夜も深くなったところで第2話への連投をっ
あの、休んでいただいても結構ですよ??
むう、実は26時間テレビが……
というのは冗談で、暑くて眠れないのだ
へぇ、札幌も暑いんだねぇ
いや、実のところ、大して暑くはない。
気温にしても、恐らく20度くらいじゃないかなあ?
ただ、札幌人は暑さ慣れしていないのだ
人が暑さを感じるメカニズムはさておき、
体には無数の穴がある。気孔というやつだ
これが開くと、つまり窓を開いて部屋を涼しくするのと同じ原理で、
体温調整をしているということ。
札幌人はこれがなかなか開いてくれない
開けよっ
ダメ?
開けゴマァァァッ
ダメ?はい。
これは北海道の気温がもともと上がらないことが原因。
むしろ、気孔は次に来る冬のために閉じておかなければならない。
もちろん、全く開かないわけじゃあない。
でも、暑い地域に住んでいる人よりも開きにくいので、
体感温度が少しだけ違うんだ
さてさて、こんなところでこの話は終わりにして、
いよいよ本題の心霊体験?のコーナー
といっても、今回はツアー中のトラブルをお伝えしよう。
心霊とは無関係に怖くなること間違いなし(笑)
これは、僕が大学を卒業して間もなくのころ、
友達2人とその時付き合っていた女の子と心霊ツアーに旅立った。
今回の目的地は、札幌市内のはずれにある廃屋。
いわく付きで、どうやら一家心中して以来、
誰も住んでいないのに電気がついていたり、音が聞こえたりと、
まあ不思議なうわさが多かった。
そこにいざ忍び込んでやろうと意気込んで、
車を走らせた。
走って少したつとだんだんと住宅街になり、明かりがまばらになってくる。
さらに進むと、もう森と家が点々とあるだけで、暗さも怖さもアップしてくる。
「おい、あれじゃねーか?」
友人がそう言うのを聞き、ふとその方向を見ると、
道路から少し離れたところにポツリと家が1軒ある。
道路に車をとめるわけにもいかないので、
そこらへんの空き地をお借りして、エンジンをとめる。
「さあて、じゃあ行きましょうか」
前にも話したとおり、僕らは基本的に怖がらない。
もともと心霊体験が多い友人が多いし、
性格もどっしりと肝が据わっているのだ。
だから、きっと周りから見れば、どこかのアミューズメントパークに行くような
そんな軽いノリで、ある意味、心霊ツアーとしては面白みがない。
道路を渡り、先ほど見た家の前まで行く。
すると、その家を覆うように鉄でできた柵がしてある。
「あれ、こんなのあったか」
ここは地元ではかなり有名な心霊スポットだったため、
かなりの訪問者がいたようだ。
正面はそんな感じで、潜り抜けられる隙間も見当たらない。
後ろは山になっており、そこから行っても楽しくなるわけだが、
ここまできて、わざわざ山の反対側まで行くのもしゃくだ。
「これ、登れないか」
そう言うと、友達は柵に手をかけ、器用に上まで登っていく。
彼女は一旦そこに置いておき、
僕ももう1人の友人もそれに続き、柵を越える。
ではではでは、
いよいよ家への侵入だ。
家までは微妙な上り傾斜があり、それをゆっくりと歩いていく。
さて、どこから入ろうか。
そんな思案をしていると、友人がふと妙なものを見つけ、呟いた。
「ここ、SECOMついてね?」
セコムッ!?何だって!?
こんな廃屋になぜセコムが??
「やべぇ、セコムだ。逃げようぜ」
とにかく、僕らはかなりのパニックになり、
急いで来た道を走り、柵をよじ登り、車に向かっていった。
はぁはぁ……はぁはぁ……
ああ、危なかった。
幽霊もさることながら、警察だってそれ以上に怖い。
下手に問題などは起こしたくはないのだ。
そうして、僕はエンジンをかけ、急いで走り出す。
しかし、その時、僕は手に違和感を感じ、ふとそれを見る。
「あれっ?手から血が出てる」
「マジっすか!?」
「あ、うん、ほらここ」
「どーしたんすか?あれ、ってか俺も血出てる」
「…実は俺も同じ場所から血出てるんです」
こうして、僕ら3人の手のひらの全く同じ場所から血を流し、
顔を見合わせ、戦慄した。
そして、長い沈黙の後、3人がほぼ同じタイミングでこう呟いた。
「…柵ですね」
…そう、柵のてっぺんはとがっていて、
急いで登ったときに刺さったというまた不思議でくだらない話。
こうして、僕らは笑いながら夜のドライブを楽しんだ。
しかし、話はこれでは終わらない。
数週間して、友人が顔を真っ青にして、僕らのもとにやってきた。
「あの、大変な事件起きました」
「なしたの?」
「俺らが行った廃屋あるじゃないですか。あそこに俺の友達もこの前行ったらしいんですよ」
「へえ、それで」
「セコムに気づかなくて入っていったら、その後ヤクザ来てボコられました」
…マジか。
それは非常に悲しいね。
今では心霊スポットもヤクザの釣りとしてたたずんでいるのか。
ってか、あの時気づいてよかったなあ。
じゃなきゃ今頃、オレらはボコられ、
彼女は……。
ああ、考えないでおこうか。