傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

自然エネルギーの買取義務化の前に、現実的な「埋蔵電力」の自由化の環境整備を

2011-06-16 20:35:29 | ビジネス

菅首相が自然エネルギー復旧への「固定価格買い取り制度法案」を「顔見たくないなら法案通して」と舞い上がっていますが、まずは独立系発電事業者(IPP)や特定規模電気事業者(PPS)の「余剰電力」の売買の自由化が現実的でしょうね。
自家発電による全国の『埋蔵電力』、東北電力1社分を超えるといわれており、まずは、「埋蔵電力」の自由化で発送電分離の環境整備ですね。

当方は、本ブログ「原子力発電を自然エネルギーへの代替の可能性?」で、
”「脱原発は非現実的という意見があるが、自然エネルギーによる地産地消・自産自消の可能性はあると思いますね。
エネルギーの自給自足・地産地消の深耕には売電が重要な要因で、現行の発電・送電体制の問題になりますね
。」”
と自然エネルギーによる脱原発には賛同しています。

ただ、本ブログ「孫正義氏の「メガソーラー」構想は拙速の感ですが?」で、
”「(孫正義社長が)自然エネルギーの普及を目指した「自然エネルギー協議会」が掲げた「メガソーラー」構想は、着眼はわかるが何か拙速の感じがします。
当方は、孫正義氏の脱原発を自然エネルギーに代替する着眼・スピード感に驚嘆で、凡人にはメガソーラー構想は拙速の感ですが
?」”
と、孫正義社長のいう脱原発に、「自然エネルギーの復旧に、20年間、太陽光発電による電力の全量買取制度、買取価格40円」は、挑戦的であるが、何か政商の印象をもちますね。

野澤哲生氏[日経エレクトロニクス編集]のコラム『自家発電による全国の『埋蔵電力』、東北電力1社分を超える  重要さを増す企業の自家発電システム(その2)』で、
”「阪神・淡路大震災のはるか前から自家発電設備を導入している企業は相当数ある。
独立系発電事業者(IPP)†や特定規模電気事業者(PPS)†という形で、その余剰電力を東京電力などの一般電気事業者†や電力の取引市場に販売している例も多い。
それらの発電規模の合計は、一般電気事業者の発電規模に匹敵するほど大きく「埋蔵電力」などとも呼ばれる。
しかし、現時点では電力市場の自由化が進んでいないため、特に災害時にこれらの大量の電力を有効活用できていないのが実情である
。」”
とし、
”「同懇話会(大口自家発電施設者懇話会)によれば、会員企業のうち、IPPを除くメンバーの自家発電設備の設備容量の合計は、2010年時点で1779万5000kW(17.795GW)で、日本の主な自家発電設備の約半分を占める。
典型的な原子力発電プラント約18基分で、電力会社でいえば電源開発の設備容量を超えて、2009年度の東北電力のそれに肉薄する。
これにIPP、例えば新日本製鐵、JFEスチール、昭和電工、神戸製鋼といった企業の発電設備の容量を加えると、東北電力を凌ぎ、九州電力に匹敵する発電能力を備えていることになる
。」”
と解説しています。

当然、自家発電設備の大半は、本来の目的である工場などの操業に用いられており、発電した電力の大部分は自家消費されており、懇談会の会員企業が外販している電力量は2005年時点で、自家発電量全体の約7%に過ぎない。
大口自家発電施設者懇話会の要望は、「電力のさらなる自由化」で、
”「現在の一般電気事業者10社による地域独占体制の下では、せっかく発電した大量の電力を柔軟に運用することが難しいためだ。
例えば、ある工場で発電した電力を別の地域にある自社の工場や本社ビルに自由に送電することはできない。
それをするには、一般電気事業者の送配電網を高額な使用料(託送料)を払って借りる必要がある。
また、送電した電力と消費した電力は高い精度で一致させなければ、高いペナルティー料を支払うことになる
。」”
と、市場に余剰電力を出しやすくなっていることも背景もあるが、希望はしても実際にはなかなか踏み出せないという理由は、上述の託送料やペナルティー料によって既存のIPPやPPSの経営は大きな利益を出せず、青息吐息というのが実態と解説しています。
大口自家発電施設者懇話会は、「発電費用と送配電の費用を明確に区分するか、それが出来ない場合は、発送電分離をすべき」という見解を出していると。

野澤哲生氏は、東日本大震災では、東京電力が六本木ヒルズらから電力を直接買い取った事例もあったが、東京電力管内の外の地域にあるIPP/PPSや企業の自家発電設備による余剰電力は、中部電力や北海道電力との連系線が細いことで東京電力管内にはほとんど送られなかったし、電力自由化を徹底した上で発送電分離を実現すれば、こうした問題は起こらないと解説しています。

菅首相が自然エネルギー復旧への「固定価格買い取り制度法案」を、孫正義社長に踊らされ、「顔見たくないなら法案通して」と舞い上がっていますが、原発を自然エネルギーに代替する路線は賛同できるが、その前に、発送電分離の電力自由化し、独立系発電事業者(IPP)や特定規模電気事業者(PPS)の売電の自由度と電力の需要家が買電の環境整備が先決でしょうね。

本ブログ「孫正義氏の「メガソーラー」構想は拙速の感ですが?」で、ブログ「小さな政府」様の孫正義社長の休耕田等を利用した大規模太陽光発電(メガ・ソーラー)で電力供給をしようとすることへの見解、
”「今回の自然エネルギーへの取り組みも、携帯電話のように孫氏が電力業界に風雲を巻き起こすかもしれませんが、それは自然エネルギーによってではなく発送電分離のような新しいビジネス環境を孫氏が存分に活用することで達成されるでしょう。孫氏ほどの事業家が自然エネルギーと心中する気はないはずです。」”
を紹介し、孫正義氏の自然エネルギー(メガ・ソーラー)のビジネスは発送電分離のような新しいビジネス環境を活用して達成する意見には同感と書きました。

やはり、孫正義社長のいう「自然エネルギーの復旧に、20年間、太陽光発電による電力の全量買取制度、買取価格40円」は拙速で、まずは、既存の自家発電による全国の『埋蔵電力』を割安・安定的に供給できる発送電分離での電力自由化の環境整備が現実的ですね。

「付記」

野澤哲生[日経エレクトロニクス編集]のコラム『停電と無縁の六本木ヒルズ、震災直後に東電に電力供給 重要さを増す企業の自家発電システム(その1)』

http://www.nikkeibp.co.jp/article/reb/20110608/273129/?ST=rebuild&TM=energy




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