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科学的特性マップの撤回を。高木章次さんの要望書。

2017年08月11日 | 核のゴミ

月28日に発表された「科学的特性マップ」の批判、
前田恵子さんの投稿に続いて、

マンガパンフ(イラストリーフレット)で著名な高木章次さんが、

科学的特性マップの非科学性を訴え、撤回の要望書を出しましたので
ご本人の了解を得て、全文を掲載します。
拡散・ご活用ください。

8月1日にFAXで送り、鹿児島県庁で記者会見、鹿児島ではテレビ新聞で報道されたとのことです。
引き続き、ご意見・情報をお寄せください。


 

経済産業省 資源エネルギー庁 様
原子力発電環境整備機構(NUMO)様

                            2017年8月1日

          要 望 書

 1、公表された科学的特性マップの撤回を求めます。
 2、鹿児島県は、全域が「地層処分には好ましくない特性があると推定される地域」です。

科学的特性マップ撤回の理由は以下の通りです。

1)現在の日本での地層処分は「埋めたことにならないのではないか」と考えています。たとえば、処分坑道は埋め戻すことになっていますが、透水性は岩盤と同等にすることとしています。これは課題となっていて、達成できなければ容器から漏れ出た放射能は岩盤の中を地上に向かうのでなく、優先的に水みちとなった処分坑道を伝って地上へ出現することになります。

2)場所が決まらないだけ、国民の理解がないだけという考え方は間違いです。
 政府エネ庁や事業主体であるNUMOは国民の理解を求める、つまり同意を求めるのではなく、都合の悪いこと、わかっていないこと、多くの課題も積極的に知らせた上で議論するべきです。
 
3)地層処分のための最適地を選ぶべきです。このマップは日本には広く地層処分の「適地」があり、最適地を選ぶという考え方を取らないことを示していて認められません。結局は、反対の少ない場所が適地、ということになるのではないでしょうか。全国的なデータも不足し、科学的に理解されていない問題点があることを知りながら、複数の候補地を決め早く場所を特定しようということはすべきではありません。
 
4)原発再稼動と原発の新増設のためには、地層処分が一歩進んだというイメージを国民に与えるというマップ公表に反対します。私たち世代の責任としてまず行うべきことは、原発の再稼動や新増設をせず、高レベル放射性廃棄物である使用済み核燃料を増やさないことです。廃棄物の量を特定した上で議論すべきと考えます。

5)火山性熱水と深部流体については、範囲がわからないのでマップに書いていません。マップを発表できるだけの情報が整っていないということです。火山と温泉の国、日本。そして火山性熱水と深部流体については、まだよくわかっていないし、範囲を把握するための全国規模の_文献・データが存在しない。そのためマップでの範囲判断はできません。火山性熱水と深部流体の問題は深刻にとらえるべきです。

6)地温勾配の基準が高過ぎてマップに「好ましくない範囲」を表示できないこと。 日本地質学会では地温の上昇は100mあたり平均2~3℃とされている。15_℃以上でない地域を好ましいとしているが高過ぎる。火山の近くでも処分場が作れるようになっており、問題です。

7)南海トラフ地震による大津波の心配があります。南海トラフ地震により、西日本の太平洋側は大津波の心配があります。無視すべきではありません。

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鹿児島県全域が地層処分には好ましくない特性があると推定される地域となるはずとする理由は以下のとおりです。

■カルデラ噴火発生による火砕流を無視しているため「火砕流等での好ましくない範囲」が極めて狭いこと。
 県内の火山噴火による火砕流ですが、破局的カルデラ噴火の場合は鹿児島全域に及ぶ可能性があります。
 また前兆現象がわからないことも火山学者の間では常識であり、原子力規制委員会も川内原発の操業中に火砕流が襲うような破局的カルデラ噴火があり得ることを火山学者の意見により認めざるを得ませんでした。
 ところが公表された「火砕流等」のマップでは約1万年以前の火山活動を無視したため、火砕流が及ぶ範囲はほとんどなく、霧島と桜島と開聞岳あたりのごく狭い地域だけが火砕流等による好ましくない範囲とされました。
 九州電力が2014年3月19日に規制委員会へ提出した資料がありますが、約3万年前の姶良カルデラ噴火による入戸火砕流堆積物を対象にしたシミュレーションでは火砕流は鹿児島県を覆い尽くしています。 
 また1万3千年前の桜島薩摩噴火も鹿児島県の約半分を覆うものでした。
火砕流発生のことを考えれば、鹿児島県の全域を好ましくない地域とすべきです。

〈下記3、4は科学的特性マップ説明資料の火砕流等のページより抜粋〉
3.基準の設定理由
「原子力発電所の火山影響評価ガイド」(以下、「火山影響評価ガイド」という)では、想定される自然現象のうち、設計対応不可能で立地により影響を回避すべき火山事象として火砕物密度流等などが設定されている。
火山影響評価ガイドでは、立地評価として、周辺の完新世(約1万年前以降)に活動があるなど将来の活動が否定できない火山を抽出して、火砕物密度流、溶岩流、岩屑なだれ、地滑り及び斜面崩壊、新しい火口の開口、地殻変動の影響の可能性が十分小さくない場合、立地不適としている。そのため、これを基準とした。

4.その他、留意点
数10年程度の期間考慮すべき建設・操業時の安全性に係る事項である。
火山影響評価ガイドでは、完新世に活動はないものの第四紀(約260万年前以降)の火山については将来の活動性を評価することを求めていることに留意が必要である。

以下前出の三つの問題点について、特に鹿児島県については問題が大きいのでもう一度指摘しておきます。

■特に火山が多い鹿児島県では火山性熱水と深部流体の問題は深刻となると考えるべきで、好ましいなどと言える範囲などないはずです。

地温勾配の基準が高過ぎる。日本地温学会では地温の上昇は100mあたり平均2.5~3℃と発表している。15℃以上でない地域を好ましいとしているが高過ぎる。

■南海トラフ地震による大津波の心配がある。
南海トラフ地震により、鹿児島県の太平洋側は大津波の危険があります。

〈最後に〉
NUMOによる公募制度は現在も変更がありません。最初の文献調査については、知事や議会がどのように強く反対しても、手続き的に問題がなければ受け入れる制度です。このままでは再び各地で住民同士がいがみ合う混乱が発生することを危惧します。

 

            核のゴミキャンペーン  高木 章次

              


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