お休みと言えば?
そう、お休みと言えば、ありったけの煙草とコーヒーを用意して、
ふかふかのソファにブランケットを持ち込んで、
地球防衛軍でも北斗無双でもなく、映画鑑賞がよろし。
いやね、こんな天気のいい休日だというのに、まずは出社というのが残念な限りだ。
本来は、こういった休日を楽しむために働いていたはずなのに、
いつの間にか、せっかくの休日までもが汚染されがちだ。
ほら、見てみなさいよ。
イギリスでは王子様が結婚したそうだね。
お相手は何と貴族でも王族でもないただの一般市民だよ。
何かな、そろそろ僕にも童話検証でシンデレラに手をつけろと言わんばかりの情勢だ。
焦らずともやるさ、安心してくだされ。
そうして、そんな大結婚式のおかげで都市機能が完全にまひしたとか、
莫大な経済のマイナス効果があるとかで、人の結婚式にまで非難を浴びせるのだ。
まあね、イギリスって国は一度行ったけれど、とてもおそろしいところだったよ。
あれは国民性というもんなのかね、適当に適当を重ね合わせてできている地域だ。
僕が行ったときには、平日の通勤時間にいきなり地下鉄が運転をとりやめた。
理由はよくわからない。
とにかく面倒くさかったのか、出勤する市民たちも「またかよ……」とつぶやく程度で、
怒りの文句一つもなく、方々へと散らばっていくのだ。
それが今回の大震災のように、停電しましたというのであれば納得も行くのだろうが、
イギリスという国、そこが僕らの住む日本とは違っている。
本当に些細なことでもやる気を失う。
この前などは、雪が3センチ積もったとかでお店のシャッターを閉め出すというのだ。
ああ、午後の紅茶がおいしいことだ。
さてさて、余計な話で大いに脱線はしたが、
休日の楽しみと言えば、やっぱり娯楽がいいでしょね。
何ともばからしい話ではあるが、もう何百回と往復を繰り返している自分専用の本棚に向かい、
これまた呆れた挙動ではあるが、もう何十回と読破している漫画を読みあさる。
大抵の人間は一度読めば、あるいは数回見れば二度と手をつけることはあるまい。
しかし、そこが僕のしつこいところだ。
何でもよみがえるさというようにム○カ大佐モードに入ると、目が……というぐあいなのさ。
……と、こんな非生産的な話はここまでにして、
いよいよ本題である映画の話だ。
しかし、最近の映画というのはどうにもこうにも、
年なのかねと思う気持ちもあるが、どうしてもネタ切れの感は否めない。
レンタルショップに足を運んで、ジロジロと新作コーナーを見てはいるものの、
ぼんやりと通り過ぎ、いつの間にか旧作コーナーへとたどり着く。
そうして、あいうえお順にずらりと並んだ棚を見て、
これも見たや、これも見たやとつぶやきながら、気になる作品を手に取る。
僕はもともと映画好きだし、元某レンタルショップで働いていたこともあり、映画には少しばかり詳しい。
いいレンタルショップとは、お勧めコーナーの仕上がりで決まる。
あたかも有名どころを並べる店はだめだ。
やはり、何ぞこれというもので、しかも良作であるということが必須条件である。
よく見かける風景ではあるが、有名俳優が出ていれば数本以上の入荷がされ、棚にはズラリと同じ作品が並ぶ。
時がたつにつれ、傷ものを廃棄していき、旧作棚に移るころには10本以上もあったものが片手で足りるくらいの数になり、
さらに時がたてば、日本の狭過ぎる土地事情も絡み、わずか1本だけということもある。
最後の複数本から1本限りにする作業というのは意外と難しくて、
作品一つ一つの売り上げを見て、53で割るのだ。
どうして53かというと、1年間が53週ほどであり、
いわゆる1週間レンタルをしても、十分に回転するかどうかを見極めるのだ。
そして、その日、僕は久しぶりに落胆の気持ちを隠し切れずにため息を吐いた。
「こんな名作がたったの1本だなんて……」
僕はこの作品に大きく心を揺さぶられ、
初めて見たときには、エンドロールが終わって数十分がたっても、画面の前から離れることができなかった。
友人が言う。
「俺は小説派ですね。頭の中で登場人物とか、風景とかを想像できるから」
「しかも、誰一人として思い描いている顔って違うと思うんですよ」
「言い回し一つ一つにいちいち感動できるし」
僕は言う。
「僕は映画派だね。このシーンを、この角度からってのが見られたら鳥肌が立つ」
「言葉が要らない。この表情にすべてが詰まっている」
「BGM一つでここまで景色を違って見せられるのかって」
今、僕が手に取っている作品とは、まさにそんな僕が思う映画のよさが詰め込まれた映画だ。
これまでの価値観、先入観、固定観念などという言葉が崩れ去り、身震いがとまらない。
持っていた煙草の灰が灰皿へと行かぬまま、ポロリと太ももに落ちるのを見て、
ようやく我に返ることへと成功した。
