確な客観的根拠がないことを、あえて書いているのだから、よほど書く理由があるのだろう。
※もっとも重大な問題は、文部科学省が、教科書検定でこの内容を認めていること。このブログの内容に疑義があるのなら、検定官に指摘してほしいが…
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