そう、お休みと言えば、ありったけの煙草とコーヒーを用意して、
ふかふかのソファにブランケットを持ち込んで、
地球防衛軍でも北斗無双でもなく、映画鑑賞がよろし。
いやね、こんな天気のいい休日だというのに、まずは出社というのが残念な限りだ。
本来は、こういった休日を楽しむために働いていたはずなのに、
いつの間にか、せっかくの休日までもが汚染されがちだ。
ほら、見てみなさいよ。
イギリスでは王子様が結婚したそうだね。
お相手は何と貴族でも王族でもないただの一般市民だよ。
何かな、そろそろ僕にも童話検証でシンデレラに手をつけろと言わんばかりの情勢だ。
焦らずともやるさ、安心してくだされ。
そうして、そんな大結婚式のおかげで都市機能が完全にまひしたとか、
莫大な経済のマイナス効果があるとかで、人の結婚式にまで非難を浴びせるのだ。
まあね、イギリスって国は一度行ったけれど、とてもおそろしいところだったよ。
あれは国民性というもんなのかね、適当に適当を重ね合わせてできている地域だ。
僕が行ったときには、平日の通勤時間にいきなり地下鉄が運転をとりやめた。
理由はよくわからない。
とにかく面倒くさかったのか、出勤する市民たちも「またかよ……」とつぶやく程度で、
怒りの文句一つもなく、方々へと散らばっていくのだ。
それが今回の大震災のように、停電しましたというのであれば納得も行くのだろうが、
イギリスという国、そこが僕らの住む日本とは違っている。
本当に些細なことでもやる気を失う。
この前などは、雪が3センチ積もったとかでお店のシャッターを閉め出すというのだ。
ああ、午後の紅茶がおいしいことだ。
さてさて、余計な話で大いに脱線はしたが、
休日の楽しみと言えば、やっぱり娯楽がいいでしょね。
何ともばからしい話ではあるが、もう何百回と往復を繰り返している自分専用の本棚に向かい、
これまた呆れた挙動ではあるが、もう何十回と読破している漫画を読みあさる。
大抵の人間は一度読めば、あるいは数回見れば二度と手をつけることはあるまい。
しかし、そこが僕のしつこいところだ。
何でもよみがえるさというようにム○カ大佐モードに入ると、目が……というぐあいなのさ。
……と、こんな非生産的な話はここまでにして、
いよいよ本題である映画の話だ。
しかし、最近の映画というのはどうにもこうにも、
年なのかねと思う気持ちもあるが、どうしてもネタ切れの感は否めない。
レンタルショップに足を運んで、ジロジロと新作コーナーを見てはいるものの、
ぼんやりと通り過ぎ、いつの間にか旧作コーナーへとたどり着く。
そうして、あいうえお順にずらりと並んだ棚を見て、
これも見たや、これも見たやとつぶやきながら、気になる作品を手に取る。
僕はもともと映画好きだし、元某レンタルショップで働いていたこともあり、映画には少しばかり詳しい。
いいレンタルショップとは、お勧めコーナーの仕上がりで決まる。
あたかも有名どころを並べる店はだめだ。
やはり、何ぞこれというもので、しかも良作であるということが必須条件である。
よく見かける風景ではあるが、有名俳優が出ていれば数本以上の入荷がされ、棚にはズラリと同じ作品が並ぶ。
時がたつにつれ、傷ものを廃棄していき、旧作棚に移るころには10本以上もあったものが片手で足りるくらいの数になり、
さらに時がたてば、日本の狭過ぎる土地事情も絡み、わずか1本だけということもある。
最後の複数本から1本限りにする作業というのは意外と難しくて、
作品一つ一つの売り上げを見て、53で割るのだ。
どうして53かというと、1年間が53週ほどであり、
いわゆる1週間レンタルをしても、十分に回転するかどうかを見極めるのだ。
そして、その日、僕は久しぶりに落胆の気持ちを隠し切れずにため息を吐いた。
「こんな名作がたったの1本だなんて……」
僕はこの作品に大きく心を揺さぶられ、
初めて見たときには、エンドロールが終わって数十分がたっても、画面の前から離れることができなかった。
友人が言う。
「俺は小説派ですね。頭の中で登場人物とか、風景とかを想像できるから」
「しかも、誰一人として思い描いている顔って違うと思うんですよ」
「言い回し一つ一つにいちいち感動できるし」
僕は言う。
「僕は映画派だね。このシーンを、この角度からってのが見られたら鳥肌が立つ」
「言葉が要らない。この表情にすべてが詰まっている」
「BGM一つでここまで景色を違って見せられるのかって」
今、僕が手に取っている作品とは、まさにそんな僕が思う映画のよさが詰め込まれた映画だ。
これまでの価値観、先入観、固定観念などという言葉が崩れ去り、身震いがとまらない。
持っていた煙草の灰が灰皿へと行かぬまま、ポロリと太ももに落ちるのを見て、
ようやく我に返ることへと成功した。